譲りたい気持ち・2

 
 自分以外の人を100%理解することは難しい。同じ経験があれば楽しさや苦しさを共有できるが、経験や知識が無い場合は徹底的に他人の気持ちを考え抜かなくてはならない。
 
 思い切って質問することも必要だ。知り合いの義足の女性に聞いたことがある。「その脚はどの程度開くんですか?」それに対して彼女は、「結構開くわよ」と答えて笑った。長距離移動は杖が必要なときもあるが、そうではない時には杖なしで歩行していた。
 
 耳の不自由な人に出会ったときも、筆談と耳元で大きめの声を出して会話をした。とりあえず習得したのは手話による自己紹介。以前、手話サークルに入っていた人に「指文字」を教わったことがあるので、自分の名前、すなわち固有名詞を名乗るときは便利であった。聞いた話では、手話は日常的な会話ができるまでに3年かかり、外国語の習得と同じだという。
 
 ゴーストライター問題で話題の人となった男性は会見を行い、「全く聞こえない」事に関して嘘をついていたことを謝罪した。全く聞こえないのではなく、中度の「感音性難聴」なのだという。
 
 時同じくして、「マタニティマーク」を付けている女性が誹謗中傷される事案があることを知った。このキーホルダーを付けていることで、わざと蹴られたり腹を押されたりする嫌がらせがあるのだという。また、電車内で肘うちされたり、「妊婦が電車なんかのんなよ!」などと暴言も吐かれたというのだ。
 
 病気を患っている人や妊娠している人の中には体調が優れない人もいる。席に座っているのが元気そうな人に見えてもそうじゃないこともある。他人に対して実に厳しくなってしまった乾燥している人の気持ち。
 
 佐村河内氏問題をきっかけに、同じような病態で苦しむ人の気持ちを考えられるようになればいい。大きな病院の待合室にいると一見元気そうだが、ほとんどが患者さんなのである。病院なら起きそうもないいざこざが、世の中では平気で起きている。
 
 2月に大雪が降ったとき、町では多くの人が雪かきで汗を流していた。協力し合っていた人たちを見て、隠し持っている優しさがこれだけ世の中にはあるのかと感じた。
 
 知人の義足の女性に足の開き具合を聞いたのは、地震が起きたら背負って逃げるつもりだったからである。背負うことに問題が無いことも確認できた。
 
 その女性は街のバリアフリーに対して不満を感じていた。「階段に手すりがあるが途中で切れてしまっていることがある」ということだ。手すりさえあれば良いのだろう、と考えていたが違うようである。積極的にそうした不満の声を上げて、拾う姿勢があること。風通しの悪いバリアがあることこそが弊害なのだ。
 
 人を傷つけることが簡単であるのと同様に、人に優しくすることも実践できるはずである。
 
 
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