差別する人、される人

 フジテレビの「とんねるずのみなさんのおかげでした」で、かつて石橋貴明氏が演じた「保毛尾田保毛男(ホモオダホモオ)」というキャラクターが登場した。番組の30周年スペシャルとのことでの復活である。スペシャルであるこの番組を見ていないが、「懐かしいなあ」と思った。
 
 このキャラクターがホモという蔑称を口にし、同性愛者を揶揄する存在であったことから同局に非難が殺到し、定例会見では同局の社長が謝罪をすることになった。
 
 一方、10月1日で「ウルトラセブン」が初回放送より50周年を迎えたという記事があった。この「ウルトラセブン」にも差別が問題になった欠番がある。それは第12回目の「遊星より愛を込めて」である。「スペル星人」という怪獣が出現する話で、「スペリウム爆弾」の実験で被爆した宇宙人という設定である。
 
 このスペル星人が小学生雑誌の付録としてカードで登場。それをみた子どもが原爆被害者団体の関係者である親に相談したことから話が大きくなった。新聞でも報じられ、ウルトラセブン側の円谷プロは「作品の封印」を約束したといい、それ以降は再放送されることもなくなった。
 
 しかしこの第12回をもう放送してもいいのではないか、というのが記事の主旨であり、ウルトラセブンでアンヌ隊員を演じた女優・ひし美ゆり子氏(70)にインタビューをしている。
 

「みんなが騒ぐほど、何が悪いのかな?」とは思いますね。作品のメッセージとしては「原水爆は良くない」と風刺を込めた作品なのに、なぜ50年近くも封印されなきゃいけないのかな、と思いますね。

 また、同記事は、

ウルトラマンシリーズでは「平和」がテーマになることも多く、「スペル星人」制作陣も差別意識があったことを否定している。

と報じている。確かにこれまで見たことのあるウルトラマンシリーズは、社会派テーマが展開されることが多く、ゴールデンタイムに放映という責任のある作り方がなされていた。
 
 冒頭の「保毛尾田」は30年、ウルトラセブンは50年である。今こうして振り返り、これはよくない、これはならばどうか、という議論ができることは素晴らしい。歴史を振り返るために立ち止まり、襟を正すという瞬間に立ち会えているのだ。
 
 差別を表現するようなキャラクターはあってはならない。しかし意図せず作品が差別的だとされるのは議論されるべきことである。
 
 30年以上も前になれば、今となっては放送できないような差別表現がいっぱいあった。それらを含む作品は、有料放送の冒頭で「不適切な言動がありますが、作品のオリジナリティを尊重しそのまま放送します」などという断り書きがある。そしてそうした事も知った上で我々は古い作品を楽しむのである。

 笑いには毒があるということを聞いたことがある。つまり、目の前で人が転んだらあなたはどう思うかである。他人が大げさに転んだら笑ってしまうが、それが笑いなので仕方のないことである。しかし次の瞬間、その転んだ人に手を差し伸べること、それこそが笑いを許し差別を排除する効果的な方法である。
 
 
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