84年版「ベスト・キッド」のサントラとDVDをゲットした
” An enemy deserves no mercy.”(敵に情けは無用だ)
ときどき中古CD屋に行って探していたのが84年「ベストキッド」のオリジナルサウンドトラックだ。中でも男性デュオであるJan & Deanの”(Bop Bop) On The Beach”が聴きたかったのだ。ならば彼らのアルバムでも買えばよい話だが、彼らのCDも全て調べたがこの曲だけは入っていない。
こうなればMP3ダウンロードで購入とも思ったがそれも叶わなかった。当時発売されていたサントラのネット販売もチェックしたが日本語版の入手は絶望的だ。そうなれば輸入盤しかない。アマゾンで検索したところ輸入盤は簡単に出てきた。しかも「在庫は1つ」と書かれていたので、神様に背中を押された気がして購入した。1,069円。まず、曲と一緒に映画本編を振り返る。
★ (Bop Bop) On The Beach / The Flirts and Jan & Dean
人の記憶というのはいい加減なものだ。Jan & Deanのみが歌っていると思ったが、80年代に活躍したとされる、The Flirtsという女性トリオも参加していた。そういえば女性ボーカルが入っている。Jan & Deanというのは、The Beach Boys同様にサーフィン・ミュージックを得意とするデュオでSurf Cityが特に有名。聞いたことがある人もいるだろう。
この曲に関しては、彼らのホームページでもWikipedia英語版でも触れられていない。ホームページでは「関係した曲」として”Karate Kid(ベスト・キッドの原題)”の名前があるだけ。ただ彼らと親交のあるMike Love氏がプロデュースしているということくらいしか分からない。
The Flirtsを調べると、”On The Beach”という曲があるが、少しだけタイトルが違うこともあり、同じ曲なのかどうかが不明。いずれにせよ初めて音源に触れることができて感激である。四半世紀も待ったのだから。
さてこの曲、サントラとしては映画本編最初に使われる。主役のダニエル(ラルフ・マッチオ)がビーチパーティに参加するシーンで流れるのだ。男の子はサッカーを、女の子はそれを眺めているという浜辺のシーン。躍動的な青春のシーンをこの曲が盛り上げる。レオカリオビーチでの撮影。
★ (It Takes)Two To Tango / Paul Davis
上記ビーチパーティが夜になるとこの曲が流れる。ダニエルと後のガールフレンドになるアリ(エリザベス・スー)はここで互いを意識しあう。恋愛とは些細なことで始まる。
★ Cruel Summer / Bananarama
80年代のディスコソングで忘れられない存在の1つがバナナラマであるが、使われているはずのこの曲は何故かサントラからは外されている。大人の事情かもしれないが、聴きたい人は彼女たちのベストを買うといい。
この曲が使われているのはダニエルがハイスクールに行くシーン。ここでアリとも会う。しかし直後に悪ガキ集団”コブラ会”のメンバーによる嫌がらせに遭う。
★ Rhythm Man / ST Regis
ハイスクールでアリたちと会うシーン。ここで”コブラ会”のメンバーを見つけたダニエルは逃げ出す。アリが「逃げないで。立ち向かうのよ」というが、ダニエルは「僕には僕のやり方がある」と行って立ち去ってしまう。
★ No Shelter / Broken Edge
ハイスクールのハロウィーンパーティ。”シャワー”に扮したダニエルは、”コブラ会”のボス、ジョニーに仕返しをするが、彼らに追われる羽目になる。もうすぐ自宅に着くという所で彼らに追いつかれてしまう。ここで”空手家”ミヤギが登場する。
★ Feel The Night / Baster Robertson
印象的なイントロの曲だ。実在する「ゴルフン・ファミリー・ファン・センター」という夜の遊園地でダニエルとアリがデート。こういう時間というのは楽しいのだ。アリはここで車に乗った他の男性らから声をかけられるがすべて断りダニエルと一緒に過ごす。
★ Young Hearts / Commuter
再びゴルフン・ファミリー・ファン・センター。ダニエルはアリに謝罪をする。「やっぱり車を持っている方がいいだろう」というダニエルにアリは「そんなことで人を好きになるんじゃないわ」という。やっぱりナンバーワンよりオンリーワンなのだ。
★ You Are The Best / Joe Bean’ Eposito
トーナメントの時にアリが「ダニエル、最高よ!(Daniel, You are the best !)」と言った直後にかかる曲。最初に会場に入るところから初戦までは長いカットが続く。500人のエキストラ、そしてここはクレーンカメラで撮影に臨み、カメラが移動する際にはエキストラなどは体を低くかがめたのだという。
と、7曲を紹介したが、久しぶりに見入ってしまい全ての曲をチェックできなかった。メインテーマであるSurvivorの”The Moment Of Truth”は本編終了後に流れる。
「ベスト・キッド コレクターズ・エディション」DVDについて
ダニエル 「明日はトーナメントだ。僕には応援もない」
アリ 「私がいるわ」
ダニエル 「きっと初戦でやられる」
アリ 「早く帰れるわ」
1,000円で手に入れたDVDには本編を再生する際に、監督と脚本家、そしてダニエルを演じたラルフ・マッチオとミヤギを演じたパット・モリタの4人の会話を聞くことができる。内容は単なるおしゃべりであるが、「ここはいいシーンだ」とか「このミヤギの家は今アパートになってしまった」といった裏話も聞ける。
他にも、ミヤギが修理した自転車をダニエルが発見するシーンで、「自転車をプールに投げ込めばいいのに」「サドルにキスするとか」と話して笑ったり、「親子が見る映画でマリファナを巻いているシーンは今じゃあり得ない」、ミヤギがダニエルに車をプレゼントした後、「ミヤギは何を想っているのだろう」というと、「車は惜しかった、とか」といって爆笑している。
解説入り本編の他に、インタビューでは上記4人に加えてコブラ会のジョニーを演じたウィリアム・ザブカと、その師範であるジョン・クリースを演じたマーティン・コーヴのインタビューもある。
さらに「空手の極意」では、本作の空手が剛柔流派の空手であり、それが沖縄の宮城長順由来のものであることから、「ミヤギ」はそこから採ったものだとしている。
本編で盆栽が出てくるからか、「盆栽のある生活」なるコンテンツもある。日系人男性が盆栽について解説している。
当時、アメリカでも「ワックスをかけて、ふく(ワックスオン・ワックスオフ)」というフレーズが大流行したという。トーナメントで出てくるヒゲのレフリーは、本作アクション指導に携わったのだという。空耳だろうが、最後にジョニーがダニエルに「立派だよ。君の勝ちだ」と言った直後に日本人女性のような声で「私も・・」と聞こえる部分があり少しこわい。いずれにせよ、これだけの内容が1000円台で手に入るのだから、ファンは絶対に買った方が良い。
ダニエルとアリはビーチパーティで出会い、一目で恋に落ちる。ミヤギはダニエルに「(空手の時は)目を見ろ、いつもだ(Look eye, Always look eye !)」という。目は口ほどにものを言うというが、相手の目を見ることはいつでも大切なことである。それは仕事でも試合でも。そして恋愛でも。
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