試金石
傷害の疑いで都内に住む会社員の少年(18)が逮捕された。職場の先輩男性に日常生活のことを注意され立腹、男性のウイスキーのボトルに排水パイプ洗浄剤を混入し、それを知らずに飲んだ男性に全治1週間のケガをさせた疑い。「薬品を飲ませて懲らしめようと思った」などといっている。
秋葉原通り魔事件で逮捕された加藤容疑者も家庭や職場の不満を挙げており、それが凶行に繋がった。誰でも雇用形態や職場に不満を持つことは珍しくないうえ、家族に不満のある場合もある。しかし不満の矛先が他人への襲撃につながらないことは当たり前のことである。
我々は自分の幸福を追求する権利を持っている。幸福追求権は公共の福祉に反しない限り尊重される。誰にも阻まれることはない。平和があるのは、自分を含めた周囲が法令によって動いていないこと、それを意識していないときである。静かな紳士協定がそこにはある。しかし平和は、人がその紳士協定を破った場合に効力が無くなる。
犯罪は、人の精神を殺し、時間を殺し、平和を殺す。犯罪者が更生できるとすれば、自分の精神を殺していない場合である。自分の精神をも殺してしまった場合の矯正はもはや不可能である。
冒頭の事件は被害者が幸い軽傷であるが、小さな事件がエスカレートすることは指摘されていることである。そういう人間を作らない環境作りが必要だが、問題なのは、そういう犯罪を起こす人間が誰か分からないことにある。問題を起こしそうな人間に出会ったとき、逃げずに対処できるかも人間であるための試金石だ。
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★ 先輩のウイスキーに洗浄剤混入、少年を逮捕 生活態度注意され逆恨み(産経新聞・08/6/18)