建物の境界線

 
 広島県警広島中央署で押収した現金約8千万円が盗難に遭った事件は、県内筆頭の大規模警察署で起きた事件として衝撃を与えた。警察署内に外部の人間が侵入することも考えられず、実際に現金を保管していた金庫周辺からは警察関係者以外の指紋は検出されていないのだという。
 
 内部の人間だと分かりやすいが、外部の人間が入った事件も過去に起きている。
 
 警視庁管内の警察署で押収した車両が何者かに盗まれた事件や、愛知県警内の警察署で警察署の裏口から侵入した女が取調中の男を奪還する事件、茨城県内の警察署では取調中に捜査員が睡眠薬を混ぜられたお茶を飲まされて寝てしまい、その間に容疑者が逃走する事件もあった。一般の感覚からすると、警察署でそんなことが出来るのかと不思議に思う。
 
 事件ではないが、静岡県内の警察署で委託していた清掃人を抜き打ちで点呼したところ、名簿上の名前と違う別人が清掃に関わっていることが分かった。清掃時には誰かが立ち会うことになっており、何かが盗まれた形跡もないという。
 
 大きな建物に複数の業者が出入りすることは公官庁だけではなくどこでもあり得ることである。専用の出入り口から入退出をして用事を済ませる。過度な監視が行われていないのも、恐らく悪いことはしないであろう性善説に基づいている。
 
 しかし昨今では、想像もしないような事件も起きている。千葉県内で起こった警察署前での発砲事件や、福岡の中心部で起きた現金強奪事件などである。
 
 心理的に規制線が張られているときに人は危険を冒してまで悪いことに近づかない。しかしその線が切れるとき、線を張っている側の危機意識がなくなったときにトラブルは起きるのである。そうしたことに意識を向かわせるコストを支払うべきなのであろう。コストとはお金だけではなく時間もである。時間的余裕を作るのが難しい時代の事案なのかもしれない。
 
 
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