死刑判決と無期懲役 秋葉原連続殺傷事件と闇サイト殺人事件

 東北地方太平洋沖地震の被害状況があまりに甚大であるが、そんな中、社会を震撼させた2つの事件の判決が3月24日に東京で、今月12日に名古屋であった。
 
 08年6月、東京・千代田区外神田(秋葉原)の交差点にトラックで進入して3人をはねて殺害し、さらに持っていたダガーナイフで4人を刺殺、10人を負傷させた「秋葉原連続殺傷事件」で、東京地裁の村山浩昭裁判長は3月24日、加藤智大被告(28)に対して求刑通り死刑を言い渡した。
 
 弁護側は「心神耗弱か心神喪失だった」として減刑を求めていたが、検察は「犯罪史上まれに見る凶悪重大事件。改善更生を期待するのは困難」とし、精神障害にも罹患しておらず「完全責任能力を有していたのは明らか」と主張していた。
 
 加藤被告の弁護側は判決を不服として控訴した。
 
 07年8月、名古屋市千種区の派遣社員、Iさん(当時31)が闇サイトで集まった男3人に殺害された事件で、強盗殺人などの罪に問われ、1審で死刑判決を受けた堀慶末(よしとも)(35)、無期懲役のK(44)両被告の控訴審判決が名古屋地裁であった。下山保男裁判長は、堀被告について1審の死刑判決を破棄し無期懲役にし、K被告も無期懲役のままとした。
 
 判決では「1審が言うほど(ネット犯罪が)検挙困難とも模倣性が高いとも言えない」として「殺人被害者が1人の事件で死刑がやむを得ないとまで言えない」とした。1審で死刑が確定した神田司死刑囚(40)との被害者に対する殺害関与の度合いについても「死刑囚の殺害の提案に安易に応じた側面があり、神田死刑囚と同等ではない」とした。
 
 秋葉原の事件では、被害者の数や加藤被告の責任能力を考えれば死刑判決は妥当である。レンタカーを借りて静岡から東京まで来る間に躊躇することがなかったことから殺意は計画的で確信的なものと言える。なぜ加藤被告が控訴をするのかが分からない。
 
 「闇サイト殺人」では、インターネット上の事件の摘発が困難と言えないとし、模倣性が高いとも言えないとしたが、それ以前に事件の態様があまりにも残酷である。平穏無事に生活してきた被害者は全く落ち度が無く、拉致された車内で死の恐怖と対峙していたことを考えると、被害者数というのは死刑選択する際に躊躇しなくてはならない特段の理由となり得るのだろうか。
 
 この裁判では1審で死刑判決を受けて控訴しなかったことから死刑が確定した神田死刑囚が自分の最期を待つ生活を送っている。死をもって罪を償う、そういう言い方がされるがそれは間違いである。死刑が確定した瞬間から、死刑執行まで悔悛(かいしゅん)の情を持つことができるか、それにかかっている。
 
 被害者は自分の最期が突然降りかかった。それに対して死刑囚はこの先に死が待っていることに真摯に向き合わなくてはならない。罪を償えるのはそのわずかな期間であることを死刑囚が悟れば、死刑制度存続の意味が成り立つ。
 
 大震災では地震や津波が多くの人命を奪った。その犯人は自然である。しかし、殺人事件の犯人は人間である。被害者の無念さ、恐怖、遺族の悲しみは被告人が存命していることで一生ついて回る。仮に無期懲役になっても被害者は戻ってこない。同じ被害者でも、東日本の被災者は海を恨むことはないかもしれない。海を見て、亡き家族を想うこともあるかもしれない。しかし事件の犯人は海のような存在にはならない。一生憎い対象で居続けるだけなのだ。
  
 
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