2人に死刑、1人に無期判決 名古屋・闇サイト殺人 名古屋地裁(2009.3.18)

 2007年8月24日、名古屋市千種区内で男3人に拉致された派遣社員、Iさん(当時31歳)が金などを奪われたあとに殺害された”闇サイト殺人”で、名古屋地方裁判所の近藤宏子裁判長は、強盗殺人罪などに問われていた被告2人に死刑、1人に無期懲役を言い渡した。死刑判決を受けたのは、名古屋市東区の無職、H(33)、愛知県豊明市の元新聞販売員のX(37)の2被告。無期懲役判決を受けたのは住所不定で無職のK被告(42)。
 
 近藤裁判長は主文を後回しにして判決理由を先に述べたことから、最大で3人全員に死刑の可能性が指摘されていた。裁判長は判決で「極めて残虐で悪質性が高く、社会に重大な影響を与えた。極刑をもって臨むのはやむを得ない」と述べた。K被告が無期懲役になったのは、同被告の事件発覚前の自首が情状酌量となった可能性がある。
 
 3被告の面識はなく、インターネットの闇サイトといわれる”闇の職業安定所”で集まり「若い女を拉致して金を奪おう」と強盗を計画。たまたま千種区内の路上を帰宅途中であったIさんを拉致、車内に監禁してクレジットカードや金を強奪。緊縛されたIさんが命乞いをしたのにもかかわらず、顔面をテープでグルグル巻きにした後に頭部をハンマーでめった打ちにして、頭にビニール袋をかぶせたうえで絞殺した。奪われた現金は6万円。遺体は岐阜県瑞浪市内の山中に遺棄した。
 
 判決前には母親が極刑を求めていた。また「被害者の数で極刑が変わることなどおかしな事があってはならない」とも述べていた。先月の論告求刑では、検察側が過去に最高裁が示した死刑適用基準とされる「永山基準」に触れ、「要素の1つで、絶対的な基準ではない」としたうえで、「社会全体を恐怖で震撼させた、人命を顧みない冷酷非道な犯行で、極刑をもって臨むしかない」とし、3被告全員に死刑を求刑していた。弁護側は「死刑は重すぎる」と主張していた。
 
 死刑の適用については「被害者が1人である」と死刑が回避されるケースもあるが、強盗殺人罪は死刑または無期懲役しかない。また同罪や営利誘拐殺人では被害者が1人でも昭和38年に発生した「吉展ちゃん誘拐殺人事件」の加害者に死刑判決の例がある。逆に被害者の数が複数人でも、加害者側が心神喪失であったり、事件が発覚する前に捜査機関へ自首したことにより減刑されることもある。
 
 死刑については、いわゆる「永山基準」と呼ばれるものを83年に最高裁が示している。それによると、(1)事件の罪質(2)動機(3)態様(=殺害の残虐性)(4)結果の重大性(主に被害者数)(5)遺族の被害感情(6)社会的影響(7)犯人の年齢(8)前科(9)事件後の情状、以上を総合的に判断し、極めて責任が重い場合には死刑選択が許されるとした。
 
 この事件は被害者であるIさんに何の落ち度もない。いつも通りに出勤し、いつも通りに帰路についていただけであった。すなわち誰でも被害者にしてしまう犯罪態様というのは、残酷であり非道である。3被告は反省の言葉を法廷で一度も口にしておらず、それどころかIさんを侮辱するような発言をした被告もいた。弁護側は判決を精査した上で控訴するかどうか決めるであろう。
 
 被害者が1人で、加害者3人のうち2人が死刑になったことは、時代の流れをくんだ判決として、1つの指針となるだろう。
 
★ 闇サイト殺人、2被告に死刑・1人は無期懲役(読売新聞・09/3/18)
★ 「3人とも死刑判決を」Iさんの母、かみしめるように(読売新聞・09/3/18)
★ 闇サイト殺人、3被告に死刑求刑 名古屋(本ブログ・09/1/20)
★ 広島女児殺害事件 被告に無期判決(本ブログ・06/7/5)
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