相棒17 第14話「そして妻が消えた」レビュー
人がスポットライトを浴びるという感触がどんなものなのだろうか。私は習い事としてジャズダンスとボイストレーニングを受けたことがある。その発表会にも何度か出た。舞台の袖で待っているときの緊張感。上から後ろから横から当たるライトの熱、そして前方には薄っすらと見えるお客さんたち。あまりうまく行かなかったことのほうが多かったが、少しばかりの達成感と拍手を受けることはたしかにクセになりそうであった。
元人気女性キャスターの小田絵美子はオダエミとしてその名が知れ渡っていた。犯罪心理学者として有名であった坂崎(宮川一朗太)と結婚。オダエミと坂崎は理想の夫婦として認知されるようになった。しかしオダエミが突然失踪し、冠城(反町隆史)の知り合いであり夫の坂崎に殺人の嫌疑がかかることになる。
オダエミが言うセリフで「なぜ私があなたの陰にならなくてはいけないのか」という部分がある。一度名声を手に入れると人は自分の人生に酔い続けたくなるのかもしれない。”アルコール”が抜けたときの虚脱感、自分の名前が思い出されない状況に苛立つのかもしれない。
ところで相棒を見ているとベテラン俳優さんが出ていることに気が付かないこともある。それに加えて、俳優さんのプライベートを踏襲したような話の作りになっていることもある。
例えば、シーズン12の14話「顔」は整形手術の話であるが、本編には芦川よしみさんが出演している。芦川さんはかつて仕事中に顔に大怪我をして形成外科手術を経験されている。顔を売る仕事なのにそんな怪我を負わせるとは神様も意地が悪い。
今回の相棒に話を戻すと、オダエミを演じたのは俳優の東風万智子さん。私としては「真中瞳」さんとして記憶にあるが、ずいぶん前に改名されて新たな船出をされている。お名前は「こちまちこ」と読み、逆から読んでも同じ読みができる。これなら忘れることはなさそうである。
★ 相棒 17(テレビ朝日)