「騒然」の定義って何だろう
よく聞く「現場は騒然とした」という言い方。「騒然」とする基準というのは何であるのか考えた。
広辞苑によると騒然とは「がやがやとさがわしいさま。乱れて不穏なさま」とある。では、騒がしい音というのはどの程度のものをいうのか。日本騒音調査の「ソーチョー」(千葉県野田市)のホームページによると、木の葉のふれあう音が20デシベルで「ほとんど聞こえず」「静か」という目安であり、トイレの洗浄音が60デシベルで「非常に大きく聞こえる」「普通」という目安となっている。続いて、電車内が80デシベルで「うるさくて我慢できない」「きわめてうるさい」であり、電車のガード下が100デシベルで「聴覚に異常をきたす」「きわめてうるさい」となっている。
騒然とするためには、これに「乱れて不穏な状態」が加わる必要がある。トイレの洗浄音で心が乱れる人はいないので、走行中の電車内が落ち着かなくてよいのではないだろうか。安全と思って乗車しているから気にならないが、ブレーキ故障で止まらなくなったと考えれば「騒然」としないだろうか。これが電車のガード下であれば音だけで不穏な雰囲気になるだろう。騒然である。
つまり、「火事の現場は騒然とした」といえば、普段なら火の気のないところで火災が起き、人が集まり群衆と化し、サイレンを鳴らした緊急車両が集結し、怒号が飛び交わなければ騒然とは言えない。少なくとも100デシベルが必要であるだろう。同じ緊急車両の集結でも、防災訓練の現場は全く騒然としない。
なぜこんな風に「騒然」の定義を無理矢理しているかというと理由がある。「子どもの声は騒音か」という話題があるからだ。
子どもの集まる学校や公園は、子どもの声の発生は必然であり、偶然でもなければ不穏なさまでもない。つまり、子どもの声というのは不穏なさまが付加されて「騒然」にならなければ受容の範囲内であり、夕方になればやむであろう子どもの声を規制するのは筋違いだということになる。
それでも、病気などの理由で苦痛なかたは転居を可能な限りお勧めする。私自身、騒音がだめだったとき使用したのは耳栓であり、効果てきめんだったのでぜひお勧めしたい。
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