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過重労働、疲弊する従業員、疲弊させる法人

というつぶやきをツイッター上で展開しているのは、@May_Romaさんである。米国留学、イタリア在住、国連職員などを経て、現在はロンドン在住である。Mayさんはイギリスからみた日本の現状を憂うべくツイートを繰り返している。
 
 例えば、英語か何か武器がなければ、突然病気になったり、クビになったり、会社が潰れたらどうする、とし、誰も助けてはくれないから自分の身は自分で守るしかない、他人と違うことをやらなくてはダメだ、という具合である。
 
 最近は日本の「過労死」についてのツイート(つぶやき)がツイッターまとめサイト「Togetter」にまとめられた。詳細は下記リンク先を参照されたい。
 
 Mayさんのツイートに呼応したツイートは以下のようなものがある。

 たとえ残業代がたくさん出るとしても残業はしないほうが幸せ。お金なんかより時間のほうがずっと重要だから。お金は取り戻せるけど時間は絶対戻ってこない。(Shota Tさん)
 
 海外経験成功の判断基準の1つは、対日比較ができるフェアな目を養えたかどうか。たとえある来るに数年滞在してもちょくちょく帰国しその度に”やっぱ日本は最高!ここはヒドい”と現地批判してるよくいる連中は、海外体験の価値を半減させてしまっている。(すずや たいちさん)
 
 競争社会でうつ病になり死にかけましたがその後大好きな山での仕事をして金はないですが友人に恵まれた生活をしてとても幸せです。しかしコテコテ日本人にうつ病のことを話すと失笑されたり繊細なのねとか平気で言われます。僕は病が自分が無理していたと感謝しているくらいなのですが。(Akira Ogasawaraさん)
 
 N.Y.のレストランですら接客レベル低い、日本最高!と思えたのは働く前まで。バイトで接客系いくつかやってほんとによいのはどっちなのか、意見が変わった。(alt_soさん)
 
 自分の力量不足はしょうがないにしてもサービス残業を部下にさせたくなかったのも辞職理由の一つ。自分に力がなかったといえばそれまでやけど解決できんかった。(しゅーさん)

 
 労災認定もその因果関係を認めずに却下される場合が多い。しかし、その決定が裁判所で覆るケースも起きている。なかなか労働基準監督署が労災認定しないのには理由があることが産経新聞に書かれている。申請のあった順に職員の新人・ベテランを問わずに機械的に割り振られる。過労死問題に詳しいかどうかは関係ないというのである。であるならば、人が病気になったり死亡したりしないように適正に企業に是正勧告するはずの労基署が機能していない。
 
 居酒屋チェーン「ワタミフードサービス」の新入社員であった女性(当時26)が08年6月に入社わずか2ヵ月で自殺した。連日の過重労働で精神障害を負ったことが原因だったとして2月、神奈川労働者災害補償保険審査官は労災認定をした。
 
 女性は同社経営の横須賀市内の居酒屋に勤務。深夜の残業が連日続いた上、休日も研修やリポート作成を余儀なくさせられており、極度の睡眠不足の状態だった。1ヵ月で時間外労働が140時間を超えたと認定された。女性の父親(63)は「自殺が会社に責任のあったことが認められたことは、娘の一番の供養になる。これを機に会社の労働状況が改善されることを願う」とコメントした。
 
 85年にヒットした、ポール・ハードキャッスルの「19(Nineteen)」という曲がある。ベトナム戦争に派遣された兵士の平均年齢が19歳だったことが曲名の由来。しかし、帰国後に精神疾患にかかり、「何が起こったか分からなかったんだ」という兵士の声がサンプリングとして入っている。
 
 並べて考えるのは極論ではない。日本の過労死の現状も戦場のようなものである。会社に銃口を突きつけられ、死と隣り合わせで働いている状況は極限の精神状態を作るのに難しくない。
 
 同じ仕事の仲間を病気にしたり、死に追いやる経営手法、人事管理に何ら根拠の乏しい精神論を叩き込み、経営側はおかしいと思わないのだろうか。経営者に聞いてみたい。あなたの会社で「パワハラ」の具体例はどんなものを想定しているのか、と。
 
 そして厚労大臣や首相に聞いてみたい。英語の辞典では「karoshi」が掲載されているが、これを外国要人に説明する時にどのように説明するのであろうか。
 
 日本経済の繁栄が、こうした犠牲のもとに成り立っているのだとしたら、日本で働くことのメリットは一体何なのか甚だ疑問である。働く人たちがその仕事によって病気になったり死亡することはあってはならないのに、それを改善するような動きはなく、未来ある若者が社会に絶望し次々この世を離れていく。貴重な人材は貴重な日本の未来である。働き手を踏み台にして会社を動かす。この社会はあと何人死に追いやれば目が覚めるのだろうか。
  
 厚生労働省の09年の発表によると、自殺やうつ病が原因の失職による経済損失は2.7兆円であるという。人的資源の損失は非常に大きいことを考えるべきである。
 
 
★ 本当は「貧困」な日本社会 @May_Romaさんと素敵な仲間達。(Togetter)
★ @May_Romaさん(Twitter)
 
★ ”正社員”餌に残業100時間「マジで無理・・」首つり(産経新聞・12/3/18)
★ 美談で住まされぬ「フクシマの英雄たち」(産経新聞・12/1/7)
★ 労基署さえサービス残業 根絶へ防止法を(産経新聞・12/3/20)
★ 「過労自殺」入社2ヵ月ワタミ新入社員、労災審査官認定/神奈川(神奈川新聞社・12/2/21)
★ 職場のいじめで不安障害、抑うつ状態を発症 富士通の元女性社員に労災認定 大阪地裁(本ブログ・10/6/23)
★ 郵便局で職場内いじめ 腹蹴られ、退職強要される 公務災害認定で解雇取消し 静岡(本ブログ・10/7/4)
★ karoshi(Oxford Dictionaries)

 
 
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