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郵便局で職場内いじめ 腹蹴られ、退職強要される 公務災害認定で解雇取消し 静岡・伊東(2010.7.4)

 
 伊東市内の郵便局で、男性職員(34)が職場ぐるみのいじめに遭い不安障害を発症したとして公務災害認定を求めていたが、06年に当時の日本郵政公社と人事院が「公務外の災害」と判断した。しかしその判断を日本郵政が覆し、公務上の災害と認定した。人事院によると、認定が覆るケースは珍しいという。
 
 男性は01年から同局に勤務していたが、複数の局員から「人間としての価値はない」などと退職を強要され、06年には職場のバイク置き場で同僚に腹部を蹴られて全治3カ月のけがを負った。その後にPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されて休職、公務災害認定を求める行政訴訟を静岡地裁に起こし、今年2月に休職期間満了で解雇された。
 
 うつ病やパニック障害、不安障害などの病気が珍しくなくなった。その類の病気が多くなった理由にはそうした疾患を診療する心療内科や精神科の充実が挙げられる。加えて、そうした病気に対する理解が社会に浸透してきた部分がある。
 
 しかしなぜそうした病気が増えてしまったのか。考えられるのは”避難場所”が無くなってしまったことが考えられる。忙しい現代は、自分の時間を持つことが少なくなっている。自分の時間と思って予定を立てても結局時間に支配されることになり、気の向くままという本当の自分時間を見失ってしまった。自分の処理能力を超えた所にこうした病気が入り込んでくる。
 
 今回の郵便局のような職場のいじめは、誰か一人、たった一人が男性の味方になっていれば、男性は病気を発症しなくて済んだ。局員の中にはそのたった一人がいなかったのだ。つまり男性は避難する場所が無く、自分で抱え込んでしまうことしかできなかったのかもしれない。
 
 認定が覆ったことで男性は公務災害認定されるほか、06年の判断も解雇も取り消されることになった。男性の弁護側は行政訴訟を取り下げる方針であるという。日本郵政は「検討した結果、認定すべきとの結論に達した」とし、人事院職員福祉局は「日本郵政から申し出があり、妥当と判断した」としている。
 
 病気になった側はこれだけの苦労をして職務復帰するわけだが、こうさせた側に対するおとがめが一切無いのが不思議である。
  
 誰にでもプライドがある。男性は、こんなことで負けてはいけない、と頑張ってしまったために起こった出来事である。いじめた側はどうであったろう。「人間としての価値はない」と言った者は神にでもなった気分であったのだろうか。だとしても、郵便局という小さな組織の中の、小さなプライドである。
 
 
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★ 職場のいじめで不安障害、抑うつ状態を発症 富士通の元女性社員に労災認定 大阪地裁(本ブログ・10/6/23)
★ 退職強要、腹けられ 郵便局いじめ公務災害認定(読売新聞・10/7/4)
★ 教諭の脅迫的聴取で障害 元中学生、唐津市を提訴(産経新聞・10/7/4)
 

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