懐かしい再放送 「積木くずし〜親と子の200日戦争〜」
「積木くずし」は実在する俳優の一人娘が突然不良少女になってしまい、更生させるべく両親が奮闘する模様を描いたTBSのドラマだ。7回の放送で最高視聴率45.3%を記録し、民放ドラマとしては1977年以降1位の記録を保持している。
俳優穂高信彦(前田吟)の一人娘である香緒里(高部知子)が地毛に色が入っていたことから不良少女からいじめを受けるが、「いじめられるならいじめる側に回る」として突然派手な服装で不良少女になってしまう。母親の三枝子(小川真由美)は過保護に育ててきたこともあり戸惑う。そして警視庁少年第1課少年相談室の心理鑑別技師・竹村宏(古谷一行)を訪ねる。
「少し、いじりすぎましたかね」という竹村は穂高夫妻に対して5つの約束を守るように指示をした。1つは「子供と話し合いをしてはいけない」、2つ目は「子供に交換条件を出してはいけない」、3つ目は「日常のあいさつを正しくする」などといったものだった。「お子さんがうちに帰ってくるまでは放っておいて決して捜さないでください」ともいう。夫妻は戸惑い、「香緒里は体が弱い。もし外で倒れたらどうするのですか?」といえば竹村は「その時は誰かが119番してくれます」などという。
高部知子と小川真由美がケンカをするシーンはまさに体当たりの演技だ。再放送に関しては放送前にお断りがあり、「この作品は実話に基づいてドラマ化したものです。未成年の不適切な行動の描写がありますが、作品のテーマ性をかんがみ当時のまま放送します」となっている。おそらくシンナーやタバコを吸うシーン、暴力をふるうシーンなどを指しているに違いない。
ドラマはノンフィクションであり、俳優・穂積隆信さん(79)の原作だ。一人娘というのは由香里さんのことである。本編では激しい親子の戦いが描かれており、当時の不良少年少女の行動なども垣間見ることができる。
このドラマは淋しい。なぜなら現実の話がドラマを上回ってしまったからである。夫妻は離婚し妻は自ら命を絶った。そして由香里さんは2003年8月に心不全のため35歳という若さで他界した。穂積さんは由香里さんの遺灰を少し混ぜた手のひらに収まる「ミニ墓石」を持っていて、由香里さんに話しかけているのだという。
ひまわりは群生していると、背の高いひまわりの陰になって背の低いひまわりが見える。それでもそのひまわりは空を仰ぐ。由香里さんはそんなひまわりだったのではないだろうか。
※ 2018/10/20 追記
2018年10月19日に穂積隆信さんが87歳で逝去されました。心よりご冥福をお祈りいたします。
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