死刑を考える人たち

 千葉法相が1年ぶりの死刑を行ったことを明らかにした。死刑存続派からは「当然だが遅すぎた」という声が聞こえ、死刑廃止派からは「前回の執行から1年という時期を選んだことに憤りを感じる」といった声が聞こえる。
 
 死刑が執行されたのは、東京拘置所(東京・葛飾区)にいた2人の死刑囚。06年に宇都宮市内で宝石店従業員6人を焼死させ、強盗殺人と現住建造物等放火罪で刑が確定していた男(59)と、03年埼玉県熊谷市などで男女2人を殺害するなどした殺人、同未遂、逮捕監禁罪などの罪で刑が確定した男(33)。
 
 もともと人権派弁護士出身、死刑廃止論者であった千葉法相が死刑執行命令書に署名したことは意義深い。これまでの法相では思想信条から死刑執行命令書に署名をしなかった杉浦正健氏がおり、その一方で在職中に13人の執行をした鳩山邦夫氏もいる。90年代に入ってから法相のもとでの死刑執行は平均すると4人ほどになる。
 
 「自らの責任があるから」と死刑執行に立ち会ったことも法相としては初めてである。この時期の死刑執行に、参院選で落選した千葉氏がそれを成したことに対する批判もあるが、執行書にサインはしないであろうと法務省幹部ですら思っていただけに「職責を全うしたのではないか」という声も聞かれる。
  
 一方、裁判員裁判で「死刑を選択するような裁判には参加したくない」という声も聞かれる。これは裁判員の思想である。しかし、今後は国民誰もが死刑に関して考えなくてはならないことを意味する。裁判員も死刑選択が視野に入ってきた事案ならば、どんな気持ちで審判の話し合いをすることになるのだろう。
 
 「政治パフォーマンス」にしては、荷の重い仕事に立ち会った千葉氏である。拘置所長、検事、教誨師(きょうかいし=罪を犯したものを教え諭す者)と一緒に立ち会ったこの仕事を「パフォーマンス」だと片付けるのは短絡的だ。
 
 2005年、広島市で女児(7)がわいせつ行為の後に殺された事件で、殺人などの罪に問われていたペルー国籍の男(38)の控訴審判決が28日にあったが、広島高裁は、死刑を求めた検察側、無罪を求めた弁護側双方の控訴を棄却、一審広島地裁の無期懲役を支持した。あいりちゃんの父親は「遺族としては妥協せずに極刑を望んでいる。さらなる長期化も覚悟している」と落胆した様子だったという。
 
 
 死刑選択について、これだけ重荷を背負って苦しんでいる人がいるということを、罪を犯す者は考えたことがあるのだろうか。
 
 
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