母の日の悲劇「サツキを見せてあげたい」95歳母と娘が死亡 広島・福山
草花というのがきれいに感じる季節である。その色といい、香りと良い、静かにたたずんでいる植物の小さなショーが始まる。じっと見ているとミツバチが花の中心にとまる。蜜を吸うとまた飛び立った。
いつの瞬間からか、植物の命に心を奪われるときが来る。動いていないこの生命体に不思議を感じて興味を持つ。花を美しいと思う自分がいる、という再発見がある。そして美しさを共有できる人がいることで、幸せを感じることもある。
美しさを共有しようとした母の日に悲劇が起きた。広島県福山市で乗用車がため池に落ちる事故があった。深さ1.5メートルの池から車は引き上げられたが、運転していた同市内の女性の茶道講師、Hさん(61)と、母親で同県尾道市のTさん(95)は死亡した。死因は水死。
広島県警福山西署によると、Hさんは母の日の今日、「庭のサツキを脚の悪いお母さんに見せてあげたい」とTさんを迎えに行き、自宅に戻る途中だった。Hさんが運転操作を誤ったとみられている。
母の日に、と思うのはあまりに気の毒である。この事故を少しでも良かったと考えたい。考えるとするならば、娘さんが車の中で「お母さん、庭のサツキがきれいですよ」と話したことで、和やかな空間が車の中に生まれたのではないかと思いたい。最後まで一緒にいられる親孝行なんて、そう簡単にできるものではない。
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★ 「母の日」孝行が 車ため池に、95歳母と娘死亡(読売新聞・10/5/9)
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