岡山女児不明事件は無事解決 報道被害をなくそう
岡山女児不明事件は女児が無事に保護され、49歳の男が監禁容疑で逮捕されるという解決を見ることができた。男は略取誘拐容疑でも調べが進むという。この事件の解決に大きく貢献したのは岡山県警の努力だけではなく、女児の母親の防犯意識の高さが要因の一つである。
女児が不審な男につきまとわれていることを警察に相談していた。さらに、不審車両のナンバーの一部を控えていた。そして女児には位置情報を示すGPS付携帯電話を持たせて有事に備えた。
犯罪に巻き込まれた場合、こうして活動の履歴を作っていくことは有益である。もしこれがナンバーも分からず、GPS携帯も無かった場合、警察は全くのゼロの状態から捜査をしなくてはならず、解決に時間を要したであろう。
車両ナンバーというのは譲渡しようと廃車にしようと、所有者情報というのは半永久的に残る。ゆえに、近所に不審な車があれば、そのナンバーを控えておくことは無駄ではない。日時と場所も同時に記録しておくとよいだろう。
事件の解決に当たって検索した事がある。被害女児の名前である。公開捜査になった時点では名前や写真の公表は必要だ。しかし女児は無事保護されて犯人は捕まった。この時点で名前は忘れ去られるべきである。
かつて「松本サリン事件」(’94年6月)発生時、第一通報者である男性会社員が重要参考人として警察の聴取を連日受ける事となった。趣味の写真の現像に使う薬品や殺虫剤があったことから、調剤ミスで有毒サリンを生成させたという見立てが警察によって行われたためだ。
しかし犯行がオウム真理教によるものと判明するまで、男性は警察やマスコミに犯人扱いされ、自宅には嫌がらせの電話や手紙が殺到する事になった。男性はただのサリン中毒による被害者であり、奥さんは回復する事なく2008年に亡くなっている。
当時の報道では、男性の家系図まで調べ上げた週刊誌があったほか、別の報道では「隣人とトラブルになった事もある」などとし、事件を起こしそうな犯人像を世間に印象づけた。
被害者は被害者でしかないのである。
報道機関も間違えたのであれば謝罪と訂正を速やかに行うべきである。被害を受ける事になった社会的損失は大きく、名誉の回復は崩壊しているのである。
そして報道だけではなく、ブログやニュースサイトを運営している管理者は女児の名前を即刻削除し、犯罪がなぜ行われたかの検証に尽力すべきである。不必要なプライバシーの掲載は”報道被害”を作り出す事になる。
ウエブサイト運営者も報道機関と同様の情報発信ができるようになったが、内容に注意を払うのは報道機関と同じであり、2010年3月に個人発信のネット情報について最高裁第1小法廷は、「他の表現手段と比べ、より穏やかな用件を適用すべきではない」とし、「報道と同基準である」と初判断をしている。(時事通信・10/3/16「名誉毀損『報道と同基準』 ネット書き込みで初判断 最高裁」)
自戒を込めてもっと言えば、事件が公訴されて判決確定したら、それもできるだけ追って伝えるべきである。事件事故の発生は流行ではない。精査検証して今後に役立たせなければ、社会正義構築にならず、被害者も本当の意味で救われなくなる。
岡山の女の子は無事に保護されて本当によかった。ギリギリ夏休みに間に合ったといえるだろう。これで地域の子供たちも安心して夏休みを過ごせる。被害に遭った女の子も不毛な日々を忘れられるような、楽しい思い出作りができるに違いない。
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