ネグレクト:相次ぐ虐待、両親を逮捕 奈良(2010.3.4)
奈良県警捜査一課と桜井署は保護責任者遺棄致死の疑いで桜井市内の夫婦を逮捕した。保護する責任がありながら、長男(5)に充分な食事を与えずに餓死させた疑い。逮捕された母親(26)は調べに対して「夫婦仲が悪く、(長男が)夫に似ているのが憎らしくて虐待してしまった」と供述。父親(35)は「食事を与えていないことは知っていたが、見て見ぬふりをしていた」と供述している。三歳の長女は健康上の問題はないという。長男は警察官に発見されたときには、骨と皮の状態で紙おむつをされていたという。
2005年以降、夫婦は長男の乳幼児検診を受けさせていない。国や県の指導では、未受診が続いた場合は家庭訪問などで虐待の有無を確認する事が自治体に求められている。桜井市は電話と封書で計5回、受診を促したが虐待の兆候に気付かなかった。母親は「妊娠しており安静にしなければならないので受診できない」「介護など家庭の事情で受診できない」などと断り、市は疑問に思わずに家庭訪問等をしなかった。虐待を担当する児童福祉課は連絡を受けておらず、同課では「未受診を知っていれば、何らかの対策がとれたかもしれない。幼い命が奪われ、非常に残念でならない」とコメントしている。
絶えることのない虐待事案だが、関係職員が定期的に家庭訪問するといった対応は不可能であろうか。私の妹夫婦の住む自治体では職員が”家庭訪問”に訪れたという。いろいろ質問され、「子育ての悩みはないですか」、そして「死にたいと思ったことはないですか」とも聞かれたという。子育てに疲れて子供をあやめる母親もいる。こうした単刀直入な質問で顔色の変わる母親もいるはずである。
親子三世代で住んでいたのは昔の話し。相談できる人が身近にいなくなり、世帯が社会から孤立しがちである。個人主義、そして便利だが速すぎる世の中についていけない人たちも出てきている。夫婦仲が悪いこともありえることだ。しかし、周囲に子供を育て上げる環境が整っていれば助かった命である。
二人は法律によって裁かれるが、それに依ることなく、一生十字架を背負って生きていくことになる。亡くなった長男は薄れてゆく意識の中でも、両親が助けてくれると思っていたはずだ。この夫婦は長男が「ママ、パパ」と最初に口にしたことを忘れてしまったのであろうか。長男が最後に残した言葉は何だったのだろうか。この子に絶望という体験をさせた罪はあまりに大きい。
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