ウィニー、有罪
ファイル交換ソフト「winny」が著作権法違反ほう助に問われた裁判で、元東京大学院助教授(36)の判決が京都地裁であり、罰金150万円(求刑懲役1年)の有罪判決となった。判決では「積極的な著作権侵害を意図したものではない」としたが、「明確な認識、認容がある」とした。
問題なのは、このソフトがネット上で公開されていたことだろう。正式なソフトとして開発・販売されていたら状況は変わっていたかもしれない。このソフトの及ぼした影響はウイルスに感染したファイルが流出するなど社会問題となったのは自明。しかし、ソフト自体は直ちに著作権法違反ほう助となりえたかどうか。
これが有罪であれば、有価証券を偽造できるような写真・画像加工ソフトの類も法の網にかかることになる。iTunesとて、コピーを助長するようなものではないとは言い切れない。You Tubeなどの動画共有サイトも直ちに違法となりうる。
しかし、文章や画像、映像が乱れ飛んでいるインターネットは匿名性ゆえに、引用や著作物のやりとりが頻繁に行われているのが実情だ。もしこれが匿名ではなく、実名でのやりとりであったら、ネット犯罪はほとんど無くなることだろう。
ネット社会は過渡期だ。ネチケットは教わらないといけない人、最初から分かっている人もいる。大事なことは教育であろう。被告は積極的に著作権を侵害したとは言えなくても、未必の故意くらいのことは感じていたかもしれない。教育界に身を置いていた被告が取った行動は正しかったか。ウイルスや著作物の侵害に積極的に関与した人物は断罪されないのか。被告は即日控訴した。
ついでながら、本当に大事な著作物ならネットにそれを上げないのが一番賢明だ。
☆ 発見を妨げる最大の障害は、無知ではなく、知っていると錯覚することである(ダニエル・J・ブアスティン)
※ 2011年12月20日、最高裁判所は検察側の上告を棄却し、開発者である男性の無罪が確定した。
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★ ウィニー開発者に罰金150万円、著作権侵害を認識(読売新聞・06/12/13)