のどかな街を切り裂く 東京・練馬で児童を切りつけた男を逮捕(2013.6.28)
都市計画地域の中に風致地区と呼ばれる地域がある。風致地区というのは自然の美しさを保護するために規制されている地区であり、神奈川では藤沢市の湘南地区、大阪市では夕陽丘、神戸市は六甲山、奈良市春日山、福岡市松崎など、平成24年3月現在、全国で762地区が風致地区に指定されている。自然美ではなく、神奈川県鎌倉、岐阜県飛騨高山のような人工美を守る都市計画地域は景観地区という。
東京・練馬区の北西部に位置する大泉地区は23区でも指折りの「風致地区」に設定されている場所である。都内では杉並区善福寺、千代田区お茶の水、大田区と世田谷区にまたがる多摩川など21地区が指定されている。
そんなのどかな場所である、練馬区大泉町で子供が襲われる事件が起きた。28日午後1時40分ごろ、同区立大泉第一小学校から「ナイフを持った男に児童が切りつけられた」と110番通報があった。ケガをしたのは一年生男子児童3人でいずれも軽傷。
3人の児童は校門付近で男にナイフで襲われた。近くにいた交通指導員の男性(71)が誘導に使う旗を持って立ち向かうと、男は車に乗って逃走した。男性は車のナンバーを控えていた。
通報から50分後、現場から北部に10キロほどの埼玉県三芳町で埼玉県警東入間署の警察官が手配された車を発見、職務質問したところナイフを所持していたため、銃刀法違反の現行犯で身柄を拘束された。
警視庁石神井署によると、逮捕されたのは事件現場近くに住む、男の容疑者(47)で、調べに対して「ナイフは持っていたが悪いことはしていません」と供述しているという。容疑が固まり次第、傷害か殺人未遂の容疑で逮捕する方針。
大泉第一小学校の校長は「下校時というのはこれから遊びに行こうとか、楽しい時間なんです。こういうときを狙う犯人は許せない」と語気を強めた。
評価しなくてはならないことがある。
事件発生から1時間も経たないうちに、隣接する埼玉県警が容疑者を補足したということである。県境で事件が発生した場合、警察本部同士の連携は欠かせない。かつて、東京・町田市で銃を所持した男が警察官に発砲して逃走した事件では、警視庁と隣接する神奈川県警との連携がうまくいかず、緊急配備の情報も共有できなかったことから、犯人を逮捕するのに時間がかかった。
今回、警視庁と埼玉県警の連携がうまくいったのは、かつて東京・埼玉で発生した連続幼女殺人事件がきっかけだったという。子供が被害に遭ったときにどう連携するのか、情報共有をどうするのか訓練を重ねた。
地域に配置されていた交通誘導員の男性のとっさの判断がよかった。子供が襲われているのをみて、すぐに男に立ち向かった勇気は賞賛されなくてはならない。
子供が受けた恐怖を払拭するために心のケアも課題だ。小さなころに受けた恐怖というのは記憶として残る。校門を出るたびに怯えなくてはならない、そんな怖い思いをさせては絶対にいけない。しかし、誘導員の男性がそこにいること、守ってくれるかもしれないという安心感を子供たちは感じたことだろう。
とにかく大きな事態にならなくて良かった。小さな子供たちをみていると、この子たちに未来は託されていると感じる。自分は十分生きた、交代すべき命はあってもいいと思う。刃物を振り回した男に立ち向かっていった誘導員の男性は「自分はどうなっても良いから子供たちを守ろうと思った」と語った。その勇気に敬服である。
そしてそういうかたにはもっと人生を歩んでいただき、生きることの大切さ、悪に立ち向かう勇気、守ってくれる人たちの存在、そんなことを子供たちに話していただいたいと思う。横断用の黄色い旗が、明日からも子供たちの安心のために振り下ろされること切望する。怖い思いをした男の子たち、男に立ち向かっていった男性をどう思っただろうか。早く元気になるといいね。
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★ 練馬児童切りつけ 容疑者の車にナイフ2本(日テレニュース24・13/6/28)