懐かしい再放送「がんばれ!ロボコン」
小学生のころ、都内に住んでいた漫画家の石ノ森章太郎さん宅にお邪魔したことがある。グループ研究の類で、5人ほど集まって石ノ森先生にお話を聞きに行った。自宅前には等身大の仮面ライダーの模型があった。さすがに”アポなし”での取材は迷惑だったようだが、「明日ならいいよ」と応じてくださった。それにしても、どうやって住所を調べたのだろう。
そんな石ノ森章太郎作品で代表的なものの1つが「がんばれ!ロボコン」である。実写の子供番組としては異例の118話まで続き、現在もその記録は破られていない。長いことビデオやDVDでの販売はなかったが、昨年からCSで再放送、同時にDVDも段階的に販売されている。
「ロボコン」は東京・練馬区に東映大泉撮影所があることから、主に練馬区西部とその周辺で撮影されていた。そのため都立石神井(しゃくじい)公園も頻繁に出てくる。実際に住宅街の交差点で映った「飛び出し注意」の立て看板には、実在する「石神井警察署」と記されている。
また、由利徹演じる「町田巡査」が勤務している交番を見ると「警視庁石神井警察署・高野台派出所」と、実在する町名が表示されていた。この交番は本物ではないか、そう思ったので調べてみた。現在の管轄である、光が丘警察署のホームページが少し変わっていた。交番の紹介はどの署のホームページでも確認できるが、ここだけは珍しく交番の歴史が紹介されている。奇跡的にも、昭和44年に新築されたという当時の派出所の写真が載っていた。今ではあり得ないが、これを見て”本物の交番”を撮影に使っていたことを確信した。現在は移転して、「警視庁光が丘警察署・練馬高野台駅前交番」となっている。
ロボコンは「A級ロボット」を目指すために、人間社会に奉仕しようとロボット本部からやってくる。100件目の訪問先である「大山家」でようやく居候をさせてもらうことができる。ゴキブリを見るとパニックを起こして家中を破壊してしまうが、どんなことにもめげずに「ロボ根性」で困難に立ち向かう。しかしロボット学校に戻っても、ガンツ先生の採点はいつも「ロボコン0点!」である。そんなときには両手を頭で抱えて「ウララ~」と嘆くのがお決まりである。
ある日、大山家の長女「みどりちゃん」(ロボコンは舌足らずなので「どりちゃん」と呼ぶ)が、「ロボットなんて大嫌い!ロボコン、近寄らないで」という。さらに「ロボコンは(鉄でできているので)冷たいでしょ。温かい血が流れていないからよ」と言う。怒ったロボコンは「確かにおいらは鉄でできているが、誰にも負けないロボ根性と熱いハートがあるのだ!」と、頭から煙を出して言う。この回では、どりちゃんに好かれるべく、「ウララ〜」と失敗しながらも、ロボコンの奮闘が見られることになる。
人情味のあるロボコンはこの他にも、仲間のロボットを救うために体内の大切な部品を渡してフラフラになったり、仲間の代わりにダイナマイトで木っ端みじんになるなどさんざんな目に遭う。ロボコンは最終回を迎えるまでに、何度か100点を採ることがあるにはあるのだが・・・・。
かつてソニーがAIBOを発売した際、海外では「そのロボットは何かに役立つのか」という反応があった。日本人はAIBOをペットの替わりとしていたが、ロボットに対する欧米との考え方の違いを垣間見た。最近では表情豊かな女性ロボットも出現し、また、人の介助に適したロボットも実用化に向けて開発されつつある。
ロボットは確実に進化をしているが、人間は進化しているだろうか。紛争が絶えることなく、欲に群がる人間の意識は全く変わっておらずに歴史は繰り返されるだけである。正確に言うと、人間はわずかながらに進歩しているのだが、大きな進歩を完遂する前に死んでしまうのである。それを分かっている者は、命を冒涜するようなことはしないであろうし、自らを粉にして現実と闘うことだろう。
時代は変わっても、時の流れは変わらない。「ロボコン」の話の最後に、子供たちが「ロボコン、おうちへ帰ろう」と、ロボコンの手を引いて帰るシーンがある。それは夕焼けのきれいな、昭和の一コマである。
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