言葉のリサイクル

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車に乗らない若者

 「今の若者は車に乗らず、飲み会にも行かず、旅行もせず、趣味は貯金という寂しい世代」。
そんな文句が今春くらいに多く見られた。しかしこれは不気味なほど堅実な若者の姿であろう。金回りがよければ、勢い余って車でもオーディオでも買ってしまうのが若い男性の性というものだ。その自制が働いているだけ実に賢いと思う。
 
 そもそも高賃金は期待できず、年金は崩壊し、車に入れる液体も信じられないくらい値上がりしている。勢い余って車を買おうにも、最初の一歩が踏み出せないのは当然だろう。今は若い男性にとって我慢の時なのかもしれない。
 
 苦しんでいるのは若い男性ばかりではない。若くない男性も苦労しているようだ。一時期に比べて接待ゴルフは激減し、中高年のゴルファーが少なくなっているのだ。
 
 平成バブルの時に、誰もが好景気に浮かれていた中で、堅実に貯金をしていたのは女性だった。バブル崩壊後、マンションを購入する20代から30代の女性が多く見られた。女性というのはそういう堅実な才能があるようだ。
 
 昨今の若手プロゴルファーの活躍も後押しし、ファッショナブルな服装に身を固めて低価格となったゴルフをプレーする女性が増えているのだ。これまでゴルフに触れたことのなかったファッション雑誌もゴルフ特集を組んだ。
 
 こう考えると、男性は不景気を乗り切る策において、女性を見習った方がいいかもしれない。苦難の時代をさらりと乗り切っているのは女性なのだ。
 
 車がステータスであった時代、誰もが立派な車に乗っていたわけではなかった。中古車もあれば軽自動車もある。それでも「家まで送ってあげる」と言えば、大抵の女の子は喜んだ。車の種類ではなく、あの狭い空間に女の子と二人きりになることのできる口実が車だった。あの空間をコミュニケーションの一つとしていた。今はそのコミュニケーションの手段が、携帯になり、メールになり、ネットになっただけに過ぎないのだと思う。
 
 いつの時代も男は大変です。
 
  
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