言葉のリサイクル

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働き方改革

 
 「お客様のいない時間に配達する方が悪い」
 
 「宅急便」を運営するヤマト運輸がかつて時間指定配達サービスをするに当たって語った言葉を覚えている。確かに不在時に配達するよりも効率的に再配達できるサービスは、荷物を配達する方と受け取る方両者に利益があった。しかしネット通販が拡大することによって、指定時間配達が困難になってしまった。
 
 ヤマト運輸の労使交渉では、追随する他の事業所も注目しているという。業界大手のヤマトが送料の値上げに踏み切ってくれれば、当然他の事象所も値上げしやすいというわけである。
 
 ことさらネット通販という身近なものであるがゆえにヤマトの「働き方」に注目が集まっているが、一方で、ヤマト運輸は健全な営業活動であり、あたかも利用者がヤマトに寄り添うような考え方はおかしい、利用者も健全な経済活動をしているだけだ、という声もある。
 
 勿論、利用者にしてみれば、合法的にネット通販などを利用して宅配会社を届けてもらっているだけで、はっきり言って事業所が大変だろうと何だろうと「関係ない」というものの見方も出来る。正しい。
 
 ヤマトに注目したいのは、今の少子化人手不足が如実に表れているライフラインだからである。物流が停滞すれば通常の経済活動にも支障が出る。再配達に関わるコストや排気ガスに交通渋滞を考えれば、無駄なコストはなければない方がよいという考え方が健康的である。
 
 人手不足はサービス業を筆頭にどの事業所でも頭の痛い問題である。人材がいないのではなく、人がいない。人が集まらなければ人を育てて人材にすることも出来ない。
 
 大手ファミリーレストランも、24時間営業の形態から撤退することを決めており、実行に移している。人口比率の波が大きく変わったことに加えて利用者の生活様式も変化した。人々が疲弊し、過労死の問題もある中で、さまざまな会社が働き方を変えようとしている。
 
 前のエントリで「微力ながら宅配ボックスを備え付けた」と書いた。利用者が宅配事業者に気を使う必要など全くないが、それも少しだけ経験のある仕事だからだ。
 
 再配達のシステムが確立していなかった時代、留守の家には気が済むまで何度も何度も車を走らせた。加えて携帯電話もなかったので在不在の確認も出来ず、重い荷物を持って高層階まで運び不在と分かった時の絶望感は今も記憶に残る。
 
 暑い日、荷物を届けると、年配の女性が「ちょっとまって」と言ってアイスキャンディーを差し出した。受け取れません、と断ったが結局頂戴することとなった。こうしたこと、ちょっとしたことが報われるので、ぜひ、ちょっとした改革で働く人たちが幸せになれるように考えたい。生身の人間が働きます、幽霊に働かせるのはもうやめましょう。サイダー味のアイスキャンディーはおいしかったな。
 
 
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★ ヤマト、労使で合意した「働き方改革」の全容(東京経済オンライン・2017/3/20)
 

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