言葉のリサイクル

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「家政婦のミタ」にみる笑えない人 たち

 テレビを見ていてある人を思い出した。その人は病名は分からなかったが、笑うことができなくなってしまっていた。原因は人間関係である。軽い抑うつ症状も出ていた。
 
 しかし全く笑えないわけではない。ある日その人がくだらないことを言い、その内容がツボにはまってしまって私が腹を抱えて大爆笑、5分間くらい泣きながら笑いが止まらなかったことがあった。その人はそんな私を見て口元だけ少し微笑んでいた。声を上げて笑ってもおかしくない状況だったが、その人の笑顔はそこまでだった。
 
 日本テレビ系列ドラマ「家政婦のミタ」で主人公の三田灯(みた・あかり=松嶋菜々子)は笑うことができなくなってしまった人である。現時点でその理由は分かっていないが、かつて夫と息子が亡くなったことに関して三田に負い目があり、2人の葬式の時に義母から「もう2度と笑うな」と激高されて以来笑わなくなっているのではないかと推測できる。
 
 三田が家政婦として送り込まれた阿須田家は子供が4人いるが、父親・恵一(長谷川博己)の不倫が原因で母親・凪子(大家由祐子)が自殺。そのことが引き金となって家族は空中分解していた。
 
 そんな中で三田は喜怒哀楽の表情を一切表に出さず、冷酷なロボットのように「承知しました」の一言で仕事を引き受ける。業務命令なら何でもこなし、伝言をする際も相手からの文言を完璧に覚えている。ある日長男・翔(中川大志)が「やらせてくれ」というと、「承知しました」と言って服を脱ぎ出すほどである。
 
 しかし、笑えという命令には「どうしてもと仰るのであればお暇を頂きます」と言い、自身の過去のことについても「個人情報はお伝えできません」と拒否する。それ以外であれば基本的に何でも行い、長女・結(忽那汐里)が「私を殺して!」と懇願すると「承知しました」と言って包丁を上から振りかざすように持って結を追いかける。恐ろしくなった結は物を投げつけるが、何故か全てはねのけてホラー映画並みに執拗に結を追い回した。
 
 阿須田家の家族が「三田さん、どうしたらいい?」と言うと、「それはあなた(たち)が決めることです」と突き放す。しかし三田も徐々にではあるが、質問に対して忠告をするようになっていく。
 
 「家政婦の三田」に笑う日が訪れるのだろうか。そして阿須田家全員が笑うことのできる日が来るのだろうか。
  
 心の闇に感情を閉じ込めてしまった人は笑わなくなる。笑う感情よりも強い責務がのし掛かってきた時にそうなってしまう。冒頭に出てきた「笑えない人」がその後どうなったかは分からない。ただ笑うという人間だけの感情表現を早く取り戻していたらと願う。私を笑わせたのであるから大きな前進だったに違いない。
 
 重いストレスを抱えると笑えない。暗い話が明るくなるのは何がきっかけになるのか。最初に笑顔を見せるのは誰なのか。笑顔を見せるきっかけを作ってくれるのは何なのか。そのきっかけは作れるものなのか。
 
 笑顔は人を笑顔にし、笑い声は相手の全身に心地よく響く振動だ。同じ人生を送るのであれば、笑う時間を人生で長く持っていたいものである。怒っている人や泣いてる人を一転にして楽にする、笑顔にはそんな力が働く。そして笑顔は必ず相手に伝染する。僕たちはそれを、生まれたときに覚えた。泣いて生まれてきたのに、笑顔で迎えてくれた。
 
 
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★ 家政婦のミタ(日本テレビ)
 
 

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