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昨今の事故にみる「山岳救助警備隊」の存在

 今年は山の事故のニュースを多く見聞きしている感じがある。北海道では登山ガイドの適切な判断が行われなかったために死者を出した。岐阜県高山市の奥穂高岳では、救出に向かった県防災ヘリが墜落する事故があり、群馬県内では「クレヨンしんちゃん」の作者である臼井儀人さんが滑落死した。あまり報道されていないものも含めれば、毎年多くの人が遭難、行方不明になっているのだろう。
 
 山で遭難すると、一般にはその山を管轄する都道府県警の山岳警備(救助)隊などが出動、自前のヘリで救出に向かうことになるが、警察人員だけでは足りない場合、特に徒歩での捜索となると民間の救助隊員や民間ヘリなども使うことがある。警察や消防ではないので、こうした捜索には費用がかかる。
 
 日本は国土のほとんどを山岳地帯が占める。それだけにこうした救助活動に従事する人たちの存在は心強い。日本は魅力的な山が多いことに加え、近年の登山ブームで気軽に山の頂を目指す人が増えた。しかし、一見すると穏やかな山も時に自然の力を人間に見せつけることがある。朝まで穏やかだった山が突然牙をむくことで、滑落や遭難などの危険に巻き込まれる。
 
 こうした状況に対応できるように、各都道府県警には山岳救助専門部隊が存在する。例えば東京の場合、西多摩郡奥多摩町を管轄する青梅署には山岳救助隊があり、檜原村などを管轄する五日市署にも存在する。通常はそれぞれ配属署での勤務をしているが、ひとたび山岳事故が起きれば山岳救助隊員となって現場に向かう。同様のことが他道府県警の所轄署にも言える。
 
 さらに機動的に組織されているのが、長野県警山岳遭難救助隊、富山県警、岐阜県警の山岳警備隊だ。こちらは山荘などにある派出所に隊員が常駐しており、事件事故に対応する体制を整えている。隊員と言っても無作為に選抜されたわけではなく、山岳経験があり、山岳警備を希望する警察官がその任務を担う。当然のことながら、日々厳しいトレーニングを積んでおり、一般登山者の登山技術よりも高くなければいけない。救護者を背負ったフリークライミングや、絶壁での救助活動などは訓練なしにはできないことである。
 
 富山県警によると、08年の遭難件数は133件、遭難者数は159人で過去最悪だった。こうした状況に対応すべく、今年の4月、山岳警備隊指導官として西本隆夫警部(60)を再任用した。天候不良でヘリが出動できない場合の救助活動について、若い隊員に指導するという。
 
 富山県警山岳警備隊は国内でも随一の救助力があるとされる。登山者の間では山の県境で落ちそうになったら「富山県側に遭難しろ」との合い言葉があるほどだとか。(参考・ウィキペディア)
 
 警察にしろ消防にしろ地元の山岳会員にしろ、こうした活動をしてくれるというのは本当に心強いことである。
 
 しかし同時に考えなくてはならないことがある。
 
 前のエントリにも書いたが、入念な登山計画もなく、登山に必要な装備も持たずにハイキング気分で登山に臨むことは大変危険なことである。そして遭難者を救助するにはどれだけのコストがかかるか考えた方がよい。
 
 ヘリを1回飛ばすのでも燃料費はただじゃない。警察や消防などの救助で全て終われば税金で賄われるために費用はかからないが、民間の山岳捜索団体やヘリに依頼することになると、捜索隊員1人あたりの日当が夏山で1〜2万、冬山で3万円、それに加え、岩山などの危険手当が1.5万円、日没夜間手当が1万円、捜索に伴う宿泊や交通費は実費が請求される。ヘリが1分1万円が目安で1往復で100万円以上かかることになる。金額はあくまで目安である。
 
 警察の救助がままならないときに、家族に承諾を得て民間の力を借りることになるが、山岳保険、登山保険などの商品があるようなので、登山が趣味の場合は加入をおすすめしたい。
 
 お金の話になってしまったが、救助する人たちは当然危険な場所にわざわざ出向くわけであり、相当のリスクを覚悟して任務に就く。厳しい訓練をしているとはいえ、富山県警では2人の殉職者を出している。楽しい登山も1つ間違えれば大事故に繋がり、多大な迷惑を他人にかけることになる。
 
 あのエベレストも登山者の1割は下山しないままになっているという。エベレストから遺体を搬送することが出来ないので、多くは凍結したままになっている。
 
 今は自然が優しく迎えてくれるシーズンかも知れないが、遠くから見る山と直接足を踏み入れる山では景色が違う。その頂きに登りつめたときの達成感を味わうためにも、ぜひ登山情報には気をつけて欲しいところだ。そうすれば自然の恵みが大きく登山者を包み込んでくれることだろう。
 
 
☆ 「僕はずっと山に登りたいと思っている。……でも明日にしよう」おそらくあなたは永遠に登らないでしょう(レオ・ブスカリア)
 
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★ ヘリ墜落現場付近で男性重体 岐阜・高山 奥穂高岳 高所での救助経験はあった?(本ブログ・09/9/13)
★ 登山中のもしものために、山岳保険(All About・05/4/7)
★ 富山県警察山岳情報
★ 長野県警察山岳 山岳情報
★ 北アルプス秋山情報(岐阜県警察本部)
 
 

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