どんな被告に対しても冷静な判断できるか 裁判員裁判

 青森地裁で3例目の裁判員裁判があった。強盗強姦罪などの罪に問われた男性被告(22)を審理することになったが、被告が罪を認めていることから量刑が焦点となった。被害女性2人のプライバシーを保護するために氏名は伏せられ、「Aさん」「Bさん」となり、住所も省略されるなどの配慮がみられた。
 
 裁判員の男女比が5:1、補充裁判員は同1:2となり、性犯罪者を裁くことに懸念する声も出た。本当に被害者の気持ちをくむことができるかどうかという意味もある。しかし裁判員の男女比を問題にすることは意味のあることか。初の裁判員裁判で裁かれた男性被告人(72)は「もっと年配の人に裁いて欲しかった」と述べている。
 
 裁判員裁判の利点の1つは量刑にプロの裁判官の判断だけではなく、民意が反映されることにある。裁判員と裁判官で裁かれる部分に民意が込められることに意味がある。裁判員の年齢や男女比が偏っていたとしても、真実を追究するために裁判員がそこにいることに代わりはない。
 
 さらに、殺人事件や強姦事件といった凶悪事件の内容は全てが異なる。裁判員のみならず、被告人や被害者も性別が違えば年齢も違う。だから無作為に選ばれた裁判員は意味がある。被告人や被害者が裁判員の年齢性別を選ぶようなことがもしあれば、裁判の公平性という根本的な部分が意味を成さない。
 
 新しい事柄が始まると誰かや何かに負担が生じることがある。それが裁判員裁判において、性犯罪被害者であったことは残酷であったかも知れない。
 
 被害者の1人は意見陳述で「(報道されるのも)嫌だった」としたが、被告人の不幸な生い立ちに対して「私も母子家庭で育ちました。育った環境と事件を起こしたことは関係ありません」と述べ、「この場に来るかどうかとても迷いましたが、一言気持ちを伝えることでいくらかでも刑が重くなるのであればと勇気を出してきました。犯人はとても許せるものではありません。一生刑務所に入って欲しいと思います」などと述べた。一般国民である裁判員にこうした声が直接届いたことは意義があると思う。
  
 これまでの裁判員裁判では被告人全員が罪を認めており、量刑審理が焦点となっている。これから問題になるとすれば、被告人が容疑を否認したり、裁判員に暴言を吐くなどの悪態をつくようなことがあった場合である。さらに死刑が量刑の視野に入るような場合も裁判員は冷静な視点を持たなくてはならない。
 
 ところで裁判員裁判から除外される初の事案がさいたまであった。埼玉県ふじみ野市で住吉会系暴力団幹部が射殺された事件について、さいたま地検は組織犯罪処罰法違反(組織的な殺人)で起訴した山口組系幹部について、裁判員裁判の対象事件から除外するようにさいたま地裁に請求した。埼玉県警によると「近年では例を見ない大きな抗争」とのことで、裁判員に危害が及ぶ恐れがあるため。
 
 この事件は埼玉県三郷市で、山口組関係者が住吉会系組幹部らに刺殺されたのをきっかけに抗争に発展。埼玉県警は一連の事件で組関係者20数人を殺人容疑などで逮捕しており、上層部への突き上げ捜査を行っている。
 
 捜査関係者によると、山口組の組員らは、逮捕された組員の供述や捜査の行方を注視しており、公判廷には多くの組員が傍聴に訪れる可能性が高いという。そのため「法廷の質問などで刺激された組関係者が法廷外で裁判員に接触して脅したりする恐れもある」と言う。
 
 被告人が暴力団員だからといって直ちに裁判員が除外されるわけではない。裁判員法では、被告の言動などから、裁判員や家族が危害を受ける恐れがある場合には、裁判員裁判の対象から除外され、これまで通り職業裁判官だけで審理する。裁判員の氏名や住所などは公表されず、裁判所には金属探知機もあるため傍聴席に凶器の持ち込みなどはできないが、埼玉の事案は万全を期すための処置である。
 
 
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