大阪・キタの交通殺人犯を追え

 以前、都内で20代の女性が夜間に車ではねられた。はねた車は逃走したが、警察の捜査が身辺に及んでいることを察知して後日出頭、警視庁に逮捕された。事故現場周辺に住んでいた男は、ドアミラーの角度が気になっていたが、ふと目を前に向けると女性をはねていた。酒を飲んでいたことから恐くなって逃げたという。
 
 はねられた女性は病院に搬送され、そこに女性の父親が駆けつけた。横たわる女性を挟んで医師と看護師、そして父親が向かい合う。医師が女性の顔に手を伸ばす。そして腕時計を見ると、父親に向かってゆっくり頭を下げた。
 
 「何もしてあげられなくてごめんな。俺も後から行くからな」と、父親は号泣した。両親が早くに離婚しており、女性は男手一つで育てられた。婚約者もおり、これからが幸せという時の事故であった。
 
 こうした事故は全国で毎日のように起きている。安全運転を心がけていれば事故は防げる。酒など飲まなかったら、前方を走っていた被害者にすぐに気づくこともできた。そしてその場で救護措置をとっていれば、命を救えた。「酒を飲んでいたから恐くて逃げた」という意味のない理屈も必要なかった。こうした事故は常に悲惨なものであり、優劣は付けられない。しかし大阪で信じがたい事故が起きた。
 
 21日午前4時22分ごろ、大阪市北区梅田1の御堂筋、「阪神前交差点」で、東から走行してきた乗用車が横断中の男性をはねた。男性はそのまま引きずられ、5分後に3キロ離れた福島区吉野の路上で死亡しているのが見つかった。
  
 その後の調べで、逃走車両は蛇行運転していたことが判明、被害者を引きずっていることを認識し、振り払おうとした痕跡が路上の血痕から明らかになった。また、遺体発見場所近くの防犯カメラには該当車両と思われる車が映っており、はねた現場から遺棄現場まで平均時速30キロ未満で走ってきた可能性があることも分かった。車体下に被害者を引きずった状態だったため、速度が出せなかったと思われる。
 
 この事故には目撃者が多数おり、多くが「黒い車」と証言。防犯カメラに映っている車や時間から、証言に揺るぎはなく、車種の特定も近いと思われる。信号無視を繰り返した逃走車両は、遺体遺棄現場から西の此花区内でも目撃されている。早朝という時間もあり、防犯カメラが逃走車両のみをとらえていることが容易に想像できる。
 
 最初の現場は、停止していた容疑車両が発進後すぐに被害者と接触した。すなわち接触時は20〜30キロの低速である。この時点では軽い接触事故だった可能性がある。しかし犯人は救護することなく、引きずってそのまま逃走したことにより、もはや事故ではなく事件になった。
 
 大阪府警交通捜査課と曾根崎署は、こうした状況から殺人容疑も視野に入れて捜査している。情報は曾根崎警察署捜査本部(06-6315-1234)。
 
 
★ 男性がはねられた現場地図。逃走中の犯人は、停止線から発進して間もなく男性をはねた。
★ 大阪・梅田のひき逃げ:振り放し後に急加速? 約30キロ低速走行(毎日新聞・08/10/24)
★ 大阪・ひき逃げ「信号無視の黒い車」目撃(朝日新聞・08/10/24)
 
 

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