間違えた警察

 長野県岡谷市のスーパーマーケットで万引きをした”少年”が窃盗の現行犯で逮捕された。ところがその後の調べで少年ではなく少女(17)であることが判明した。
 長野県警岡谷署によると、少女は実在する少年の名前や住所が記載された運転免許証を持っていたため、同署では「全く気付かなかった」としている。免許証の写真は少女本人であり、偽造の形跡もないことから、交付の際に不正があったと見て調べている。
 
 どの段階で女性と分かったのか興味深いところである。捕まった少女は署内で男としてしばらく通したことになりる。見た感じもボーイッシュだったのだろう。見た感じ男の子のような女性であれば、免許証申請書に写真を貼り、写真撮影で名前を呼ばれたところで見抜けないかもしれない。名前も中性的な名前、例えば「かおる」「ひろみ」「ゆう」などならば、そのまま通してしまいそうだ。
 それにしても免許証交付の時点でも見抜けなかったのだから、これは困ったことである。窃盗で発覚したからよかったようなものの、犯罪者集団が身分を偽るようなことに使っていたら大変なことである。
 見抜けなかったと言えば、静岡県伊豆市内の”死体遺棄事件”もそうであった。発見者である男性が、袋から出ている”女性”の体を少し離れて棒でつついた。「感触がある、死体だ」。所轄署である大仁署員が駆けつけ初見で”死体”と断定。”死体遺棄事件”と断定し、現場に規制線を張り巡らせた。
 
 通常、すぐに犯人が判明するときなどは所轄署だけで捜査をするが、静岡県警本部から捜査一課員や幹部も到着、鑑識課員も指紋採取や遺留品の捜索を始める事態となった。もちろん”凶悪事件”にほかならないからだ。大仁署内では記者会見の準備も進んでいた。
 ところがである。検案室に運ばれた”遺体”は寝袋に入れられており、それを開けると”人形”であった。「頭髪と足先しか出てなかったために間違えた」と釈明する県警関係者。
 人形はシリコン製で人間と同じ大きさの物は30万円から100万円ほどするのだという。見つかった人形は168センチ54キロで、「弾力や見た目で少しでも”本物”に近づけるのがこの業界の生命線。いくら警察でもパッと見ただけでは分からないだろう」と”人形”業界関係者は言う。
 
 このままでは収まりが悪い静岡県警は警察業務を妨害された「悪質ないたずら」とし、偽計業務妨害で捜査を始める。ほどなくして大仁署に初老の男性が現れた。妻と死別し寂しさを紛らわすために人形を購入したこと、騒ぎは分かっていたがなかなか名乗り出ることができなかったこと、息子と同居することになり、こういう”人形”を持っていることが恥ずかしかったことを話した。
 精巧に作られた人形をバラバラにすると余計に騒ぎになり、またシリコン製のために焼却も困難だったという。結果として人目につく場所に捨てたのは「心臓が悪く重い物を遠くまで運べない」からだという。同署はいたずらの意図はなかったとして、廃棄物処理法違反容疑で書類送検して決着した。
 万引きをし、”偽装”免許証を所持していた悪意のある少女、寂しさを紛らわした結果に”死体遺棄”した悪意のない男性。警察の仕事は一筋縄でいかない案件もあるものだ。
 
 
☆ 孤独――訪ねるにはよい場所であるが、滞在するのには寂しい場所である(ヘンリーショー)
 
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★ 窃盗容疑で逮捕発表の「少年」、実は「少女」だった…長野(読売新聞・08/10/1)
★ 【衝撃事件の核心】「人形殺人」でメンツ潰した静岡県警…不法投棄の男の悲しい事情とは(産経新聞・08/9/27)
 
 

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