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熊谷の男児死亡ひき逃げ 第三者が匿名で懸賞金 埼玉

 2009年、埼玉県熊谷市で発生した死亡ひき逃げ事件について、同市内在住の匿名の男性が300万円の懸賞金の支払いを申し出た。公費や被害者家族ではなく、他人が懸賞金を支払う例はおそらく初めてだ。
 
 事件は同年9月30日午後6時50分ごろ、同市本石の市道で発生した。当時小学4年生だった小関孝徳(こせき たかのり)君(10)は母と2人で楽しい生活を送っていた。元気で無邪気で優しい男の子。そんな孝徳くんが帰宅途中に何者かの運転により犠牲となった。孝徳くんの無念を晴らすべく、母親の代里子さんはチラシを配るなどして独自の捜査を行っている。
 
 今回私費での懸賞金を申し出た男性は名前や動機を公表しないように警察に求めた。こうした善意によって犯人検挙につながる情報が出てくるとよい。警察も捜査対象車両を拡大し、輸出寸前だった車を求めて神奈川県内まで捜査員を派遣したこともあるという。
 
 埼玉県警熊谷署では特別捜査班を設置、自動車運転過失致死と道路交通法違反(ひき逃げ)の容疑で捜査をしている。タイヤ痕などから、孝徳君をひいたのは排気量1800〜2000ccの車とみられている。この事件は上記同罪による死刑がないため10年という時効がある。人を死に至らしめる結果は同じであるのに、殺人とひき逃げでは刑罰に差があることに議論がある。
 
 ひき逃げといっても、少し手が当たってしまったものもあれば、孝徳くん家族がされたように、他人の人生を狂わせることもある。一番怖い思いをした孝徳くんの恐怖を考えれば、時効の存在が何ともやりきれない。
 
 懸賞金の申し出をした善意は匿名でも美しい。しかし、犯人が匿名のままでいることは許すことができない。
 
 埼玉県警熊谷署では情報提供を募っている。
 
※ 令和元年9月30日午前0時に公訴時効が成立する。
★ 息子をひいたのは誰? 母が現場でメモし続けた10万車(朝日新聞・2019/3/31)
★ 《未解決》熊谷市小4男児死亡ひき逃げ事故!《時効まであとわずか》
 
★ 熊谷市(平成21年9月)発生ひき逃げ事件(埼玉県警察本部)
★ ひき逃げ捜査にチラシ印刷無償協力 過去に我が子を失った都内の主婦(本ブログ・10/5/23)
★ 小4ひき逃げ:検挙へ匿名男性が懸賞金 埼玉・熊谷(毎日新聞・10/9/28)
★ 忘れない:小関孝徳君ひき逃げ死から3年 「一件でも多く情報を」(毎日新聞・12/9/28)
 
 

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「オハヨー」とあいさつするカラス出没 街の人気者に 福井

 あいさつというのは基本的なことでありながら、実行するとする方もされる方もなかなか気分の良いものだ。声をかけてもらうというのはありがたいし、自分から声をかけて相手から笑顔を返されると気持ちがよい。眠い朝の脳を活性化してくれるのがこのあいさつだ。
 福井市の中心部、県庁や県警本部がある一帯に数年前から「オハヨー」と話すカラスが出現して話題になっているという。昼夜問わず「オハヨー」というこのカラス、”発話者”が分からず、複数のカラスがしゃべっていることも考えられるのだとか。県警総務課広報係長の女性(39)は「初めて聞いたときは耳を疑った。今では朝出合うと『今日も頑張ろう』という気持ちになり癒される。県警ではすっかり人気者です」。
 
 カラスと同じく身近な鳥といえばスズメだが、近年個体数が減っているという。厳密な調査結果は無いようであるが、そういえばスズメを見かけることも、さえずりも聞くことが少なくなっている気がする。特に天気の気になる早朝、窓を開けなくてもスズメが鳴いていれば雨が降っていないことは確認できたものなのだが。
 
 福井のカラスがどこで「オハヨー」を覚えたのかは定かではないようだが、あいさつの習慣のある人が発した声を真似したのだろう。福井の街はもしかすると、街頭であいさつが頻繁に行われていることが多いのかもしれない。
 
 そんな日常的な声を聞きたいと思っている人たちがいる。電通総研の調査で、60歳以上の人で「電話をして欲しい」としている人が21.6%と最も多かった。電通では「子供世代は敬老の日をイベント化しようと考えるが、親世代は日常の延長として家族の声を聞きたがっている」と解説している。
 
 独り暮らしの高齢者も多くなった昨今。特別なことではなく、ごく当たり前の「おはよう」や「こんにちは」という声をかけてもらえずに寂しい思いをされているお年寄りも多いのだろう。20日は敬老の日。
 
 
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★ カラス:甲高い声で「オハヨー」 福井の中心街に出没(毎日新聞・10/9/19)
★ 敬老の日「電話して」が最多 電通調査(共同通信・10/9/16)
★ スズメが減っているって本当?(産経新聞・10/6/14)
★ 夕方のカラス(本ブログ・08/10/6)
 
 

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愛する人を失った悲しみは永遠 65回目の原爆の日 長崎

 
 人は生まれてから両親とのふれあいを知る。肌と肌のふれあいが家族の絆を強固なものにし、自分にとって大切な人は何かを知る。外に目を向ければ、友達や異性との交友関係から友情を知り、愛情を知る。
 
 そのうち言葉を交わすことをしなくても、人と人は相手の瞳を見つめるだけで人を恋しいと思う時もある。相手の瞳が輝いていてこちらを見ているのは、とてもきれいな瞬間であり、2人にとって特別な空間が生まれる。生きている者と話をしていて楽しいのは、瞳の輝きが人の生を感じさせるからである。
 
 1945年8月9日午前11時2分、原子爆弾が長崎に落とされた。一瞬にして7万人を超える人たちが亡くなった。残された人は原爆後遺症で苦しみ、家族や友人、恋人を失って失意の底に突き落とされた。
 
 第二次世界大戦は終結したが、被爆者の苦しみが海外に詳しく伝えられることは未だに少ない。そればかりか、悲惨な歴史を刻んだにもかかわらず、世界では戦争や紛争が止むことはなく、核保有国がその脅威をちらつかせている。
 
 「戦争を終結させるために投下した正当な行為」といった文言はつまるところ戦争に勝利した国がいうことのできる大義名分だけのものに他ならない。そのために払った犠牲を認識することを避ける。
 
 爆弾に優劣などないが、原子爆弾による被爆者は今も後遺症に苦しむ。戦争は全く終結していないのだ。身体に痛みが残れば、65年前の悪夢が常によみがえる。戦争が終わっていない人たちの声に耳をふさいで本当の核廃絶ができるであろうか。
 
 原爆死没者名簿に記された人は15万2276人。これだけ多くの人たちの家族や友人、恋人たちは、30万を超える輝いていた瞳を知っている人たちであり、悲しい人たちである。そして戦争を知らない人たちが空を見る時に、別の空を知っている人たちである。
 
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★ 非核三原則の法制化「私なりに検討」 首相(読売新聞・10/8/9)
★ 米国人作家も平和式典参列 キャメロン監督に促され(朝日新聞・10/8/9)
★ 「何で来ないの」「失礼だ」 米国、平和式典欠席で 長崎の被爆者(10/8/9)
★ 長崎市 平和・原爆 日本語総合ページ(長崎市ホームページ)
 
 

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有楽町から新橋付近にある怪しい「インターナショナルアーケード」

 開発が続いてどんどん新しくなる東京都内。有楽町付近も新しいビルの建設が行われています。そんな中で、開発に取り残されている「インターナショナルアーケード」に行ってきました。
 
 場所は数寄屋橋交差点から、JRおよび首都高速の通る脇道を南西に向かいます。
sukiyabashi 
 
 すると「INTERNATIONAL ARCADE」と書かれた看板が右手に見えます。

  
 
 これが正面。インターナショナルアーケード。
 
 
 そこの脇道は首都高速を管理する首都高速道路株式会社の私有地につき、「立ち入り禁止」となっているので、入り口から撮影。と思ったら、グーグルストリートビューでは撮影していたよ。こんな狭い道に入る時に私有地かどうか考えなかったのだろうか。ストリートビュー、おまえってやつは・・。
 
 
 同アーケードは免税品店のようですが、その脇にある怪しい入り口。インターナショナルアーケード。
 
 
 見渡すとシャッター街のようになっています。インターナショナルアーケード。
 
 
 二階に通じる階段遠くに見えるのはトイレ。インターナショナルアーケード。
 
 
 そこから撮影した「立ち入り禁止」の私有地。いったことはないけど、かつての香港・九龍城砦を思い出します。
 
 
 飲食店があった。まだ営業時間ではないのかな。
 
 
 時折、会社の事務所も散見できるインターナショナルアーケード。
 
 
 飲食店パート2があった。インターナショナルアーケード。
 
 
 2階。通路は狭いけど、事務所のようなところがあった。しかし多くの部屋は空きテナント。
 
 そういえば九龍城を思い出したと言えば、長崎県長崎市端島、いわゆる「軍艦島」も有名になりました。長期にわたって古い建物が放置されたこともあり立ち入り禁止でしたが、昨年に観光客にも解禁されました。気象条件などが整っていれば入島できるそうです。
 
 東京湾に浮かぶ猿島にも行ったことがあります。長崎の軍艦島と同様に、”警備”の要だったようです。夏にいったのですが、蚊がすごく、下は泥状態でした。ですので、相応の装備でいった方がよいです。横須賀から60分おき程度で船も出ており、夏は海水浴なども行われているようです。身近にある秘境巡りも楽しいかもしれません。いずれの場所も熱中症対策を施してからどうぞ。
 
 ちなみに今回のインターナショナルアーケードはJRの敷地のようです。わざわざ行くところではありません。有楽町や銀座、新橋にお立寄りの際にお時間があればどうぞ。
 
 
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★ 九龍城砦探検記
★ 軍艦島を世界遺産にする会 公式WEB
★ 猿島 夏期時刻表 株式会社トライアングルのWEBサイト
 
 

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高齢者の所在不明次々、杉並、八王子、熱海、名古屋・・プライバシーに阻まれる自治体

 日本でこんなことが起きるのかと呆然とする。東京・足立区内で約30年前に死亡したとみられる男性(戸籍上111歳)の問題で警視庁千住署は、家族が男性と妻の遺族年金などを不正受給していた可能性があるとみて詐欺容疑で調べている。男性は昭和53年ごろ自室に入ったとされ、その10日後に部屋から異臭がしたという。同署では保護責任者遺棄容疑も視野に入れている。
 
 東京・杉並区では都内最高齢とされている女性(113)が所在不明になっていることが判明。住民票上で同居している長女(79)は「弟と住んでいる。母の所在は分からない」と話している。警視庁杉並署では都内で次男(71)の所在を確認し、女性の所在について事情を聞いたが「30年くらい前に母親は出て行った。その後は連絡を取っていない」などと話している。
 
 全国の自治体では足立区の事案を受けて緊急に調査を始めたところ、都内では八王子市、静岡では熱海市、そして名古屋市内でも所在不明のお年寄りの存在が判明した。
 
 安否の確認というのも失礼な話であるが、自治体の対応ばかりを批判していられない。そもそも自分の親の所在が分からない、30年以上に亡くなった遺体を放置するなどという状態そのものが自治体の予想を超えたものである。「住民票が出されていれば存命であり、きちんと生活しているはずである」という性善説に基づいている。
 
 この問題で行政が強制力を持って調査可能な法令ができるならばそれは悪法である。我々の自浄能力がなくなればそれだけ法令が作られ、余計に暮らしを悪くする。法令が多いのはその国が複雑であるがゆえである。
 
 大阪では幼い2児が育児放棄の末に亡くなったが、この件で大阪市子ども相談センターには「なぜ救わなかった」という抗議が殺到した。周辺住民から通報があったにもかかわらず、対応は必ずしも十分ではなかった。
 
 アメリカでは風邪をひいた子どもを家に残すだけで「虐待」と見なされて逮捕されることもある。それは極端かもしれないが、対応の遅い行政にはフットワークの軽さを期待したい。「プライバシーだ」と言われたら、その言葉の根拠を尋ねるべきである。
 
 厚生労働省は7月26日、09年の日本の平均寿命が女性が86.44歳で世界一、男性は79.59歳で世界5位であることを発表した。しかしこの数字も怪しくなってくる。書類上は長寿でも、実際のお年寄りはどうなのだろう。
 
 お年寄りの所在が分からないというのも一種の虐待である。長寿大国日本は、本当に幸せなのだろうか。
 
 
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★ 【111歳ミイラ男性】「閉じこもった10日後に異臭」娘婿が警視庁に説明(産経新聞・10/8/2)
★ 113歳女性の次男見つかる「母親出て行った」(読売新聞・10/8/3)
★ 「お年寄りの所在、確認せよ」東京各区、四苦八苦(朝日新聞・10/8/3)
★ 100歳確認苦慮、家族拒否・住民票移さず施設・・(読売新聞・10/8/3)
★ 最高齢「直接面会」は22道府県 自治体による確認(共同通信・10/8/3)
★ 大阪・西区の2幼児遺体遺棄:「30分鳴き声続く」と住民通報、児相訪問は10時間後(毎日新聞・10/8/3)
 
 

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「ストレスで・・」女子児童・生徒十数人が暴行被害 小学校教諭を逮捕 警視庁(2010.7.18)

 東京・多摩地区で女子小中学生が乱暴される事件があり、警視庁捜査一課などは16日、東京都稲城市立小学校教諭、男の被告(29)=相模原市緑区橋本、住居侵入罪で起訴=を強姦致傷と住居侵入容疑で再逮捕した。同被告は「進路指導などについてストレスがたまっていた。平成17、18年ごろから東京都と神奈川県で十数件やった」などと容疑を認めている。
 
 東京・多摩地区では小中学生の少女が男から乱暴されたり身体を触られたりする事件が複数件発生。現場に残されたDNAが同容疑者のものと一致した。被告は今回立件された事件の他にも10代後半から20代の女性も狙ったと供述していることから、警視庁では裏付け捜査を進める。
 
 被告は下校途中の女子児童の後をつけ、家に入った所を脅して乱暴した。6月下旬に八王子市内のアパートに女性を乱暴する目的で侵入、南大沢署に住居侵入容疑で逮捕されていた。
 
 警視庁のホームページによると、現時点で多摩地区のうち、声をかけられたり体を触られたという不審者情報は、町田、南大沢署管内(町田市、八王子市南部)で7件、多摩中央署管内(多摩市、稲城市)で6件となっている。警察による認知数がこれだけなので実数はもっと多いはずだ。被害者が出てこないケースも多くあると考えられる。
 
 ストレス、ストレスと、ストレスが原因であるような動機を語る容疑者が多いが、ストレスをためて病気にでもなる勇気すらなく、抵抗もままならない幼い子どもたちを性欲のはけ口にしただけである。
 
 この男は今後裁判を受け、刑務所に入ることになり、おのれの”進路指導”をされることになるだろう。そこではこれまで受けたことのない多大なストレスが降りかかるに違いない。全国の先生たちの、面汚しめ。
 
 
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★ 中学生を強姦致傷容疑 教諭再逮捕「十数件」と供述(朝日新聞・10/7/16)
★ 「身勝手な性欲満たすため十数件」小学校教諭を逮捕 女子生徒に乱暴容疑(産経新聞・10/7/16)
★ 警視庁管内不審者情報(警視庁)
 
 

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サマータイム7年目、札幌商工会議所が撤退 省エネ実績打ち出せず

 当時の小泉純一郎首相が「サマータイムはやりたいところがやればいい」と突き放したような言い方をしていたことを覚えている。サマータイムとは夏季に時計の針を1時間進めることで、涼しいうちに出勤し、早めに退勤することで余暇を増やし省エネ効果を出そうという制度で、世界70カ国で行われている。
 
 札幌商工会議所はサマータイムを今夏は実施しないことを決めた。景気低迷でエネルギー消費量が減っているためで、省エネ実績を打ち出せないことによる。ただ「クールビス」については今年も行っている。
 
 サマータイムは省エネであり、人の生活も良くするような気がするが、近年の気象状況では1時間は早めた所で意味がないかもしれない。朝から晩まで30度を超すような日もあれば、その有効性に疑問符が付くことだろう。加えて、コンピュータなどの設定を大幅に変えなくてはならないこともあり、導入には経費がかかることも追い打ちをかける。
 
 一部の企業が導入しても、取引先がサマータイムを導入していなければ、相手に合わせなくてはならないことになり、結局早く退社することなどできず「残業」することになる。サマータイムはやるとしたら国を挙げてやらなくてはならないプロジェクトなのだ。
 
 国を挙げて行う計画は金がかかる。しかしクールビスのように金をかけずに成功しているものもある。省エネ云々であれば、個人的にそれをするほうが手っ取り早い。最近早起き生活を推進する書籍なども出ているようだが、個人レベルでそれを成せば体調も良く、省エネにも貢献できる。エネルギーを使うのは人間の体調が悪いからである。
 
 だから「水打ちキャンペーン」などは止めて欲しい。あのイベントを行うのにどれだけのエネルギーが消費されたか考えるともったいないからである。こっそり起きて、こっそり寝て次の日に備えることが一番のようだ。
 
 
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★ サマータイム「息切れ」 7年目で札商も撤退(読売新聞・10/7/10)
 
 

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郵便局で職場内いじめ 腹蹴られ、退職強要される 公務災害認定で解雇取消し 静岡・伊東(2010.7.4)

 
 伊東市内の郵便局で、男性職員(34)が職場ぐるみのいじめに遭い不安障害を発症したとして公務災害認定を求めていたが、06年に当時の日本郵政公社と人事院が「公務外の災害」と判断した。しかしその判断を日本郵政が覆し、公務上の災害と認定した。人事院によると、認定が覆るケースは珍しいという。
 
 男性は01年から同局に勤務していたが、複数の局員から「人間としての価値はない」などと退職を強要され、06年には職場のバイク置き場で同僚に腹部を蹴られて全治3カ月のけがを負った。その後にPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されて休職、公務災害認定を求める行政訴訟を静岡地裁に起こし、今年2月に休職期間満了で解雇された。
 
 うつ病やパニック障害、不安障害などの病気が珍しくなくなった。その類の病気が多くなった理由にはそうした疾患を診療する心療内科や精神科の充実が挙げられる。加えて、そうした病気に対する理解が社会に浸透してきた部分がある。
 
 しかしなぜそうした病気が増えてしまったのか。考えられるのは”避難場所”が無くなってしまったことが考えられる。忙しい現代は、自分の時間を持つことが少なくなっている。自分の時間と思って予定を立てても結局時間に支配されることになり、気の向くままという本当の自分時間を見失ってしまった。自分の処理能力を超えた所にこうした病気が入り込んでくる。
 
 今回の郵便局のような職場のいじめは、誰か一人、たった一人が男性の味方になっていれば、男性は病気を発症しなくて済んだ。局員の中にはそのたった一人がいなかったのだ。つまり男性は避難する場所が無く、自分で抱え込んでしまうことしかできなかったのかもしれない。
 
 認定が覆ったことで男性は公務災害認定されるほか、06年の判断も解雇も取り消されることになった。男性の弁護側は行政訴訟を取り下げる方針であるという。日本郵政は「検討した結果、認定すべきとの結論に達した」とし、人事院職員福祉局は「日本郵政から申し出があり、妥当と判断した」としている。
 
 病気になった側はこれだけの苦労をして職務復帰するわけだが、こうさせた側に対するおとがめが一切無いのが不思議である。
  
 誰にでもプライドがある。男性は、こんなことで負けてはいけない、と頑張ってしまったために起こった出来事である。いじめた側はどうであったろう。「人間としての価値はない」と言った者は神にでもなった気分であったのだろうか。だとしても、郵便局という小さな組織の中の、小さなプライドである。
 
 
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★ 職場のいじめで不安障害、抑うつ状態を発症 富士通の元女性社員に労災認定 大阪地裁(本ブログ・10/6/23)
★ 退職強要、腹けられ 郵便局いじめ公務災害認定(読売新聞・10/7/4)
★ 教諭の脅迫的聴取で障害 元中学生、唐津市を提訴(産経新聞・10/7/4)
 

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