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職場のいじめで不安障害、抑うつ状態を発症 富士通の元女性社員に労災認定 大阪地裁(2010.6.23)

企業内のいじめの陰湿さ。事業所というのは、社員が心身ともに健全でいられるように努力する義務がある。

 富士通京都支社に勤務していた女性の元社員が、職場のいじめが原因で精神障害を発症したとして、京都下労働基準監督署に対し、療養補償給付不支給処分を取り消すように求めた訴訟の判決が大阪地裁であった。中村哲裁判長は「発症は同僚のいじめと、それらに対して会社が防止措置をとらなかったため」とし、病気と業務との因果関係を認め、処分の取り消しを命じた。
 
 同裁判長は「集団で長期間継続した陰湿ないじめで、常軌を逸した悪質なひどい嫌がらせだった」、「上司に相談したあとも支援策が無く、失望感を深めた」と認定した。
 
 判決によると、女性は課長補佐職として勤務していた平成12年6月から約2年半のあいだ、自分より職務等級の低い女性社員たちから高給であることをねたまれるようになった。女性の失敗談をメールやチャットで流され、目配せをして冷笑されるなどの嫌がらせを受けた。女性は平成14年11月に不安障害と抑うつ状態を発症して休職、17年6月に休職期間満了で解雇された。
 
 不安障害は、これといった不安対象がないにもかかわらず、常にオブラートに包まれたような不安感に襲われている状態になる疾患。不眠や発汗、動悸などの症状も伴う。
 
 大人のいじめ、とりわけそれが職場であればより悪質だ。集団でのいじめは罪の意識が分散するため、いじめる側にその意識が薄い。しかしそんなことは大人であれば一定の制御がきくものだが、この会社ではやめさせようとか、やめようとかいう行動に出る社員はいなかったようである。いじめをした女性社員は、同じ職場の仲間の人生に傷をつけておきながら、何食わぬ顔で生活しているのだろうか。幼いまま大人になる者ほど扱いにくいことはない。
 
 そして女性からの訴えがあったにもかかわらず、上司もその存在意義を無くしていた。人間関係が悪化するのは上司が放置しているからに他ならない。こうしたことに対処できないようでは、上司である必要もなく、それこそただの高給取りだ。
 
 不幸にも元社員の女性は病気になってしまったが、体調がよくなったら新たな職場で奮起して欲しいと願う。課長補佐まで上り詰めたのは素晴らしい努力であるし、なによりも、病気になるまで我慢のできる強い人である。
 
  
 
★ 「職場いじめで精神障害」富士通元社員の労災認定(産経新聞・10/6/23)
★ 富士通:元女性社員いじめでうつ認定 大阪地裁(毎日新聞・10/6/23)
 
 

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