勝利のサイレン
今年はスポーツの話題が多い年である。それもあまりよくない内容の話である。相撲の話題、アメリカンフットボール、そしてボクシング。さらにはアジア大会で代表団の一員であったバスケットボールの選手が滞在先で女性に対する不適切行為があったとして帰国した。2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックにおけるボランティア問題、そして夏期開催は危険であるという話などである。
そんな中、甲子園では決勝戦で史上初の春夏連覇を狙う大阪桐蔭高校と、秋田県勢としては103年ぶりとなる決勝進出で湧く秋田県立金足農業高校が対戦した。結果は13対2で桐蔭高校の圧勝であった。
金足農業高校のエースである吉田輝星はここまで一人で投げてきた。試合後に号泣したが、「周りの励ましの言葉でここまでこれた」と周囲に感謝の言葉を述べた。
団体スポーツはなかなか一人だけの努力で成果が実るわけではない。周りの協力が不可欠であるが、それにしても秋田県の人は大変な騒ぎになっていたようである。秋田県内のある高校では「金足農業高校応援のため、21日は午前中で授業は終了し、その後は放課といたします」というメールを学内に配信したり、日本航空は21日の午前に臨時で秋田発大阪行の一便を増発し、応援に行く人達を後押しをした。金足農業高校には遠征部隊の寄付金を収める人たちが列をなした。
ルールを守って行われるスポーツの勝敗は清々しい。勝利の女神は大阪桐蔭高校に微笑んだ。しかし実は一番最初に微笑みかけていたかもしれない。夢を追って甲子園にきた高校球児たち全員に。
★ 大阪桐蔭高校
★ 秋田県立金足農業高校