厚労相元局長に無罪判決 郵便不正事件で大阪地裁 問われる地検特捜部の捜査

 障害者団体向けの料金割引制度を悪用した郵便不正事件で、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われていた厚生労働省の元局長、村木厚子被告に対して、大阪地裁は無罪を言い渡した。横田伸之裁判長は検察の主張をことごとく否定し、「村木元局長が証明書の発行を部下に指示したとは認められない」と述べた。大阪地検は上級庁と協議の上、控訴するかどうかを決める。
 
 元局長は04年6月に、当時の自称障害者団体「凛の会」が郵便割引制度の適用を受けるために偽の証明書を発行するよう、担当係長だった男性被告(41)=同罪で起訴・公判中=に指示したとして起訴された。
 
 被告は今年2月の元局長の公判で、「調書はでっち上げ」「証明書の発行は単独でやった」と述べて局長の関与を否定し、検察の強引な取り調べの模様を涙ながらに語った。裁判長は5月の公判で上村被告らの供述調書43通のうち34通について「検事の誘導で作られた」として証拠採用しないと決定していた。
 
 無罪判決を受けて、村木元局長は逮捕時のことを聞かれ、「両親に心配をかけたことが一番辛くて・・」と涙声で語った。被告に対しては「本当のことを分かってもらおうという彼の気持ちが通じ、胸が苦しくなった」。街中では徐々に「信じている」「がんばって」と声をかけられるようになったといい、「家族や友人。みんなの応援がないとここまでこれなかった」と振り返った。
 
 有罪ありきの取り調べで冤罪を作り上げた大阪地検特捜部は反省をしなくてはならない。当然のことながら、何もないところから人を有罪にしようというのであるから、相当の証拠や供述を客観的に判断しなくてはならないのに、密室の取り調べが被疑者に不利なよう誘導した点は特捜部の完全敗北である。一般に特捜部が動くのであればクロ前提の捜査だと思いがちであるが、旧態依然の捜査手法を改めなければならない。
 
 産経新聞に「犯罪の社会的負担いくら?」という記事があった。犯罪捜査に関わる費用は平成20年度で26億円超などとなっている。その後、起訴して収監するなどした場合、刑務所などの予算は500億円を超える。
 
 もちろん社会の治安維持のための必要経費ではあるが、問題になるのが今回の元局長起訴のように無罪になったときだ。地検の捜査や裁判費用を問題にしているのではない。拘留され、職を失った元局長は時間という取り戻すことのできないコストを他人によって無駄に使われてしまったことになる。元局長が復職できるように検察は控訴をしないことだ。
 
 取調室の可視化が問題になっている。千葉法相はコストの問題を挙げて消極的な姿勢を見せるが、一番の無駄なコストはこうした冤罪によるものが大きいことを考えるべきである。
 
 
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★ 村木元局長に無罪判決 大阪地裁 郵便不正事件(朝日新聞・10/9/10)
★ 高知の父「徹底的に闘え」 村木元局長無罪判決(高知新聞・10/9/11)
★ 取り調べ全面可視化を=村木元局長無罪でシンポ 大阪(時事通信・10/9/11)
★ 【社会部オンデマンド】犯罪の社会的負担いくら?捜査、裁判、矯正 巨額の税金(産経新聞・10/9/11)
★ 【イチから分かる】東京地検特捜部 史上最強の捜査機関 人材集結、介入タブー(産経新聞・10/1/27)
 
 

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