豚丼と新型インフルエンザ
04年の3月に留学でロサンゼルスに行っていた。行く前に期待したことは「食べ物」であった。ハンバーガーやホットドッグ、ポテトにコーラ、そんな食べ物が大好きだ。しかも量も多いというから楽しい留学生活が送れるに違いないと思っていた。
行ってみると、3日後にはもう飽きた。コメが食べたくなったのだ。ハンバーガーや大量のポテト、ピザなんてうんざり。ご飯が食べたい。完全に日本食レストランやジャパニーズファーストフードに行くようになった。
その時に行ったファーストフード店のメニューに「Beef Bowl(牛丼)」があった。その頃の日本では狂牛病問題で牛丼が街から姿を消していた時期である。ここぞとばかりに食べまくった。味は日本人好みと少し違うが肉が厚い。「アメリカ人が食べて平気なんだから、狂牛病なんて大丈夫」。そう思ってよく食べたメニューの1つだ。
帰国すると牛丼の代わりに「豚丼」が登場していた。街の声は「牛丼が無くて寂しい」であったが、牛丼よりも安価な豚丼に好奇心をそそられて食べてみると十分美味い。それ以来、牛丼はほとんど食べることが無くなり、その手の店では豚丼ばかりである。
牛丼パニックを予感させる事態に世界中が騒いでいる。豚インフルエンザはWHO(世界保健機構)により「フェイズ4(段階4)」に引き上げられた。メキシコから発症者が出始めた「新型インフルエンザ」、世界の国と地域で感染者が次々と報告されている。感染の疑いがある患者数が多いのはメキシコで2498人。奇妙なことに死者がメキシコ国内だけに集中しており、159人となっている。
なぜメキシコだけ死者が出ているのかは専門家の間でも意見がまとまっていない。例えば首都メキシコシティーは高地にある盆地で以前から大気汚染の問題があり、ウイルスが蔓延しやすいという指摘もある。また、水不足や栄養不足、そして医療施設不足も指摘されているが憶測の域を出ていない。
メキシコでは貧富の差が激しく、都市部から離れた村などでは十分な医療を受けられない人たちもいる。そのため感染者数はもっと多いのではないかと見られている。情報伝達も十分とは言えず、国民の間では「政府は隠し事をしている」と疑念を持つ人もいる。
そんな中で、インドネシア豚が鳥インフルエンザ(H5N1型)を持っている可能性が高くなったことが神戸大学感染症センターの調査で判明した。このウイルスはアジアを中心に猛威をふるったもので、鳥から人へ感染し250人以上が死亡した。インドネシア豚体内でウイルスが変化し、人から人への感染能力を得ると、豚インフルエンザを上回る被害を及ぼす危険がある。
国内感染はなんとしても阻止して欲しい。政府は「新型インフルエンザ対策本部(本部長:麻生首相)」を設置して水際での阻止を含めた包括的な対策に乗り出している。現在のところ、日本国内での感染者はいない。
政府は「米国産豚肉は安全」という宣言を出した。石破農水大臣は「滅菌処理されて輸入される。肉の中心温度71度以上の加熱でウイルスは死滅する」としており、冷静な対応、特に「豚肉は危険である」といった風評被害を出さないようにしている。
この早期発表は評価すべきであり、これで安心して豚丼を食べられる。それにしても死者がメキシコ国内のみであることが不可解である。インドネシア豚から鳥インフルが検出されたことも不気味である。そして、食べられることを前提に飼育されている豚さんたちにこっそり感謝しておく。
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★ インドネシア豚から鳥インフル、体内で変化「新型」の恐れ(読売新聞・09/4/29)
ありがとうございます。
明日は循環器外来、体重が3キロ増えていたら入院です。
無事をお祈りしています。
3キロくらいなら楽勝でプレゼントできるのに(笑)
虐待は資本主義の産物とも言えますね。
資本主義ですか。そうかもしれませんが、極端な個人主義が他人を見なくなってしまったような気がします。