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火事が多発 従業員は避難誘導することができるのか

 東京・杉並区高円寺南の居酒屋では12人が死傷した。出火元の厨房内にある焼き鳥の火が、油のしみこんだ壁などに引火、天井を覆っていた装飾用の布などに燃え広がったとみられている。
 
 警視庁捜査一課と杉並署などの調べで、店の非常階段の前には座布団が詰まれていたことが分かり、非常時に機能する状態ではなかった。火事発生当時には、従業員が濡れたおしぼりで消火活動を試みたという証言もあり、高温の油に水が入った場合に起こる「水蒸気爆発」を起こした可能性も指摘されている。この火災ではビルの出入り口に客らが殺到、一部は窓から飛び降りた。非常階段が機能していれば、被害は少なくて済んだのかもしれない。
 
 ところで、こうした客の出入りするビルやテナント側に、非常時に客を誘導するような心構えがあるのかどうか疑問に思うことが多々ある。 
 
 08年10月1日に大阪の個室ビデオ店で起きた放火事件では、細長い形状の店内に出入り口は1カ所しかなく、店の奥にいた客ら15人が死亡している。店員は1人で、避難誘導などの措置はとらなかった。
 
 例えば飲食店に行って奥の部屋に通されたとき、トイレに行くついでに非常口を確認することがある。すると、その通路上にはビールの空き箱などが置いてあり、パニック状態で煙が充満したなかで安全に外に出られるのか疑問だった。
 
 そしてそこで働く従業員はどの程度「避難誘導マニュアル」のようなものを知らされていて、熟知しているのか。高校生が働いているようなファーストフードで、アルバイトの全員は果たして客を誘導し、初期消火活動などを試み、非常扉開閉レバーを引っ張るなどということを知っているのであろうか。
 
 銀行やコンビニでは非常ベルがあることが知られているが、それ以外の場所でビルのオーナーや経営者がどの程度危機管理を意識しているのかが怪しい部分がある。スプリンクラー設置義務の有無や、消火器の置き場所、そして非常口をどの程度頼りにできるのか考えるべきであろう。
 
 これから空気が乾燥する時期でもあり、火の取り扱いは特に留意しなくてはならない。それは従業員もいざというときのことを想像することである。そして客も非常口(非常灯)はどこにあるのかくらいは一瞥(いちべつ)で確認できるので、そうした意識を怠らないことだ。
 
 ある飲食店2階には非常用のスロープ(ロープ状のハシゴ)が窓側にあり、その使い方が記載されていた。その使い方を読んでいたが、どうも今ひとつ分かりづらい。これが非常時にすんなり使えるかといえば無理であろう。
 
 2010年4月1日からどの世帯にでも火災報知器の設置が義務づけられる。頼りになるが、火災を起こさない意識と起きてしまってからの迅速で確実な消火・避難・通報が一番重要である。
 
 
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★ 東京・荒川でビルなど7棟焼く、男性1人の遺体(読売新聞・09/11/23)
★ 【高円寺ビル火災】ダクトの油に引火か 非常階段前に座布団山積み(産経新聞・09/11/23)
★ 【個室ビデオ店火災】46歳男「生きていくのが嫌になり」放火(産経新聞・08/10/1)
★ 火を放った男の子(本ブログ・06/2/2)
 
 

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すれちがったー→Twitter→Twitter2mixi→mixiボイス Bluetoothで、漏れている個人情報に注意! iPodとMacの名前を変える方法

 
 ”Googleケータイ”であるAndroid(アンドロイド)ケータイを使っている。楽しくて面白い反面、多くの操作をタッチパネルに依存することになるので、バッテリの消耗が激しいのは仕方ないとしても、慌てて文字入力するととんでもない変換候補を押してしまったり、最悪時には書いている途中のメールを”破棄”してしまう恐ろしさもある。しかしながら、慣れてしまえばどうということもないし、もう今までのケータイには戻る気がしない。それ以上に楽しいのである。ケータイ以上パソコン以下の中途半端さが楽しい。
 
 ところで、iPhone(アイフォーン)のアプリと同様、Androidにも専用アプリが公開されている。iPhoneほど数は多くないが、最近ヒットしているアプリの1つが「すれちがったー」というアプリである。
 
 これはBluetooth(ブルートゥース)を利用したアプリで、人気が急上昇している。「すれちがったー」を起動させた同士がすれ違うと「○○とすれちがった」とTwitter(ツイッター)でつぶやく仕組みになっている。さらには設定で、自分が過去にすれ違った端末と同じ端末にすれ違った人をつぶやかせる設定もできる。「すれちがったーのすれちがったーは、みなすれちがったーだ」というわけだ。
 
 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
  
 というか、Bluetoothをキャッチしてその端末を自分の端末に表示させる仕様(?)にもなっており、繁華街に出て「すれちがったー」を起動させるといかにBluetoothを備えた端末利用者が多いか知ることになる。そのすれ違った(検知した)端末が「受信履歴」が残る。予め短いメッセージを設定、「すれちがったー」の人にそのメッセージを送ることができる。私はこのブログの宣伝をさせてもらっている。
 
 Twitterでつぶやくと、それをmixi(ミクシィ)の「mixiボイス」に転送するサービスが「twitter2mixi」というサービスだ。まだ発展途上の段階であり転送が少し遅れるが、とりあえずmixiボイスに転送される。
 
 バッテリ消耗が気になる上に、Twitterのフォロワーさん、マイミクシィさんの迷惑になるので、「すれちがったー」をいつも起動させるわけではない。
 
 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
 
 ところで、近所のカフェで何気なく起動させてみると驚いたことがある。あ!「○○のMacBook Pro」のBluetoothをキャッチしたことを「すれちがったー」が教えてくれたのである。恐る恐る周りを見ると、2メートルくらい離れたところで女性がMacBookを操作していた。しかも恐らく本名だ。「あの、○○さんですか?」なんて聞いたらきっと驚いたであろう。
 
 検証すべく帰宅して、Power Mac G5の電源を入れ、Bluetoothを「オン」にしてみた。ああああ!やはり「(私の本名)のPower MacG5」と、「すれちがったー」が表示した。Bluetoothそのものは、一般に到達範囲が数メートル程度であり、直ちにあらゆる個人情報が漏れるわけでもないが、使わないのであれば、Bluetoothを切断しておくことをおすすめする。セキュリティ100%の通信機器は無いと考え、自己防衛のための情報収集も必要だ。
 
 - - - iPod、Macで名前を変える方法 - - -
 
 MacやiPodのかたは「○○のMac(iPod)」と本名を入れているケースが多く(何でだっけ?)、これを変えておいたほうが良いかもしれない。iPodのかたは、iTunesを起動させて、「(あなたの名前)のiPod」の部分の名前を変えてからiPodと同期させればよい。
 
 Macを持っているかた、以下は「●●のPower Mac」という名前の部分を変える方法。私のOSは、10.5.8(Leopard)です。
1. システム環境設定から「共有」を選択
001
2. その後、下記写真のように、赤丸で囲った部分の名前を替える。

 
 ところで「個人情報の保護」が言われているが、mixi、プロフやTwitterのように「発信しよう」とする人が多くなってきている。日本人はとかく書き留めることが好きな人種だ。ブロガーが多いのも世界的に見て日本人。ゆえに、こうしたサービスが浸透するのも当然と言えるだろう。情報の保護はされたいが、ぎりぎりの所まで発信したい、そんなシャイな日本人向けのサービスがこれから成長するのかもしれない。
 
 
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★ ありそうでなかったウィジェット「S2 カレンダーウィジェット」(AndroLib.com)
★ Bluetoothはハックの危険度が高い(地方の印刷会社webディレクターの日記)
★ twitter2mixi
●「すれちがったー」の履歴。個人名に驚き。他は端末の型番が表示される。

 
 
 
 

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「処分かわいそう」拾得ネコ逃がした警察職員訓戒処分 兵庫・尼崎(2009.10.7)

 兵庫県尼崎市内の警察署会計課に勤務する30代の男性職員が、拾得物として預かった迷いネコを故意に逃がしたとして、県警から所属長訓戒の処分を受けた。放されたネコは見つかっていない。
 
 職員は「飼い主が見つからないと処分されてしまいかわいそう。ネコの命を助けたかった」と話している。
 
 県警によると、4月8日に男児(9)が首輪のついたネコを交番に届けた。連絡を受けた職員は「飼い主が数日間見つからなければ、動物愛護センターで処分される。ネコを逃がせば家に帰るはず」と考え、交番の警察官に対して猫を拾われた場所に戻すように指示。拾得の経緯を記した書類も破棄した。
 
 ところがその翌日、飼い主が「ネコを探している」と交番を訪れたことでネコが逃がされていたことが判明。所轄署でネコのポスターを作って近所に配るなどして捜したが、現在も行方不明のまま。
 
 県警監察官室は「ネコの命を救いたいとはいえ、不適切。公文書の破棄も問題。飼い主のことを考えて慎重に扱うべきだった」としている。
 
 拾得物を管理すべき警察職員が、勝手にそれを”なかったことにした”行為は問題である。殺処分されるネコのことを考えたとはいえ、非難されることは免れない。現在も見つかっていないだけにネコの行方を案じてしまう。首輪のついたネコを見つけた尼崎市民のかた、最寄りの交番に届けてください。
 
 尼崎市によると、市動物愛護センターでは、年間約700匹の子猫が殺処分されている。「猫を飼うときには終生飼養が飼い主の義務であり、不幸を繰り返さないためにも不妊・去勢手術を受けさせてください。事故やケガ、伝染病防止の観点から室内での飼育をおすすめします」などと呼びかけている。
 
 ネコを逃がした職員は考えるべきだった。職員と同じように、心配して署を訪ねるかもしれない飼い主と、交番に届けた9歳の男の子の気持ちを。
 
  
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★ 猫の飼い主の皆様へ(尼崎市)
 
★ 犬猫殺処分ワースト1返上へ 福岡県が本腰(本ブログ・09/3/10)
 
 

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警視庁 ”有害情報提供サイト” 統括事務局設置

 インターネット上で違法な情報を取り扱っているサイト対策として、警視庁はこれまで各課で対応していた違法サイト情報を集約する統括事務局を設置した。事件として積極的に立件し、サイト管理者に速やかに削除を求めるなど指導を強める方針。
 
 違法サイトには、銀行口座の売買、違法薬物の売買、児童ポルノ、売買春関連など多くの違法サイトがあるが、実際に犯罪に手を染めるものを摘発することができても、サイト運営者を罰することのできる法令が存在せず、責任を問うことができなかった。同事務局は「管理者を摘発するために警察庁と法改正についても協議していきたい」としている。
 
 サイトの管理者が管理責任を負う事を定めた法律は、01年に可決・成立した「プロバイダ責任法」がある。これは、サイトに個人の権利を侵害するような書き込みがなされ、被害者がサイト管理者に削除の請求をし、サイト運営者が書き込み者に対して削除要請をするもので、書き込み者がこれに応じないまま7日間が経過した場合「迷惑防止措置」として該当する書き込み削除をすることができる。その場合にサイト運営者は「表現の自由」に対する賠償責任を負わないとしている。
 さらに、書き込み者の発信情報(IPアドレスなど)の開示を、被害者がサイト管理者に請求することができる。ただしこの開示請求が請求者(被害者)の権利を著しく侵害した場合に限られ、その判断はサイト管理者による。表現の自由を著しく侵害したり、誤って発信者情報を開示する可能性もある。そのため、サイト管理者が迷った場合は開示しなくてもよく、この場合も賠償責任を負わない。
 
 サイト管理者というのは、ホームページ、ブログ、掲示板、mixiのような日記やコミュニティなど、不特定多数が閲覧可能な状況にあるものを指す。「2ちゃんねる」などではこれまで個人の権利侵害が訴訟に発展した例もあり、削除要請に応じなかった管理者の損害賠償責任が問われた。
 
 本ブログでも個人の権利を侵害しないように表記には気をつけているが、コメント欄に心ない書き込みがあることがある。以前は削除対応していたが、今後は積極的に当局に通報しようと考えている。つい最近、同一人物と思われる書き込み者のIPアドレスから大阪のプロバイダを割り出し通報した。これが海外からだとお手上げだが、国内からの書き込みに対しては積極的に応戦しようと考える。
 
 話を元に戻すが、警視庁の言う「違法サイト」では隠語なども使われていることから、サイト運営者を直ちに摘発することができなかった。サイト運営者もチェック・承認後に情報を更新するなどの措置を施した方がいいかもしれないが、必ずしも善意ある運営者だけではないことが問題だ。犯罪情報の場を提供しているのであれば「教唆」「ほう助」などに相当するような法令整備が望ましい。
 
 違法サイトについては、「匿名通報ダイヤル」で情報提供を受け付けている。
 
 警察庁によると、今年上半期のネットワーク利用犯罪摘発数は以下のようになっている。(カッコ内は昨年同期比)
 
詐欺706件(+123)
児童買春・児童ポルノ法違反(児童ポルノ)194件(+83)
児童買春・児童ポルノ法違反(児童買春)174件(-110)
出会い系サイト規制法違反184件(+25)
青少年保護育成条例違反154件(-57)
わいせつ物頒布等53件(-42)
 
※「プロバイダ責任法」=正式名称は「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に対する法律案」
 
 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
 ーーー 今年4月には「インターネット利用環境整備法」も施行 ーーー
 
 今年の4月1日、有害情報から子供たちを守るための「インターネット利用環境整備法」が施行された。
 
・保護者は有害情報を排除すべくフィルタリングソフトなどの利用により、18歳未満の子どものインターネット利用を適切に利用する能力習得促進に努める。携帯電話やPHSを購入して使用させる場合には、その旨を事業者に申し出る。
 
・事業者はフィルタリングを利用しやすいように販売する。
 
・サイト管理者は、有害な情報発信があった場合、子どもが閲覧できないような措置をとり、保護者からなどの問い合わせを受け付ける窓口の整備などの努力義務がある。
 
 などとなっている。パソコンや携帯電話などからのネット利用に対して、その利便性の陰に有害情報を提供する存在がつきまとう。捜査当局も摘発に力を入れているが、まずは身近な存在である親御さんの意識を啓発する法律の施行と言えるだろう。
 
 かつては有害番組などを見ていると怒られた。親がフィルタリングになっていたが、携帯電話の出現により、さまざまな情報を手のひらに入れることが可能となった。子どもは”必ず間違える”という意識のもとにフィルタリングサービスの利用、そして家族で話し合うことが重要だ。
 
  
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★ プロバイダ責任法とは(IT用語辞典・01/11/22)
★ 青少年インターネット環境整備法等について(内閣府)
★ 8サイトに「有害情報」閲覧者の年齢確認求める 警視庁(朝日新聞・09/5/1)
★ 「違法サイト」指導へ 警視庁が統括事務局(産経新聞・09/9/28)
 
 
 

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JR西と事故調の”脱線” 福知山線脱線事故報告書漏えい問題

 2005年4月25日に発生したJR福知山線脱線事故で、国交省航空・鉄道事故調査委員会の委員とJR西日本の役員が事故報告書の完成前に会い、内容を把握していた問題は、JR西日本と国交省事故調の委員との馴れ合い体質を露呈することとなった。
  
 漏えいが発覚した報告書には、自動列車停止装置の整備の遅れ、過酷な運転ダイヤ、日勤教育などが記載されており、JR西の体質に始めて言及する内容だった。
 
 事故当時、亡くなった運転手は運転実績も浅く、脱線事故直前にも数回にわたる運転ミスがあったことが分かっている。事故現場へ制限速度を超えるスピードで進入したのも、運転ミスによる遅延を回避するためであった。事故車両の一部であった2両目が、マンション外壁にへばりつく形であったことが衝撃的で今でもその映像が頭から離れない。
 
 事故調との癒着というのであれば、何のための事故調だかその存在意義が怪しくなる。JR西は、あれだけの惨事を引き起こしておきながら、保身のための積極的な連絡であることは明白だ。旅客業務というのは言うまでもなく安全第一である。世界に誇る鉄道を開発したとしても守らなくてはならないことは言うに及ばない。「生産第三」を「安全第一」よりも優先させた結果である。
 
 関係したJR西と事故調の元委員らは、国鉄時代の先輩後輩・上司部下の関係だったという。国鉄時代の負の遺産がこんな形で現れるとは考えなかった。何よりも、本当に犠牲者や遺族に対して真摯な態度であるのかどうかが疑問である。文言を変えた方が良さそうだ。「顧客第一」「体質第二」「利益第三」なら分かりやすいだろう。
 
※国交省航空・鉄道事故調査委員会は現在「運輸安全委員会」と改称しています。
 
☆ 崇高な精神の持ち主は目的を持ち、そうでないものは願望を持つ(Washington Irving)
 
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★ 事故調への接触、JR西の現副社長が指示(読売新聞・09/9/28)
★ 事故調漏えい:JR西前社長、中間報告書素案も入手(毎日新聞・09/9/29)
 
 

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店に「なぜ捕まえた」 万引き少年を擁護する親たち

 万引きで捕まえられた少年を見たことがある。都内の繁華街にあるCDショップ。私服の警備員に引きずられるように出てきたのは、一見すると普通の子供であった。むしろ私服の警備員があまりにカジュアルな格好をしていて、そちらのほうに驚いた。万引きというのは窃盗罪という立派な犯罪であるが、罪の意識の希薄さが実行した少年のみならず、その保護者にも及んでいる。
 
 「通報されて子供がショックを受けている」、「商品を子供が取れるような場所に置いている店のほうが悪い」、「いくらですか?代金を払えばいいんでしょう?」。万引きした子供の親が、こうした理不尽な苦情を言ってくるケースが増えている。
  
 書店などで作る業界団体「日本出版インフラセンター」の試算では、大手書店14社の万引き被害は年間約40億円。総売上の1.4%に相当する。店側も私服の警備員や万引き防止システムなどを導入するが、大きな書店でなければそこまでコストをかけることも出来ない。本の売り上げは定価の2割程度であることが多く、薄利多売であるのが実情だ。ゆえに万引き被害は書店にとって死活問題となっている。
 
 警察庁によると、今年上半期に万引き(窃盗容疑)で摘発された少年は前年同期比8.2%増の13,726人。うち警視庁が1月から7月に都内で検挙した少年は46.4%増の2,565人で、全国でも群を抜くという。同庁が428人の万引き少年に行った意識調査で、「ゲーム感覚」「(捕まったのは)運が悪かった」との回答が4分の1にのぼった。同庁では「少年だけでなく、保護者を含めた全ての世代に『万引きは犯罪』という認識を持ってもらうことで、他の犯罪抑止につなげたい」としている。
 
 万引きのニュースを聞くと必ず思い出す事件がある。03年1月、神奈川県内の書店で起きた悲劇がそれである。店主は万引きをした中学生の少年を発見。反省の態度を示さなかったことから警察を呼んだ。警官が任意同行を求めたところ少年は逃走。近くの遮断機をくぐったところで電車にはねられて死亡した。
 
 そのあと書店には「人殺し」、「なぜ警察を呼んだ」などの非難が殺到し、店主は一時休店を決定した。その後、書店や新聞社などには非情な非難に対する抗議、店主への激励が寄せられた。
 

「正義という仮面を付けた暴力。自分の姿を見せずに正義のふりをして人を傷つける、そんなやり方が通ってはならない」
 
「記事を見て大変ショックを受けた。非難に負けては万引を助長しかねない。辛いとは思うけれど、営業をずっと続けて欲しい」
 
「自分の息子も万引きを働いた。書店からの連絡で身柄を引き取りに行ったときは情けなくて頬をひっぱたいたが、もっと悪いことを犯す前に早く捕まって良かったと思った」
 
「少年の父親が謝罪したことを知って、立派な父親だと思った」
(以上、読売新聞朝刊・03/2/3)

 
 こうした声に支えられ営業を再開した店主だったが、その5ヶ月後、結局閉店することとなった。店主は再び万引きを目撃、注意することが出来ず「もうどうしてよいか分からなくなった」との理由だった。
 
 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
 
 最近コンビニで買い物をした。家に帰ってレシートを眺めてみると、購入したキュウリ1点がそこには印字されていなかった。正直に言えば、申告すべきかちょっと悩んだが結局後日、コンビニにレシートを持参した上で、事情を説明して店長さんにキュウリの代金を支払った。その額、105円。「なんか万引きしたみたいでいやだったので」というと、店長さんは「いえいえとんでもない、こちらのミスですから」と恐縮されていた。
 
 当たり前のことをしたに過ぎないが、少なくとも、105円くらいいいじゃないかと思って放置していたらきっと後味が悪い。たかだか105円だが、農家のかたに生産されて、運搬されて、町のコンビニに並び、従業員の収入になるもの。そんなふうに考えるとなおざりには出来なかった。
 
 万引き少年を擁護する保護者の中にはこういう者もいるそうだ。「なんで捕まえたんですか。万引きに気付いたなら、通報する前に諭すべきでしょう」。本来、その諭す役目をするのが親である。往生際の悪い人間というのはいつの時代もみっともない。保護者というのは、何でもかんでも保護することではない。降りかかった不運から守ってやることのみならず、脇道にそれてしまったらそれを軌道修正するのも保護することである。
 
 「たかが万引きくらいで」— そのセリフ、寝食を惜しんでペンを走らせている作家の方々の前で言えますか。
 
 
☆ 人生は一冊の書物に似ている。馬鹿者たちはそれはパラパラとめくっているが、賢い人間はそれを念入りに読む。なぜなら、彼はただ一度しかそれを読むことが出来ないのを知っているから。(ジョン・パウル)
 
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★ エコバッグ使った万引が増加 対応に苦慮(本ブログ・09/8/8)
★ 万引き親子に裁判官が苦言(本ブログ・06/6/30)
★ 万引につぶされてしまった本屋(本ブログ・05/6/16)
★ 「店が悪い!」万引現場に”モンスターペアレント”(イザ!・09/9/26)
★ チョコ1個万引で実刑 罰金刑から一転、仙台高裁(イザ!・09/9/8)
 
 

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昨今の事故にみる「山岳救助警備隊」の存在

 今年は山の事故のニュースを多く見聞きしている感じがある。北海道では登山ガイドの適切な判断が行われなかったために死者を出した。岐阜県高山市の奥穂高岳では、救出に向かった県防災ヘリが墜落する事故があり、群馬県内では「クレヨンしんちゃん」の作者である臼井儀人さんが滑落死した。あまり報道されていないものも含めれば、毎年多くの人が遭難、行方不明になっているのだろう。
 
 山で遭難すると、一般にはその山を管轄する都道府県警の山岳警備(救助)隊などが出動、自前のヘリで救出に向かうことになるが、警察人員だけでは足りない場合、特に徒歩での捜索となると民間の救助隊員や民間ヘリなども使うことがある。警察や消防ではないので、こうした捜索には費用がかかる。
 
 日本は国土のほとんどを山岳地帯が占める。それだけにこうした救助活動に従事する人たちの存在は心強い。日本は魅力的な山が多いことに加え、近年の登山ブームで気軽に山の頂を目指す人が増えた。しかし、一見すると穏やかな山も時に自然の力を人間に見せつけることがある。朝まで穏やかだった山が突然牙をむくことで、滑落や遭難などの危険に巻き込まれる。
 
 こうした状況に対応できるように、各都道府県警には山岳救助専門部隊が存在する。例えば東京の場合、西多摩郡奥多摩町を管轄する青梅署には山岳救助隊があり、檜原村などを管轄する五日市署にも存在する。通常はそれぞれ配属署での勤務をしているが、ひとたび山岳事故が起きれば山岳救助隊員となって現場に向かう。同様のことが他道府県警の所轄署にも言える。
 
 さらに機動的に組織されているのが、長野県警山岳遭難救助隊、富山県警、岐阜県警の山岳警備隊だ。こちらは山荘などにある派出所に隊員が常駐しており、事件事故に対応する体制を整えている。隊員と言っても無作為に選抜されたわけではなく、山岳経験があり、山岳警備を希望する警察官がその任務を担う。当然のことながら、日々厳しいトレーニングを積んでおり、一般登山者の登山技術よりも高くなければいけない。救護者を背負ったフリークライミングや、絶壁での救助活動などは訓練なしにはできないことである。
 
 富山県警によると、08年の遭難件数は133件、遭難者数は159人で過去最悪だった。こうした状況に対応すべく、今年の4月、山岳警備隊指導官として西本隆夫警部(60)を再任用した。天候不良でヘリが出動できない場合の救助活動について、若い隊員に指導するという。
 
 富山県警山岳警備隊は国内でも随一の救助力があるとされる。登山者の間では山の県境で落ちそうになったら「富山県側に遭難しろ」との合い言葉があるほどだとか。(参考・ウィキペディア)
 
 警察にしろ消防にしろ地元の山岳会員にしろ、こうした活動をしてくれるというのは本当に心強いことである。
 
 しかし同時に考えなくてはならないことがある。
 
 前のエントリにも書いたが、入念な登山計画もなく、登山に必要な装備も持たずにハイキング気分で登山に臨むことは大変危険なことである。そして遭難者を救助するにはどれだけのコストがかかるか考えた方がよい。
 
 ヘリを1回飛ばすのでも燃料費はただじゃない。警察や消防などの救助で全て終われば税金で賄われるために費用はかからないが、民間の山岳捜索団体やヘリに依頼することになると、捜索隊員1人あたりの日当が夏山で1〜2万、冬山で3万円、それに加え、岩山などの危険手当が1.5万円、日没夜間手当が1万円、捜索に伴う宿泊や交通費は実費が請求される。ヘリが1分1万円が目安で1往復で100万円以上かかることになる。金額はあくまで目安である。
 
 警察の救助がままならないときに、家族に承諾を得て民間の力を借りることになるが、山岳保険、登山保険などの商品があるようなので、登山が趣味の場合は加入をおすすめしたい。
 
 お金の話になってしまったが、救助する人たちは当然危険な場所にわざわざ出向くわけであり、相当のリスクを覚悟して任務に就く。厳しい訓練をしているとはいえ、富山県警では2人の殉職者を出している。楽しい登山も1つ間違えれば大事故に繋がり、多大な迷惑を他人にかけることになる。
 
 あのエベレストも登山者の1割は下山しないままになっているという。エベレストから遺体を搬送することが出来ないので、多くは凍結したままになっている。
 
 今は自然が優しく迎えてくれるシーズンかも知れないが、遠くから見る山と直接足を踏み入れる山では景色が違う。その頂きに登りつめたときの達成感を味わうためにも、ぜひ登山情報には気をつけて欲しいところだ。そうすれば自然の恵みが大きく登山者を包み込んでくれることだろう。
 
 
☆ 「僕はずっと山に登りたいと思っている。……でも明日にしよう」おそらくあなたは永遠に登らないでしょう(レオ・ブスカリア)
 
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★ ヘリ墜落現場付近で男性重体 岐阜・高山 奥穂高岳 高所での救助経験はあった?(本ブログ・09/9/13)
★ 登山中のもしものために、山岳保険(All About・05/4/7)
★ 富山県警察山岳情報
★ 長野県警察山岳 山岳情報
★ 北アルプス秋山情報(岐阜県警察本部)
 
 

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痴漢一掃に集中作戦 JR線などで 警視庁など各府県警

 警視庁は14日から5日間を痴漢被害防止週間として、JR埼京線、山手線、中央線や私鉄など、痴漢被害が多発する路線で異例の集中取り締まりを行う。被害が減らず、痴漢仲間を募るサイトが同庁が確認しただけでも100以上存在、集団で加害行為に及ぶなど犯行が悪質化していることを受けてのことだ。警察庁も全国の捜査幹部を集め、取り締まりの徹底を求める方針。
 
 警視庁は、スリ担当の捜査員を加えた数人編成の特別チーム約10班を電車内に潜入させる。スリ捜査員は犯人の目つきを見ただけで、スリか痴漢か区別がつくという。不審な行為に目をひからせて、現行犯逮捕を目指す。数人編成でいることで”誤認逮捕”も防ぐことができる。警視庁以外でも、首都圏の県警や大阪、兵庫、愛知などの府県警ではすでに同様の特別チームを編成している。これに加え、主要駅に機動隊員や制服警察官を巡回させて「見せる警戒」で犯罪抑止に努める。
 
 千葉県警などでは鉄道警察隊などに、犯人の手に着いた繊維片や、被害者の着衣に残された手がかりを採取する機材を備える。痴漢やスリは現行犯でないと逮捕が難しい。そのためこれまで逮捕した被疑者が裁判で無罪判決になったり、被害者も供述の変遷が見られるなど、物証の確保が重要になってきたが背景にある。
 
 埼京線や中央線は殺人的な混みかたをする。かつてこの路線を通勤に使っていたときは、職場に着いたときにはヘトヘトに疲れた。現在は都内でも珍しく混雑率が低いとされる井の頭線がのどかに感じる。警視庁によると、今年6月までの痴漢の検挙は708件で、埼京線内の被害が最も多く、全体の11%を占める。警視庁では「無罪判決で捜査が萎縮して被害者を泣き寝入りさせるようなことがあってはならない」と語気を強める。
 
 「●●線で痴漢をする会」といった内容のサイトがネット上に存在する。特定の駅、路線、車両を指定して見知らぬ者同士が集まり、電車内で女性を囲んで犯行に及ぶ。被害者の恐怖と怒りは止まないであろう。こうしたネット上のサイトに刺激されてわざわざ静岡から上京して犯行に及んだ男もいた。警視庁ではこうしたサイト運営者に削除要請している。
 
 痴漢行為は都道府県の迷惑防止条例で規制されている。東京都の場合、第5条第1項「卑わい行為」の規定を取り締まることになる。
「何人も、人に対し、公共の場所または公共の乗り物において、人を著しくしゅう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない」とある。
罰則は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金。
常習の場合は 2年以下の懲役又は100万円以下の罰金
となっている。
 
 なお、犯行がエスカレートし、暴行・脅迫を用いた場合は刑法の「強制わいせつ罪」が成立する。罰則は6月以上10年以下の懲役である。冤罪も確かにあるが、被害者数が数字となって公になるのは氷山の一角である。
 
 女性の皆さん、被害にあったら相手の手を思いっきり引っかいてあげましょう。あなたのツメに残った男のDNAを警察はのどから手が出るほど欲しがっています。その時に捕まらなくても、別の機会に捕まる可能性もあります。規範意識のない者というのは何らかの犯罪に手を染めますから。
 
 不審者には目を光らせたい。女性だけではなく、善意の殿方も。
 
 
☆ 愚者が賢者から学ぶより多くのことを、賢者は愚者から学ぶ。(Marcus Porcius Cato)
 
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