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老老介護の現実  進行する高齢化の問題

 このブログの中に「本日人気のあるエントリ」というのがあり、アクセスの多いものが並んでいる。最近は見なくなったが、かつては「南田洋子の認知症『介護は恩返し』長門裕之」がトップに上がっていた。テレビで見かけなくなった南田洋子さんが認知症を患っていたことに多くの人が衝撃を受けたことであろう。この様子はテレビで放映された。
 
 このテレビ放映に対して嫌悪感を覚えた方も多くいる。つまり、「認知症の妻をテレビで見せ物にするとは」というものである。本人の意思が確認できないのに、そのプライバシーを勝手に放映するとはよろしくない、ということである。長門さんに対する反発もあるであろうし、テレビ局に対してもそうであろう。その考えはよく理解できる。
 
 参考までにこのブログで「南田洋子さんのテレビ公開」についてアンケートを募ったところ、反対が7,賛成が16、どちらとも言えないが6であった。私は賛成である。南田さんの意思が不在であるのは認知症が進行している状態ではどうしようもない。そうであれば南田さんの代理人、すなわち成年後見人である長門さんの意思決定が重要になる。
 
 長門さん自身も高齢でありお金の問題もある。公開することで経済的負担をなくせる部分があることも本音だと推測する。とりわけ子供のいない長門夫妻が頼れる介護者はデイケアのヘルパーさんであり、長門さん自身である。
 
 家庭によっては施設に入院させることもできるであろう。しかし誰もがそれをできるわけではない。老老介護の現実を知る機会は少ない。6年後には日本の人口の4人に1人が65歳以上になる。これはもう一部の人の問題ではない。
 
 介護の経験をまとめた本なども多数あるが、映像のほうが分かりやすいことが多い。そういう意味で老老介護の現実を知る上で必要な情報の提供方法だと思う。そして夫婦で過ごせるという意味で南田さんは幸せだとすら思う。
 
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 
 
 介護が起因する悲劇は後を絶たない。その中で印象に残っているのが、2006年に京都で起きた承諾殺人である。
 
 京都市伏見区の河川敷で母親(当時86歳)を絞殺した50代の男性被告は、被告人質問で事件の経緯について語った。男性は介護のために仕事を辞めた。生活保護費の受給申請に福祉事務所を3回訪れたが申請は拒否された。生活費を削るもアパート代金すら払えなくなった。男性は母親に対して献身的な介護を続けていたが、経済的に困窮してしまい絶望した。母親を殺して自分も死のうと決意した。
 
 「母親に『僕と一緒にどこにでも行こうか』と聞くと、にっこり笑ってくれた。最後まで2人で行こうと思いました」、「この手は母親をあやめるための手か。心の負の遺産を作ってしまった」と涙ながらに述べると法廷は静まりかえり、傍聴席からすすり泣きが漏れた。
 
 検察側は「被告は母親をこよなく愛し、一緒に行きたいと思い、最後の瞬間まで介護を続け、被害者と心中に至った。しかし親族に援助を求めることなどもできたのに『人に迷惑をかけてはいけない』という自分の生き方を優先させており、命の尊さに対する理解が欠けている」とした。これに対して弁護側は「法的に非難することはできても、道義的に非難することはできない」と反論した。
 
 検察は被告を非難したと同時に「被告は母親を長年にわたって献身的に介護しており、2人で生活できる方法を模索したが、見つけることができなかった」と被告に有利な情状も述べている。
 
 06年7月21日に京都地裁で男性に対する判決が出た。承諾殺人と銃刀法違反の罪に問われた男性に対して、東尾龍一裁判官は懲役2年6ヶ月(求刑3年)、執行猶予3年の判決を出した。
 
 「被告は行政からの援助を受けられず、経済状態が急迫し、心身ともに疲労困憊となり、愛する母親をあやめた。その苦しみや絶望感は言葉では言い尽くせない」。「母親は献身的な介護を受け、犯行前日には、思い出のある京都市内の繁華街を案内してもらっている。恨みなどを抱かず、厳罰も望んでいないと推察される。自力で更生し、母親の冥福を祈らせることが相当」と述べた。 
 
 判決の後に同裁判官は「生活保護行政も問われている。事件に発展した以上は、対応すべきだったかを(関係者が)考える余地がある」と福祉行政について踏み込んだ発言をしている。
 
 東尾裁判官は最後に被告に対して「絶対に自分をあやめることはしないようにして、お母さんのためにも幸せに生きてください」と諭した。
  
 公判を傍聴していた男性(60)は「母親は4月に亡くなったが、自分も『母親と一緒に死にたい』と思ったことがある。こういう悲劇が起きなければ、介護で辛い思いをしている人の声が世間に届かないことが悲しい」と述べている。
 懸命に介護をしていても、それが犯罪になってしまう悲劇。手を下した男性は悪い。しかしそのきっかけを作った所に責任はおよばない。これは3年前の事件であるが、その後も同様の事件は続いている。
 
 
※ 「承諾殺人」の男性はその後に亡くなっていることが分かりました↓
 
★ 介護殺人その後 加害者も心に大ダメージ 社会復帰に壁(毎日新聞・2016/1/5)
 
 
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★ 南田洋子の認知症「介護は恩返し」長門裕之(本ブログ・08/10/4)
★ 消えていく記憶 認知症の南田洋子(本ブログ・08/11/3)
★ お年寄りと接する”常識”の変化(本ブログ・09/2/19)
★ 認知症妻介護役を好演 長門裕之 「ショカツの女・3」
※「京都の承諾殺人」参考=読売新聞06.6.22、06.7.6、06.7.21、06.7.22。
 
 

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福岡県警巡査部長を飲酒ひき逃げで逮捕 容疑否認(2009.8.26)

 福岡県飯塚市の国道200号線で24日午後、対向車線をはみ出してきた乗用車が対向車と衝突する事故があった。衝突した車はそのまま逃走、衝突された50代の女性は顔面打撲などのけがを負った。福岡県警飯塚署は間もなく、事故を起こした県警の巡査部長の男の容疑者(49)を道路交通法違反(ひき逃げ)と自動車運転過失傷害容疑で緊急逮捕した。身柄確保時に酒の匂いがしていたが、任意による飲酒検査を拒否、逮捕容疑についても「全く関係ない。車は盗まれた」などと、運転と飲酒の両方を否認している。
 
 このため県警では、身体検査令状をとって血液を採取したところ、血液1ミリリットルから基準値0.3ミリグラムの4倍以上に相当する1.27ミリグラムのアルコール分が検出された。このため県警では、道交法違反(酒酔い運転)と危険運転致傷容疑でも立件する方針。
 
 8月25日は3年前に、福岡市職員による飲酒運転追突3児死亡事故が起きた日。県警では「飲酒運転撲滅運動」などを行っていた。県警の真田稔警務部長は「痛恨の極みであり、県民の皆様に心からお詫びする。事案の重大性にかんがみ厳正に対処する」と頭を下げた。
 3年前の事件を契機にして、ドライバーのみならず、酒を提供した飲食店や同乗者が飲酒運転のほう助で次々と摘発されている。
 
 警察官は一般の人が想像する以上に多くの無惨な遺体を目の当たりにしている。報道で車にひかれた被害者が「体を強く打って死亡」と書かれていれば、それは肢体が無惨にも揃っていない状態を意味する。その警察官のモラル以前のものが欠落していることが腹ただしい。
 
 九州地方のあるベテラン白バイ隊員は、新人女性白バイ隊員をある場所に連れて行った。そこには交通事故防止の石碑があった。かつてこの場所で16歳の少年が事故で死亡したのだという。
 
 ベテラン隊員は「キップを切るために取り締まるのではない。未来ある子供たちが事故に遭わないよう、その一心でで取り締まりに当たらなければならない」と新人隊員に言った。その亡くなった少年とは、ベテラン隊員の甥っ子だった。それを聞いた新人隊員はうつむいて目を赤くした。
 
 交通取り締まりは警察と一般人が接する1つの機会だ。違反者は「これくらいの違反で・・」「なぜ私だけが・・」と思うかもしれない。しかしそれは「これくらいの違反で済んだ」「私だけ助かった」と思うべきである。交通違反は犯罪ではない。だが、小さな違反も気がゆるむと大きな犯罪へと方向転換することを忘れてはならない。
 
 こうした警察官の不祥事で、ひき逃げ事件を捜査している一線の捜査員が気の毒でならない。「飲んだら乗るな」のスローガンは、それを言う必要のない人が声を上げ、聞かなければいけない者が聞こうとしていない現実がある。
 
 
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★ ひき逃げ:福岡県警の巡査部長を逮捕 飲酒の疑いも(毎日新聞・09/8/25)
★ 福岡幼児3人死亡事故 懲役20年 危険運転致死傷罪はこれでいいのか(本ブログ・09/5/15)
 
 

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サバイバル研修を無人島で 日清食品 異業種への研修の成果とは

 日清食品ホールディングスは26日から2泊3日で、グループ会社の若手管理職社員を対象に、瀬戸内海の無人島で生活させる「サバイバル研修」を実施する。研修中は「チキンラーメン」と水、小麦粉、ビニールシートしか持たされない。まきを拾って火をおこして手作りの道具で調理、ビニールシートで寝泊まりするなどのサバイバル生活を強いられる。同社では若手管理職の心身を鍛える事が目的だ。
 
 愛知県内の複数の企業は、県内の自衛隊春日井駐屯地に新人、社員研修を依頼している。1日1人1000円程度で受けられることから、経費削減の目的もある。自衛隊側も「隊内生活を経験すれば自衛隊に親近感を持ってもらえる」としている。入隊体験は2泊3日。午前6時起床、午後11時消灯という規則正しい生活の中で、隊列行進などの基本訓練、3,000メートル走などの体力測定を経験する。
 
 ある大学病院の研修医は末期がんの患者に「痛くて痛くて我慢ができないんです」と激しい疼痛を訴えられた。しかし研修医は答えに窮した。「つらいですよね」「しんどいですよね」そんな言葉しかでない自分が情けなかったという。それでも話を聞き続けたら「少し気分が楽になった」と言われて救われたという。04年度から義務化された新人医師研修では、患者の気持ちの分かる医師を育てようという目標が掲げられた。患者や家族とコミュニケーションの取れる医師の養成だ。(※)
 
 大学で劇作家・演出家の平田オリザ先生にワークショップを受けたことがある。動的な講義は座学と違いなかなか面白かった。先生は「医師の卵にもこうしたワークショップを実施している」と話していた。とかく冷たい対応と批判されがちな医師にならないための研修の一環とも言える。先生は「あまり演技の上手い医者ばかりでも困るけどさ」と笑ったが、長い時間待たされて診察30秒、ほとんど目を合わされることもない診察はまさに「病気は診るが人を診ない」の批判に当てはまる。
 
 日清食品のみならず、異業種で研修をすることは大きな意義があると思う。最近ニュースを見ていると、社会的地位のある人たちが起こす不祥事が多い。そのままいつも通りの生活をしていれば順風満帆な人生を歩めるはずなのに、ふとした瞬間から転落の人生を歩むことになる。それは恐らく「魔が差した」というレベルの話が原因ではない。自分の社会的立場や自分の仕事を客観的に見る力がないからだ。
 
 まったく未知の分野に入り込んだときに、自分に無力な部分があると知ることがある。それとは逆に、自分や他人の新たな可能性に気付くこともある。迷ったとき、立ち止まって冷静な視点で考えることで、導かれることは必ずある。
 
 
☆ 人生で本当に興味を持ってやれる何かを見つけなさい。それを続け、ゴールを設定し、優秀であることを自身に誓いなさい。できる限りのベストをつくすのです。(クリス・エバート) 
 
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★ 崩れる「公」意識(本ブログ・06/10/31)
★ 日清食品、無人島でのサバイバル研修を再開(産経新聞・09/8/17)
 
 
(※参考 読売新聞・東京朝刊・2006/3/23)
 
 

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裁判員裁判の未来 その時のための心構えとは

 東京地裁で全国に先駆けて行われた裁判員裁判で、殺人罪に問われた男性被告人(72)に懲役15年が言い渡された。裁判員は職業も年齢もさまざまであり、判決後の記者会見ではさまざまな思いを述べた。
 
 ピアノ教師の女性(51)は「色々と話し合う中で、気持ちが揺れた」とし、男性会社員(43)は「多くの情報の中からどれが大切かを決め、集中してやらねばならず、仕事と違う疲れ方をした。『自分が』という気持ちが強かったが、みんなで最終の結論に持って行くんだ、と考えられるようになってからは気が楽になった」と語った。
 
 遺体の写真について、女性契約社員(38)は「見ておくべきだと思って見させてもらった」と語り、女性会社員(50)は「私は大丈夫だという時点まで見て、目を伏せた」とした。
 
 アルバイト男性(61)は判決前夜「被告には不幸な面もあり、やることがうまくいかなかった不器用な人。私も還暦を迎え、被害者や遺族のことも考えて、涙が出た」とコメントした。
 
 東京地検の谷川恒太次席検事と青沼隆之特別公判部長はそれぞれ、「準備を生かし、工夫に努めた立証活動ができた」とし、「主張の核心部分は認定された」と判決を評価。「裁判員にも『分かりやすかった』と評価してもらえた」と述べた。
 
 一方、被告人の弁護人を務めた、伊達俊二弁護士は「量刑に不満はない」とした上で、「判決では『被害者に犯行を誘発する行為があった』という背景事情が全く認められず残念。裁判員に『反省の態度が見られない』と判断されたのかもしれない」と述べた。
 
 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
 
 裁判員制度について反対する向きもある。素人が他人の人生に関わって良いものかと考えることもある。しかしこれまで我々は、そうした重責を国に一任してきた。その結果、重大犯罪の量刑に不満があれば「おかしい」と言ってきた部分もある。
 
 裁判員裁判が有益だと思うことは、民意が反映される裁判が期待できることにある。プロである職業裁判官にない素朴な視点で被告と向き合うこともあるだろう。今まで無関心だった犯罪や、その後の裁判に携わるというのは、国民が安全な日常生活を送る上での意識の高まりが期待できる。
 
 しかし裁判員の1人が語ったように、「証人が多く出てきたり、死刑が選択肢の中に出てくるような公判の場合、4日という短期間では足りないのではないか」という不安もある。今後は人が人を裁くことの難しさをより多く感じる公判廷も開かれることになるだろう。
 
 大切なことは何か。目の前にいる被告人と無罪推定の下に対峙し、殺人事件であれば被害者の声なき声に耳を傾けることである。
 
 そして、単純に犯罪だと割り切れないような案件も出てくることになる。
 
 裁判員裁判ではないが、4日に福岡地裁久留米支部で行われた裁判では、承諾殺人罪に問われたのは91歳の女性被告人だった。
 
 検察の起訴状によると、被告は08年7月30日、福岡県内の自宅で次女(61)に承諾を得て睡眠薬を飲ませ、ビニールひもで首を絞めて窒息死させた。自分も睡眠薬を飲み、ビニールをかぶったが一命を取り留めた。
 
 次女は夫を亡くし、87年から精神科に入退院を繰り返していた。07年の正月には「病院でいじめに遭ってる」と母親である被告人に訴えた。「自分が娘を治してみせる」。周りが反対をしたが08年3月に被告人は娘を自宅に引き取った。
 
 事件はその5ヶ月後に発生。「一緒に参ろうか」「ばあちゃんそうしよう」。遺書に連名で署名すると、ベッドの横に並び、手には数珠を握らせた。
 
 出廷した入院中の被告人は、押し車で体を支え入廷するとハンカチで涙をぬぐい始めた。
 「1人だけ残って苦しゅうございます。娘も苦しかったろ。すまんやった」。孫にあたる次女の息子には「たった1人のお母さんを殺してすまんかった」。息子は「祖母は本当に苦しんでいた。責めるつもりはない。何で気付いてあげられなかったのか」。法廷には被告人と遺族のすすり泣きが響いた。
 
 検察は懲役4年を求刑し、判決は10月6日に言い渡される。
 
 日本の戦後復興に身を捧げた多くのお年寄りがいる。その中の1人である91歳の被告人。裁判員はこうした被告人にも正面を見据えて耳を傾け、質問をする必要があるのだ。裁判員となるかもしれない自分たちに課せられた責務は、誰が裁くかでもなければ誰を裁くかでもなく、裁くべき事は何かを考えることにある。
 
 
 ☆ 我々の憎悪があまりに激しくなると、憎んでいる相手よりも下劣になる。(ラ・ロシュコー)
 
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★ 「裁判変わる瞬間みたい」傍聴求め2300人(朝日新聞・09/8/3
★ 「苦しゅうございます」心中承諾殺人 91歳母謝罪 病弱の娘を介護の果てに(西日本新聞・09/8/5)
 

 
 

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エコバッグを使った万引が増加 対応に苦慮

 エコバッグを使った万引が各地で横行している。スーパーのかごをカートで押しながら、安い商品はかごに入れるが、値段の高いものは持参したマイバッグに入れ、安い商品だけ精算をしてから何食わぬ顔で店外に出るという。
 
 ”エコ”と名が市民権を得てしまったがために、エコバッグの利用を断るわけにも行かず対応に苦慮しているという。しかし札幌のあるスーパーでは「エコバッグ禁止」を打ち出した。「薄利でやっている以上、死活問題。苦渋の決断だった」と店の責任者は言う。
 
 万引被害はどこの店でも頭の痛い問題である。被害額は月に百万円単位におよぶこともあり、防犯カメラや私服の警備員を配置するにしてもコストがかかる。そこへきてエコバッグが問題になってしまった。
 
 そもそもエコバッグは環境に優しいのか疑問がある。もともと石油成分として商品にできない成分は廃棄されていた。石油コンビナートの煙突からモクモク出ていた煙はそうしたものだった。しかしその廃棄していた成分を有効利用しようとして考えられたのがポリエチレン、そこからポリ袋と呼ばれるようになり、レジ袋として市民権を得た。もともと捨てていたものなので、レジ袋は無料で我々が手にすることができるのだ。すなわち、レジ袋というのはエコの優等生なのである。
 
 その一方で、エコバッグを作るとなると、石油の商品として利用できる主成分を使うこととなり、汚損などで買い換えが進めばそれだけ「良い石油」をどんどん消費することになる。「良い石油」の主力成分は、洗濯機、掃除機などの家電製品、車の内装などに使われる強化プラスティックであり、この成分は”人気”なのだ。
 
 それに加えて、レジ袋を使わないとしたところでどうしてもゴミ袋は必要となる。レジ袋を使わないということが100%進んだと仮定すると、無駄に石油やコストを消費することになる。
 
 それでもレジ袋を使いたくないという個人的な理由で使わないのはいいことだと思うが、地域レベルや国レベルでそれを成せばどうなるだろう。とりあえず、エコバッグを使う人の心得としては、スーパーに入ったら折りたたんでおいて、清算後に広げて使うのがマナーであろう。
 
 
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★ 「マイバッグ万引」相次ぐ エコブーム逆手、対策に難しさも(産経新聞・09/8/7)
★ 缶ビール552本、堂々と盗む 宮崎・都城(本ブログ・09/6/20)
★ 「大麻欲しさに万引」の被告に、「バカ」と裁判官(本ブログ・09/4/17)
 
 

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ひとびとを泣かせる愚か者たち

 これまでの人生で、他人名義の賃貸マンションに自由に出入りし、部屋で裸の女性に渡された何だか分からない固形物を飲んだが、それを一緒に飲んだ女性の様子が変なので、蘇生措置をした後に怖くなって自ら119番通報をすることなく、友人に電話してから同じマンションの別の部屋に逃げた、そんな経験をしたことがないし、そんな人を聞いたことがないので分からない。
 
 婚姻の経験がないが、夫婦の関係が複雑な関係があってうまくいっておらず、自称プロサーファーとなって、覚醒剤に手を出したという経験もなければ、そんな人は周りにいない。
 
 都内の中学校副校長が、覚醒剤の使用で逮捕される事件があったが、この時はさすがに「世も末だな」と思った。こうなると、暴力団員がひったくり犯を捕まえたなどの美談でも作ってくれない限り、全く驚くことはない。世の中、悪い人ばかりになってしまった。
 それはちょっと言いすぎた。
 
 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
 
 6日に広島で64回目の原爆の日を迎える。9日には長崎だ。原爆を落とした米兵は「原爆の後遺症として辛い思いをしている人たちが今もいるとは知らなかった」という。しかしその一方で「戦争を終結させるために原爆投下は必要だった」とも言う。
 
 オバマ大統領は「…as a nuclear power , as the only a power to have used a nuclear weapon , the United States has a moral responsibility to act. We cannot succeed in this endeavor alone, but we can lead it….」「核兵器を使用した唯一の核保有国として、行動すべき道義的責任がある。我が国だけではできないが、世界をリードする用意がある」と核廃絶宣言をした。
 
 では我々が歴史に汚点を残すことなく、未来に負担をかけないようにするにはどうしたらよいのだろうか。広島の「平和記念式典」で、子供代表による「平和への誓い」のメッセージが印象的であった。世界を平和にするためにはいじめやけんかをなくすこと、と話したことだ。大きな憎しみに変わる前に、小さな争いごとを無くそうという子供たちのメッセージだった。
 
 小さい争いなら被害も小さくて済む。大きな争いになれば、悲しみは計り知れない。朝太陽が昇り、夕方には沈んでいく、そんなごく平凡な日常を創っていかなくてはならない。
 
 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
 
 話は冒頭に戻る。逮捕された俳優の容疑者は依然として容疑を否認している。のりピーの夫は「自分で使うために持っていた」と容疑を認めた。それぞれあんなに良い奥さんをもらっておきながら、薬物に手を出すというのはいい年をして何をしているのだ。
 
 そしてそれぞれ男の子がいる。これから未来を託すべき自分の子供に何て言うつもりなのか。どんな顔をするつもりなのか。それとも子供のことなど忘れたか。もし忘れたのならば、自らの未来も創ることはできないであろう。あとは惰性で生きるのみだ。
 
 行方不明の、のりぴーが心配だ。父の友人が、のりぴーの上京当時に、のりぴーが何度か家に泊まりに来たことがあると教えてくれた。「とっても可愛い子だったよ」と。時期的に福岡から東京に出てきたころだ。そののりぴーは現在、山梨県内で消息を絶っている。
 
 何も悪いことしていないのに、不運というのは時として降らなくてもいい人たちの上に降ってくる。そしてそれを降らせている愚かな者というのは、身近な存在であることがとても悲しい。身近な平和の灯火を保つことが重要だ。平和を祈願するための炎は力強く煌煌と燃えているが、戦火は人々にとって脅威でしかない。我々1人1人の中にある灯火を消すようなことがあってはならない。
 
 
☆ 家族を大切にしない奴は男じゃない。 (映画『ゴッドファーザー』 )
 
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「違法捜査だった」服役中の道警元警部が証言 =”S”を使った冤罪=(2009.8.1)

 97年にロシア人船員が銃刀法違反で逮捕された事件を巡り、元北海道警警部(55)や道警幹部らが、捜査書類の偽造や偽証、おとり捜査を隠蔽していたとされる事件があったが、服役した元船員のロシア人男性(39)が「違法なおとり捜査で損害を受けた」として、国と道に2310万円の損害賠償を求めた訴訟に関係して証人尋問が行われた。
 
 覚せい剤取締法違反で服役中の元警部に対する尋問は、千葉刑務所の出張法廷で行われた。非公開で実施され、中山幾次郎裁判長、原告、被告双方の弁護団が立ち会った。
 
 原告側の弁護士らによると、元警部(当時は警部補)は道警銃器対策課(現:銃器薬物対策課)に勤務していた当時、この事件に関与したパキスタン人男性ら”S”(=スパイ・捜査協力者)に、飲食などの接待を通じて「誰かに拳銃を持って来させろと指示していた」と証言。事件について「(拳銃を)持ってくる気のない人に持ってこさせた。違法だった」と述べた。
 
 以前に偽証したことについては「その方針を固めたのは自分より上の人間だった」と組織内の関与を認める発言をした。
 
 訴状によると、ロシア人男性は97年11月、パキスタン人男性から「拳銃と中古車を交換してやる」と持ちかけられ、小樽港で拳銃を渡そうとしたところ、道警銃器対策課員に現行犯逮捕された。男性は「違法なおとり捜査」と無罪を主張、しかし元警部が偽証したことから懲役2年の実刑判決を受けた。
 
 その後、偽証が発覚し、道警は元警部と元警視、警部補ら計4人を虚偽公文書作成・同行使容疑で書類送検したが、札幌地検は不起訴処分とした。05年にロシア人男性が損害賠償請求を起こした。男性側弁護士は「現場にいた元警部から違法捜査の証言を得ることができた。最大の収穫」と語った。
 道警の組織的関与が濃厚になってきているが、関与については一貫して否定している。道警は「係争中なのでコメントできない」としている。2002年7月、道警が元警部を覚せい剤取締法違反で逮捕。のちに銃刀法違反などで再逮捕。元警部に事件を指示した元上司の警視が自殺している。
 
 おとり捜査には、捜査当局が犯罪そのものを引き起こす意図で行う「犯罪誘発型」と、あらかじめ設定された機会を利用するに過ぎない「機会提供型」がある。一般に前者は違法(米国などでは合法)、後者は適法とされる。
 
 銃器・薬物の捜査は難しい。捜査員だけでの摘発もあるだろうが、”S”=捜査協力者の関係は欠かせない。闇の組織に近い彼らが情報を「タレこんで」くるから、捜査体制も整えることができる。「おとり捜査」やそれに近いことも行われている可能性も高い。すなわち、捜査員が犯罪に加担する危険性もはらんでいるのだ。
 
 いずれにせよ、犯罪者でもないロシア人男性には正面を向いて道警は話さなければならない。元身内が証言している以上、違法捜査ではないと否定するのであれば、立証責任があるのは道警のほうだけである。
 
 
☆ 名言のない時代は不幸だが、名言を必要とする時代はもっと不幸だ。(ブレヒト)
 
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★ 拳銃おとり捜査:北海道警察の元警部「違法捜査」と証言(毎日新聞・09/7/31)
 
 

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成人の年齢 18?20? どちらが妥当?

 法制審議会が成人年齢を20歳から18歳に引き下げる方針をまとめた。仮にこの民法改正が実現すると、少年法で定める未成年の年齢、公職選挙法の選挙権、未成年者禁酒禁止法の酒類の扱い、そしてタバコにギャンブルなど308もの法令に影響がある。民法に準拠しているだけの法令もあり、全ての法令が直接影響するわけではないが、混乱することは避けられない。識者の間でも賛否は分かれている。
 
 例えば現行の民法では、未成年者の契約には親権者の同意が必要だ。未成年者が勝手にした契約は取り消すことができるのが現行法だが、新たに18歳が成人だと定義されれば、高校3年生でもローンの契約が可能になる。大人でもだまされるような悪質商法に巻き込まれる危険性が高まる。
 
 刑法の未成年を対象にした犯罪にも影響がある。未成年者略取・誘拐罪など、これまで保護の対象であった18、19歳がその対象から外れる。逆に少年法の下で少年院送致などの処分を受けていた未成年が一般の刑事事件の被告と同じ扱いになり、「更生に向けた支援がなされなくなる」(日本弁護士連合会)という声もある。
 
 射幸心を煽るギャンブルや、酒やタバコも若いうちから可能になることから、警察庁、農水省や経産省も法令の見直しを検討することになる。
 
 以上は法律論の一部である。
 
 時に人は「昔はよかった」「古き良き時代」などと懐古的発想になることがある。これはいつの時代でもそうであり、なぜそういう風に思うかと言えば、若いころというのは大人にはない自由があったからだ。親から守られ、社会からも守られて若さを享受していたからそう思うのである。しかし大人になると自由を甘受することよりも、自由や権利を得るために責務を果たすことが必要になってくる。
 
 この責務を果たさない大人も多いその一方で、若くして立派に社会に貢献する青年もいる。成人になるということは、法律が2年早まることでもなければ、酒やタバコができることでもない。本当の大人になるということは、周りを見回して多くの人々が躊躇してうつむいているときに、胸を張って小さな一歩を踏み出す勇気を持つということである。これができなければ、大きな人生の中のたった2年など何の意味もない。
 
 
☆ 少年は最初、自由に向かって溜め息をつく(ヴォルヴナルグ) 
 
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★ 「成人年齢18歳」 308法令に影響(毎日新聞・09/7/30)
★ 「18歳成人」評価と困惑 大人実感、悪質勧誘も(読売新聞・09/7/30)
  

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