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生徒にわいせつ行為をした元校長 市に賠償命令 鹿児島・鹿屋市(2012.3.2)

 鹿児島県鹿屋(かのや)市内の中学校に通っていた女性(19)が当時の校長にわいせつ行為を受け、心的外傷後ストレス障害(Post Traumatic Stress Disorder=PTSD)になったとして、市と元校長に約1700万円の損害賠償を求めた訴訟で、鹿児島地裁は2月15日、わいせつ行為があったことを認定し、市に67万円の支払いを命じた。女性の告訴について地裁の牧賢二裁判長は「元生徒の供述の信用性は高い」とした。
 
 刑事裁判としては、鹿児島地検が嫌疑不十分として不起訴にしていたが、民事としての”有罪”を認めた形となった。刑事裁判として”無罪”が確定しても、民事で”有罪”となったケースである。
 
 元校長は07年6月、当時中学3年生だった女性をドライブに連れ出して、車内で覆い被さるなどの行為をした。元校長側は「精神的に不安定な元生徒を励ます目的で誘った。ドライブ中は相談を受けていただけ」と主張。しかし判決は「元校長が停車した場所は周囲に施設などがなく、性的行為が目的だったと思われる」と指摘した。
 
 元生徒の父親は、判決後「主張は認められたが、被害者が勇気を持って裁判をしなければ事実さえ受け入れない教師がいるのは残念。被告は猛省をし、市教委は子供を守るための対応策を整備して欲しい」と語った。鹿屋市は「判決内容を詳細に検討して対処したい」とコメントを出した。
 
 公立学校でのわいせつ事案が無くなることのない背景の一つとして、公務員が犯した犯罪については、裁かれるのが公務員一個人ではなく、”公務”そのものが問題に問われることにある。公務員が犯罪の加害者になっても被害者になっても、”公務”という見えない概念が裁判で問われる”対象”となる。
 
 別の言い方をする。公務中の公務員に暴行・脅迫をすれば、公務執行妨害罪として加害行為をしたものは裁かれる。その場合、守られるのは襲われた公務員ではなくあくまでも”公務”という概念である。公務員が公務を遂行できなくなれば、国や自治体の業務作用に影響を及ぼすためである。
 
 わいせつ事案を本気で無くすつもりであるならば、不祥事を起こした公務員に対して自治体が加害行為をした公務員に対して損害賠償請求をすべきである。本判決で被害者に弁済することになったが、これは税金によってまかなわれるということを知っておくべきである。
 
 判決で被害者は一つの区切りを迎えることになった。中学三年という女の子に対して、校長という身分で信頼関係を崩壊させ、被害者に恐怖心を植え付け、青春の一時期を黒く塗りつぶした加害行為に対して67万円というのはあまりに安すぎる。加害者に財産刑が科されることもなく名前も公表されない。加害行為をした一個人が痛みを伴わないからわいせつ事案など無くならないのだ。
 
 
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★ 元中学校長:生徒にわいせつ行為 市に賠償命令(毎日新聞・12/2/16)
★ 中学校長が女子生徒にわいせつ 鹿児島(本ブログ・07/11/5)
 

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福岡の追突3児死亡飲酒事故 上告棄却 懲役20年確定 最高裁

 2006年8月25日、福岡市で飲酒運転をした元福岡市職員の男の被告(27)が乗用車に追突、3児が死亡した事件で、最高裁第3法廷の寺田逸郎裁判長は上告を棄却した。危険運転致死罪などで懲役20年が確定した。
 
 裁判官5人のうち4人の多数意見。2001年に新設された危険運転致死罪は、適用の基準が曖昧であったため、悪質だと思われた飲酒事故でも検察や裁判所が適用を見送るケースがあった。飲酒運転を「危険運転」とし、積極的な同罪適用につながったことになる。
 
 事故当時、被告はその場で救護措置をすることなく、水を大量に飲んで証拠隠滅を図ったがその場で身柄を拘束された。幼い子供3人が海に投げ出された事実を同乗していた両親は目の当たりにしたことになり、ショックは筆舌しがたい。これだけ悲惨な事故であったのにもかかわらず、その後も飲酒運転は全国から無くなることはなかった。
 
 この事件の7年前、東京の東名高速東京IC付近で、飲酒運転していた男のトラックが乗用車に追突。乗用車は大破し炎上。両親の目前の車内で3歳と1歳の子供が焼死するという痛ましい事故が起きている。我が子が目の前で「熱い」といっていた声が聞こえた。この事故も、危険運転致死傷罪の成立に大きな影響を与えた。
 
 福岡の事件について、最高裁判決で危険運転致死罪が積極的に適用されたことで、現場の警察官や検察なども二の足を踏むことが無くなるのではないか。法の番人だけではない。車を運転するすべての人に結果の重大性を認識させるという大きな意味を持つ。好んで事故を起こす者はいない。だから結果の重大性を充分に認識してハンドルを握らないといけない。
 
 幼い我が子が一瞬にして奪われた悲しみを被告は考えなくてはならない。我々も、酒を飲んでハンドルを握ったらどんなことになるのかということを、何度でも何度でも考えなくてはならない。被害者になる必要の無かった小さな子供達の無念さを、何度も何度も考えなくてはならない。
 
 
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★ 福岡飲酒事故、被告の上告棄却 実刑確定(日テレNEWS24・11/11/2)
★ 福岡・3児死亡飲酒事故 懲役20年判決確定へ(朝日新聞・11/11/2)
★ 飲酒追突3児死亡、上告棄却 懲役20年確定へ(読売新聞・11/11/2)
 

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ケータイをポケットに入れうたた寝でやけど、男性の勝訴確定 最高裁

 携帯電話をポケットに入れたままコタツに入りうたた寝をした結果、足に低温やけどを負ったとして、宮城県亘理町の男性(54)が携帯電話製造メーカーに損害賠償請求をしていた裁判で、最高裁判所第1小法廷(宮川光治裁判長)は、約221万円の支払いを命じた2審・仙台高裁を支持し、メーカーの上告を棄却する決定をした。決定は27日付。
 
 2010年4月の仙台高裁では、男性が製造物責任法(PL法)に基づき、パナソニックモバイルコミュニケーションズ(横浜市)に、約545万円の損害賠償を求めていた。高裁は一審での男性の訴えを退けた判決を取り消し、同社に賠償を命じた。
 
 高裁の小磯武男裁判長は「(携帯電話は)ポケットに収納し、こたつで暖を取ることは通常予想され、取扱説明書で禁止したり、危険を警告する表示をしていない。製造物が通常有すべき安全性を欠き、製造上の欠陥があると認められる」とした。
 
 男性側の立証責任については「通常の使用にもかかわらず異常が発生したとすれば足り、具体的な欠陥の特定は必要ない」とした。
 
 昨年の春の高裁判決時にこの裁判については触れた。今回の最高裁の判決で、メーカー側に落ち度があれば積極的に消費者を救済するという一つの指針となった。ただどうしても腑に落ちないのは、そこまでメーカーに重大な落ち度があったかどうかである。
 
 通常、携帯電話の取扱説明書には「ポケットなどには入れない」「高温下での使用は避ける」などと記載がある。携帯電話のような精密機械を、ポケットに入れたまま2時間半ほどコタツに入るという行動を取った男性は、危険を予見することをしなかったのか。個人的には、ポケットに携帯電話を入れるということをしないので、この部分の感覚が分かりにくい。
 
 一方でPL法が施行されるまでは、商品の欠陥について消費者側が立証しなくてはならず、事実上困難なことであった。本法施行によりそのハードルが低くなったといえる。
 
 いずれにせよメーカー側にとっては、消費者保護の観点から取扱説明書での注意喚起をさらに行う必要が生じる。袋詰めのバッテリに大きく注意書きをしなくてはならなくなるだろう。あらゆる可能性について取扱説明書に記載しなくてはならず、消費者もこれら注意書きを読破しないことには製品を使うことができなくなるであろう。電気製品の使い方に一石を投じ、かつメーカー側にも慎重さを求めることになる判決となった。
 
 
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★ 携帯電話やけど訴訟、メーカー側の敗訴確定(読売新聞・11/10/29)
★ 携帯電話の加熱でやけどに賠償 仙台高裁(47NEWS・10/4/22)
★ ケータイをポケットに コタツでうたた寝でやけど、男性が勝訴 仙台高裁(本ブログ・10/4/23)
 
 

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死刑判決と無期懲役 秋葉原連続殺傷事件と闇サイト殺人事件

 東北地方太平洋沖地震の被害状況があまりに甚大であるが、そんな中、社会を震撼させた2つの事件の判決が3月24日に東京で、今月12日に名古屋であった。
 
 08年6月、東京・千代田区外神田(秋葉原)の交差点にトラックで進入して3人をはねて殺害し、さらに持っていたダガーナイフで4人を刺殺、10人を負傷させた「秋葉原連続殺傷事件」で、東京地裁の村山浩昭裁判長は3月24日、加藤智大被告(28)に対して求刑通り死刑を言い渡した。
 
 弁護側は「心神耗弱か心神喪失だった」として減刑を求めていたが、検察は「犯罪史上まれに見る凶悪重大事件。改善更生を期待するのは困難」とし、精神障害にも罹患しておらず「完全責任能力を有していたのは明らか」と主張していた。
 
 加藤被告の弁護側は判決を不服として控訴した。
 
 07年8月、名古屋市千種区の派遣社員、Iさん(当時31)が闇サイトで集まった男3人に殺害された事件で、強盗殺人などの罪に問われ、1審で死刑判決を受けた堀慶末(よしとも)(35)、無期懲役のK(44)両被告の控訴審判決が名古屋地裁であった。下山保男裁判長は、堀被告について1審の死刑判決を破棄し無期懲役にし、K被告も無期懲役のままとした。
 
 判決では「1審が言うほど(ネット犯罪が)検挙困難とも模倣性が高いとも言えない」として「殺人被害者が1人の事件で死刑がやむを得ないとまで言えない」とした。1審で死刑が確定した神田司死刑囚(40)との被害者に対する殺害関与の度合いについても「死刑囚の殺害の提案に安易に応じた側面があり、神田死刑囚と同等ではない」とした。
 
 秋葉原の事件では、被害者の数や加藤被告の責任能力を考えれば死刑判決は妥当である。レンタカーを借りて静岡から東京まで来る間に躊躇することがなかったことから殺意は計画的で確信的なものと言える。なぜ加藤被告が控訴をするのかが分からない。
 
 「闇サイト殺人」では、インターネット上の事件の摘発が困難と言えないとし、模倣性が高いとも言えないとしたが、それ以前に事件の態様があまりにも残酷である。平穏無事に生活してきた被害者は全く落ち度が無く、拉致された車内で死の恐怖と対峙していたことを考えると、被害者数というのは死刑選択する際に躊躇しなくてはならない特段の理由となり得るのだろうか。
 
 この裁判では1審で死刑判決を受けて控訴しなかったことから死刑が確定した神田死刑囚が自分の最期を待つ生活を送っている。死をもって罪を償う、そういう言い方がされるがそれは間違いである。死刑が確定した瞬間から、死刑執行まで悔悛(かいしゅん)の情を持つことができるか、それにかかっている。
 
 被害者は自分の最期が突然降りかかった。それに対して死刑囚はこの先に死が待っていることに真摯に向き合わなくてはならない。罪を償えるのはそのわずかな期間であることを死刑囚が悟れば、死刑制度存続の意味が成り立つ。
 
 大震災では地震や津波が多くの人命を奪った。その犯人は自然である。しかし、殺人事件の犯人は人間である。被害者の無念さ、恐怖、遺族の悲しみは被告人が存命していることで一生ついて回る。仮に無期懲役になっても被害者は戻ってこない。同じ被害者でも、東日本の被災者は海を恨むことはないかもしれない。海を見て、亡き家族を想うこともあるかもしれない。しかし事件の犯人は海のような存在にはならない。一生憎い対象で居続けるだけなのだ。
  
 
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★ 秋葉原無差別殺傷、加藤被告に死刑判決 東京地裁(産経新聞・11/3/24)
★ 東京・秋葉原殺傷:加藤被告に死刑 判決要旨(毎日新聞・11/3/25)
★ 秋葉原無差別殺傷事件、加藤被告側が控訴 死刑判決不服(朝日新聞・11/3/31)
★ 生きる上での道しるべ(本ブログ・09/6/8)
★ 死刑は反対 〜秋葉原の無差別殺傷事件〜(本ブログ・08/6/9)
★ 東京・秋葉原で無差別殺傷 25歳男を逮捕(本ブログ・08/6/8)
 
★ 二審は2被告に無期判決 1人の死刑破棄し減刑 闇サイト殺人・名古屋高裁(朝日新聞・11/4/12)
★ 闇サイト殺人:35歳被告、死刑破棄し無期に 名古屋高裁(毎日新聞・11/4/2)
★ 闇サイト殺人、2人に無期(産経新聞・11/4/12)
 
★ 2人に死刑、1人に無期判決 名古屋・闇サイト殺人 名古屋地裁(本ブログ・09/3/18)
★ 闇サイト殺人、3被告に死刑求刑 名古屋(本ブログ・09/1/20)
 
 

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別荘の眺望訴訟、男性の訴え退けられる「我慢の範囲内」 横浜地裁

  
 7日、神奈川県真鶴町の別荘から眺望が奪われるとして、所有者の男性が海側の隣接地に住宅を新築しようとした女性に建築差し止めを求めた仮処分申し立てをめぐり、横浜地裁小田原支部が、建築差し止めを認めた同支部の命令を取り消す決定をした。
 
 女性は差し止め命令後に計画よりも横幅を約30メートル短くする案を提出したが、男性は「縮小をしても眺望は阻害される」とした。しかし今回の決定では「真鶴半島方面の眺望はほとんど遮られるが、相模湾の水平線などは一望でき、我慢するべき限度の範囲内というべきだ」などとした。
 
 家を買うときに注意をしなくてはならないのは、隣接する土地に今後住宅などが建つのではないかという事も予測することだ。景観条例などがない以上、土地の所有者はその自治体の定めに従って建物を建てることができる。真鶴の男性別荘所有地区ではこうした眺望を維持するなどの条例はないのであろう。地裁が法的根拠としなかったからだ。
 
 この男性の別荘をテレビで見た。確かに素晴らしい眺望で、ここのほとんどをふさがれることになり気の毒な気はする。
 
 いずれにせよ今後隣人となるべき間柄なのだから、どこかで妥協点を見出すことが必要だ。とりわけ別荘ともなれば、眺望だけではなく人付き合いも都会のそれとは違った空気で流れていく。せっかくの別荘地でぎくしゃくした感情を持っていては環境によくない。男性の別荘は高台にある。広い空をも持っているだけでも充分に羨ましい。
 
 
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★ 別荘の眺望半減 我慢するべき限度の範囲内(読売新聞・10/12/16)
 

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大阪地検特捜部主任検事を逮捕 郵便不正事件を巡り証拠FDデータ改ざん 最高検察庁

 こんなことがあり得るのかと思う事件が起きた。厚生労働省の元局長、村木厚子さんが郵便不正割引事件を巡り無罪になった事件を巡り、証拠品だったフロッピーディスクのデータを改ざんした疑いが強まったとして、最高検察庁は21日、大阪地検特捜部主任検事の男の容疑者(43)を証拠隠滅の疑いで逮捕した。フロッピーの改ざんは、村木元局長の弁護側が独自に解析をした過程で判明した。
 
 最高検察庁の伊藤鉄男次長検事は「重大かつ深刻に受け止めている。早急かつ厳正に対処する所存であります」と記者会見で発表。終始神妙な面持ちであった。先日無罪判決の出た、村木元局長対する控訴を断念。これにより村木元局長の無罪が確定することとなった。
 
 村木元局長は「こんなことがあり得るのか。こういうことが起こるのなら何を頼りにしたらよいのか分からない。本当に怖かったです。今回の事件全体について、(逮捕された検事)一個人の問題とせずに真相を解明して欲しい」と記者会見で語っている。
 
 フロッピーディスクは、村木元局長の元部下で係長だった、男性被告(41)=虚偽有印公文書作成・同行使罪で公判中=の自宅から押収された。この中には被告が作成したとされる偽の証明書データが保存され、データの最終更新日時が昨年5月の押収時には2004年6月1日だった。しかしその後の7月になって6月8日に書き換えられていた。このデータの改ざんで検察の描いた構図に合致することとなった。
 
 また朝日新聞社によると、被告があの承諾を得てFDの内容を確認したところ「04年6月8日午後9時10分56秒」という最終更新日となっており、大阪地検特捜部が捜査報告書に記した最終更新日時と食い違いが発覚。同新聞社が大手情報セキュリティ会社にFDの解析を依頼したところ、本来「6月1日」であるべき最終更新日時が「6月8日」と書き換えられていた。その書き換え日時は昨年の7月13日午後であったことが判明した。
 
 最高検は証拠品改ざん疑惑の出た21日に緊急の記者会見を開き「報道を素直に見れば、何らかの犯罪になる疑いが濃い。もはや捜査せざるを得ない」と述べ、最高検検事を主任とする特捜チームを立ち上げたうえで、東京高検、東京地検の検事らを大阪に派遣。大阪府枚方市内の容疑者の自宅や地検執務室などの家宅捜索令状を取っていた。
 
 容疑者は一度捜査となれば、地検部長、副部長の次に捜査の指揮を執る司令官となる。これまでに、音楽プロデューサー小室哲哉氏による詐欺事件、民主党・小沢元幹事長公設第一秘書の取り調べなどの大きな事件の捜査を担当した。検察官が証拠を改ざんして捜査をゆがめたという事態に検察幹部は大きな衝撃を受けている。
 
 警察による不手際はこれまでにあったが、それを精査するはずの検察が証拠品に手を加えたということで検察の信頼は大きく揺らぐことになる。人の人生を左右しかねないことをいとも簡単に”操作”しようとした容疑者は「誤ってデータを書き換えてしまった」などと供述しているが、フロッピーディスクの書き換えなど誤ってできることではない。
 
 今後は特捜部の上司ら組織的関与についても捜査のメスが入ることになり、鉄壁の捜査組織である地検特別捜査部に身内である最高検察庁が捜査する前代未聞の事態となった。地検は無実の人を犯人に仕立て上げるべく証拠をねつ造したということになる。村木元局長の弁護側も証拠隠滅容疑で告訴することを検討している。
 
 証拠隠滅罪は、2年以下の懲役または20万円以下の罰金と刑法で定められている。
 
 
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★ 大阪地検特捜検事を逮捕 証拠隠滅容疑で最高検捜査(共同通信・10/9/21)
★ 村木厚子氏「最高検の動きの速さに正直、驚いている」(朝日新聞・10/9/21)
★ 検察、客観的な証拠を軽視 郵便府政、元局長の判決(朝日新聞・10/9/21)
★ 「最悪の事態」危機感にじませる検察幹部ら(読売新聞・10/9/21)
★ 改ざん、ソフトで可能 プロにすぐに見破られる(読売新聞・10/9/21)
 
=証拠隠滅罪の成立要件とは=
★自分の犯罪に関する証拠を隠すと証拠隠滅罪?(法、納得、どっとこむ)
 
 

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厚労相元局長に無罪判決 郵便不正事件で大阪地裁 問われる地検特捜部の捜査

 障害者団体向けの料金割引制度を悪用した郵便不正事件で、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われていた厚生労働省の元局長、村木厚子被告に対して、大阪地裁は無罪を言い渡した。横田伸之裁判長は検察の主張をことごとく否定し、「村木元局長が証明書の発行を部下に指示したとは認められない」と述べた。大阪地検は上級庁と協議の上、控訴するかどうかを決める。
 
 元局長は04年6月に、当時の自称障害者団体「凛の会」が郵便割引制度の適用を受けるために偽の証明書を発行するよう、担当係長だった男性被告(41)=同罪で起訴・公判中=に指示したとして起訴された。
 
 被告は今年2月の元局長の公判で、「調書はでっち上げ」「証明書の発行は単独でやった」と述べて局長の関与を否定し、検察の強引な取り調べの模様を涙ながらに語った。裁判長は5月の公判で上村被告らの供述調書43通のうち34通について「検事の誘導で作られた」として証拠採用しないと決定していた。
 
 無罪判決を受けて、村木元局長は逮捕時のことを聞かれ、「両親に心配をかけたことが一番辛くて・・」と涙声で語った。被告に対しては「本当のことを分かってもらおうという彼の気持ちが通じ、胸が苦しくなった」。街中では徐々に「信じている」「がんばって」と声をかけられるようになったといい、「家族や友人。みんなの応援がないとここまでこれなかった」と振り返った。
 
 有罪ありきの取り調べで冤罪を作り上げた大阪地検特捜部は反省をしなくてはならない。当然のことながら、何もないところから人を有罪にしようというのであるから、相当の証拠や供述を客観的に判断しなくてはならないのに、密室の取り調べが被疑者に不利なよう誘導した点は特捜部の完全敗北である。一般に特捜部が動くのであればクロ前提の捜査だと思いがちであるが、旧態依然の捜査手法を改めなければならない。
 
 産経新聞に「犯罪の社会的負担いくら?」という記事があった。犯罪捜査に関わる費用は平成20年度で26億円超などとなっている。その後、起訴して収監するなどした場合、刑務所などの予算は500億円を超える。
 
 もちろん社会の治安維持のための必要経費ではあるが、問題になるのが今回の元局長起訴のように無罪になったときだ。地検の捜査や裁判費用を問題にしているのではない。拘留され、職を失った元局長は時間という取り戻すことのできないコストを他人によって無駄に使われてしまったことになる。元局長が復職できるように検察は控訴をしないことだ。
 
 取調室の可視化が問題になっている。千葉法相はコストの問題を挙げて消極的な姿勢を見せるが、一番の無駄なコストはこうした冤罪によるものが大きいことを考えるべきである。
 
 
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★ 村木元局長に無罪判決 大阪地裁 郵便不正事件(朝日新聞・10/9/10)
★ 高知の父「徹底的に闘え」 村木元局長無罪判決(高知新聞・10/9/11)
★ 取り調べ全面可視化を=村木元局長無罪でシンポ 大阪(時事通信・10/9/11)
★ 【社会部オンデマンド】犯罪の社会的負担いくら?捜査、裁判、矯正 巨額の税金(産経新聞・10/9/11)
★ 【イチから分かる】東京地検特捜部 史上最強の捜査機関 人材集結、介入タブー(産経新聞・10/1/27)
 
 

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死刑を考える人たち

 千葉法相が1年ぶりの死刑を行ったことを明らかにした。死刑存続派からは「当然だが遅すぎた」という声が聞こえ、死刑廃止派からは「前回の執行から1年という時期を選んだことに憤りを感じる」といった声が聞こえる。
 
 死刑が執行されたのは、東京拘置所(東京・葛飾区)にいた2人の死刑囚。06年に宇都宮市内で宝石店従業員6人を焼死させ、強盗殺人と現住建造物等放火罪で刑が確定していた男(59)と、03年埼玉県熊谷市などで男女2人を殺害するなどした殺人、同未遂、逮捕監禁罪などの罪で刑が確定した男(33)。
 
 もともと人権派弁護士出身、死刑廃止論者であった千葉法相が死刑執行命令書に署名したことは意義深い。これまでの法相では思想信条から死刑執行命令書に署名をしなかった杉浦正健氏がおり、その一方で在職中に13人の執行をした鳩山邦夫氏もいる。90年代に入ってから法相のもとでの死刑執行は平均すると4人ほどになる。
 
 「自らの責任があるから」と死刑執行に立ち会ったことも法相としては初めてである。この時期の死刑執行に、参院選で落選した千葉氏がそれを成したことに対する批判もあるが、執行書にサインはしないであろうと法務省幹部ですら思っていただけに「職責を全うしたのではないか」という声も聞かれる。
  
 一方、裁判員裁判で「死刑を選択するような裁判には参加したくない」という声も聞かれる。これは裁判員の思想である。しかし、今後は国民誰もが死刑に関して考えなくてはならないことを意味する。裁判員も死刑選択が視野に入ってきた事案ならば、どんな気持ちで審判の話し合いをすることになるのだろう。
 
 「政治パフォーマンス」にしては、荷の重い仕事に立ち会った千葉氏である。拘置所長、検事、教誨師(きょうかいし=罪を犯したものを教え諭す者)と一緒に立ち会ったこの仕事を「パフォーマンス」だと片付けるのは短絡的だ。
 
 2005年、広島市で女児(7)がわいせつ行為の後に殺された事件で、殺人などの罪に問われていたペルー国籍の男(38)の控訴審判決が28日にあったが、広島高裁は、死刑を求めた検察側、無罪を求めた弁護側双方の控訴を棄却、一審広島地裁の無期懲役を支持した。あいりちゃんの父親は「遺族としては妥協せずに極刑を望んでいる。さらなる長期化も覚悟している」と落胆した様子だったという。
 
 
 死刑選択について、これだけ重荷を背負って苦しんでいる人がいるということを、罪を犯す者は考えたことがあるのだろうか。
 
 
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★ 「執行は当然」「前回から1年目に抗議」賛否の声(読売新聞・10/7/28)
★ 「死刑の現実」直視する時(SANKEI EXPRESS・10/7/29)
★ 女児わいせつ殺害、二審も無期 「犯行は衝動的」死刑回避 ペルー人被告・広島地裁(朝日新聞・10/7/28)
★ 無念の父、「1審より辛い」 広島女児殺害再び無期(読売新聞・10/7/29)
★ 広島女児殺害事件 被告に無期判決(本ブログ・06/7/5)
 
 

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