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ケータイをポケットに入れうたた寝でやけど、男性の勝訴確定 最高裁

 携帯電話をポケットに入れたままコタツに入りうたた寝をした結果、足に低温やけどを負ったとして、宮城県亘理町の男性(54)が携帯電話製造メーカーに損害賠償請求をしていた裁判で、最高裁判所第1小法廷(宮川光治裁判長)は、約221万円の支払いを命じた2審・仙台高裁を支持し、メーカーの上告を棄却する決定をした。決定は27日付。
 
 2010年4月の仙台高裁では、男性が製造物責任法(PL法)に基づき、パナソニックモバイルコミュニケーションズ(横浜市)に、約545万円の損害賠償を求めていた。高裁は一審での男性の訴えを退けた判決を取り消し、同社に賠償を命じた。
 
 高裁の小磯武男裁判長は「(携帯電話は)ポケットに収納し、こたつで暖を取ることは通常予想され、取扱説明書で禁止したり、危険を警告する表示をしていない。製造物が通常有すべき安全性を欠き、製造上の欠陥があると認められる」とした。
 
 男性側の立証責任については「通常の使用にもかかわらず異常が発生したとすれば足り、具体的な欠陥の特定は必要ない」とした。
 
 昨年の春の高裁判決時にこの裁判については触れた。今回の最高裁の判決で、メーカー側に落ち度があれば積極的に消費者を救済するという一つの指針となった。ただどうしても腑に落ちないのは、そこまでメーカーに重大な落ち度があったかどうかである。
 
 通常、携帯電話の取扱説明書には「ポケットなどには入れない」「高温下での使用は避ける」などと記載がある。携帯電話のような精密機械を、ポケットに入れたまま2時間半ほどコタツに入るという行動を取った男性は、危険を予見することをしなかったのか。個人的には、ポケットに携帯電話を入れるということをしないので、この部分の感覚が分かりにくい。
 
 一方でPL法が施行されるまでは、商品の欠陥について消費者側が立証しなくてはならず、事実上困難なことであった。本法施行によりそのハードルが低くなったといえる。
 
 いずれにせよメーカー側にとっては、消費者保護の観点から取扱説明書での注意喚起をさらに行う必要が生じる。袋詰めのバッテリに大きく注意書きをしなくてはならなくなるだろう。あらゆる可能性について取扱説明書に記載しなくてはならず、消費者もこれら注意書きを読破しないことには製品を使うことができなくなるであろう。電気製品の使い方に一石を投じ、かつメーカー側にも慎重さを求めることになる判決となった。
 
 
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★ 携帯電話やけど訴訟、メーカー側の敗訴確定(読売新聞・11/10/29)
★ 携帯電話の加熱でやけどに賠償 仙台高裁(47NEWS・10/4/22)
★ ケータイをポケットに コタツでうたた寝でやけど、男性が勝訴 仙台高裁(本ブログ・10/4/23)
 
 

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