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”無報酬”の”ボランティア”は是か非か

 昨年、大阪市天王寺区が「任期1年、無報酬で区報などのイラストを描いて戴けるボランティアのデザイナー募集」としたところ、「無報酬で働かせるとは業界を馬鹿にしている」と抗議が殺到し、募集を取りやめる事態となった。デザイナーへの報酬は「区ホームページ・広報誌等で紹介」「作品にデザイナー作であることを明記」とし、金銭的な報酬はなし。同区では「これだけ抗議が多いと理解が得られない」と募集を一時停止、表現を改めて再掲載している。なお、最初の時点で応募者は4人いた。
 
 ボランティアという聞こえのよい言葉を使っての”ただ働き”を強制していることに違和感がある。ボランティア(volunteer)という言葉は形容詞で「自発的な」という意味であり、名詞では「(人の嫌がる仕事などの)志願者」であり、動詞としては「~を進んで引き受ける」などという意味である。東日本大震災の時のような災害ボランティアは、惨状を見て居ても立ってもいられずに自ら志願した。自発的に行動を買って出るから”ボランティア”なのであり、事業者側が無報酬を前提に人を募集することが奇異に感じる。
 
 東京都知事に選出された桝添さんが、「(2020年東京五輪では)都民の皆さんにも通訳ボランティアをやってもらって、みんなの力で成功させたい」と発言した。これに対してツイッターでは「通訳翻訳をなめんな」という声が上がった。
 
 通訳者であり、立教大学大学院教授である鳥飼玖美子氏は「『通訳』ではなく、『通訳者』と呼ぶべき」、「英語ができるればこなせること」と軽く考えられている事に懸念を抱いている。さらに、「海外の状況を見ると、『コミュニティ通訳』の規範と責任には厳しいものがあり、素人の無料サービスに頼るのではなく、本来はプロフェッショナルが行うべき事だと考えます」としている。
 
 それでもボランティアでデザインや通訳をしたってよいではないか、と考えられる方もいるだろう。確かにそれは一向に構わないことである。
 
 ただ、ボランティアというのは災害ボランティアのように、困っている人たちに対して奉仕する活動が尊ばれてきて発展した。デザインや通訳というのは基本的に困っている相手方がいない。平常時はそれを生業として活動しているのだ。多くのコスト(時間と金)をかけて専門的な技術を体得した人に「無報酬で」というのは失礼ではあるまいか。
 
 新都知事に切望することは、社会的弱者に優しい福祉政策をボランティア精神を持ってぜひ実現していただきたいということである。
 
 
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★ 大阪市天王寺区がデザイナーを「無報酬」で募集し批判殺到で中止に(NAVERまとめ・13/3/2)
★ 都知事選 主要4候補、初めて同席 テレビ番組の企画で政策アピール(The Huffington Post・14/1/30)
★ 通訳の今・昔『通訳・翻訳ジャーナル』2002年6月号(染谷泰正のホームページ) 

 
 

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日本語の便利なオノマトペ、擬音語擬態語擬声語

  
 擬音語・擬態語の事をオノマトペ(onomatopueia)という。ワンワン、ドンドン、パクパクといった繰り返し語や、ツルッ、パクッ、ポンという言葉である。「(星が)キラキラ」は英語だと”twinkle”で済んでしまい、日本語の感覚だと味気ない。日本語ではこうした語が豊富であるがため、日本語を学ぶ外国人はかなり苦労するだろう。
 
 食べ物の味や食感を表すにもオノマトペは活躍する。「もっちり」「とろとろ」「ふわふわした」などに加え、オノマトペではないが、「とろけるような」「こしのある」といった表現は日本語でおよそ800あると言われており、英語表現だとせいぜい200とされる。
 
 大阪で交通事故が起きる。目撃者が警察官に、「車が向こうからガー来て、バーンぶつかって、ダー逃げた」などと擬音語が多く、事故捜査する警察官が苦労するという話を聞いた。ユーモラスではあるが、時に弊害となり得るオノマトペだ。
 
 しかし医療現場では「胃がきりきり痛む」「傷口がずきずきする」という表現は日常的に問診する上で使用されている。こうした表現が無いと状態を伝えるのは困難である。
 
 11日のNHK「クローズアップ現代」ではオノマトペを取り上げており、人がオノマトペを使うときは脳が活性化されていることを報じていた。スポーツの現場でも、膝を折り曲げる時に「グイといけ!」という言葉を使う監督のことが紹介され、「グイ」を使わないと、大変長い日本語での説明になるという。
 
 オノマトペは便利だと思う反面、憂うべき側面もある気がする。正確な言葉が存在するのに、それを使えずにオノマトペばかり乱用使う懸念だ。カタカナで書かれた文字、発せられる言葉というのは時に感覚だけで使われる。それは幼児が車を「ブーブ」と言うのと似ている。幼児はそれで良いが、大人がはっきりした言葉遣いをせずに感覚だけに頼って伝えているとしたら表現として頼りない。
 
 政治家が最近よく使う言葉に「きっちり」というのがある。どれだけ「きっちり」物事を実行してくれているのかいつまで経っても歴史が証明してくれない気がする。雄弁な政治家は過去の物になり、実体も無く、感覚に頼って言葉が一人歩きしてはいないだろうか。「アベノミクス」が単なる擬音語で終わりませんように。
 
 
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生命と女性の手帳 啓発活動に賛否

 タイトルに「賛否」と書いたが批判しか聞こえてこない。強いて支持するのであれば、「少子化担当相」がようやくその姿を現したということだろうか。今までの担当大臣は何をしていたのか分からない。
 
 政府の作業部会「少子化危機突破タスクフォース」(主催・少子化担当相)は会合を開き、若い女性向けに妊娠・出産に関する知識などを盛り込んだ「生命(いのち)と女性の手帳」を作り、10代から配布する方針を決めた。
 
 これに対して、女性市民グループ「全日本おばちゃん党」は「何でもかんでも女性に押しつけすぎ」などとする声明を発表した。
 
 そもそも若い女性に啓発を促すのであれば、学校で行っている保健体育の授業で賄えばよい話だ。妊娠・出産は女性だけの問題ではない。パートナーがいて成立するのであるから、男性への啓発運動も展開した方がよい。
 
 恋愛が結婚に発展するわけだが、そこまでたどり着かない男女もいる。経済的な問題や異性との交際を苦手とする人たちがいることも考えなくてはいけない。結婚したのはいいが、不妊を抱えて苦しむ人たちがいることも考えなくてはいけない。 
 
 女性に押しつけすぎというよりも、この「手帳」に押しつけすぎではないだろうか。待機児童や妊娠後の職場での地位保全問題も解決していない状況で、「産め」とだけ声を大にして主張するのは非常に違和感を覚える。
 
 8日のNHK「クローズアップ現代」では不妊治療に悩む女性たちを紹介していた。多額のお金をかけても授からない命。治療をどこまで続けてよいか悩む女性の声があった。
 
 その中で、10年ほど前に治療をやめた夫婦の話が出ていた。体調を悪くした妻と夫は治療を中断し、仕事を辞めて保育園を開業した。
 
 さまざまな生き方が尊重されるべきである。置かれている状況は誰しも違う。1足す1が3にならないこともあるが、1足す1は2でよいじゃないかという考えも周囲は理解する必要がある。
 
 免許試験場で配布される交通規則のしおりのような、判で押したような内容の手帳なら無くてもいい。そのかわり、恋愛を促すような、結婚を促すような、妊娠出産を促すような、そんな雰囲気作りを政府には期待したい。明示するのではなく暗示することで人は触発されること。その実現を願ってやまない。
 
 
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★ 全日本おばちゃん党(Facebook)
★ 女性手帳:妊娠・出産指南 政府が配布方針「一方的な押しつけ」批判も(毎日新聞・13/5/8)
★ BABY:A BABY:B
★ クルム伊達公子フルセットへのカウント
★ 女が男を「落とす」術・3
 
 

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北朝鮮がミサイル発射 北朝鮮西岸から南方向へ一発 国民に注意呼びかけ 日本政府がJアラートなどで自治体などに通報(2012/12/12)

 北朝鮮は、人工衛星と称する事実上のミサイルを発射した。日本政府はJアラートとEm-Net(エムネット/緊急情報ネットワークシステム)で各自治体などに通報した。発射時刻は午前9時49分ごろ。発射された場所は北朝鮮の西岸、発車された方向は南で一発。自衛隊はイージス艦などでミサイルの追尾を開始。
 
 政府は国民に対して、テレビやラジオで情報に注意するように呼びかけている。
 
 米軍横田基地(東京)では落下地点について分析。
 
 午前10時ごろ、北朝鮮のミサイルが沖縄地方上空を通過した。
 
 散弾ミサイルは午前9時58分、朝鮮半島の西約200キロの黄海上に部品の一部の落下が推定。2つ目は9時59分ごろには朝鮮半島南西の東シナ海に一部が落下。3つ目は10時5分ごろにフィリピン東約300キロの太平洋上に落下した模様。いずれも北朝鮮の予告落下区域内であった。
 
 今回のミサイルによる不測の事態に備えて、迎撃ミサイルなどを配備していたが、日本政府は破壊措置がなかったことを発表した。
 
 藤村官房長官は緊急記者会見を行い、国民に対して冷静に日常生活を送るように伝え、北朝鮮に対しては強い遺憾の意を表明し、北朝鮮に対して強く抗議すると述べた。そして現在までに、日本領土内への落下物は確認されていないとした。
 
 警察庁や総務省消防庁によると、国内においてミサイルによる被害はない模様。沖縄県警はヘリコプターを飛ばして県内の状況を確認。沖縄県も県内に被害がないことを発表した。
 
 海上保安庁は船舶に対して、不審物を見つけても触れるなどせず、海保に通報するように呼びかけた。
 
 日本政府はエムネットを使って自治体にメールを送信し、NHKは国民に対して政府より緊急情報があることを速報で伝えた。
 
 
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石原都知事辞任、新党結成で国政進出

 石原慎太郎東京都知事(80)が辞職を表明した。新党結成後、次期衆院選で比例区から立候補するという。午後3時から都庁で緊急記者会見を開いて語った。「今日をもって都知事を辞職する。新党を立ち上げる」、「最後のご奉公であり、硬直した中央官僚の支配制度を変えないとだめだ」などと語った。
 
 私事だが、夕食は和風ナポリタンにした。具材はナス、ニンジン、長ネギを細かく刻み、パスタにケチャップをかけた後、90円のさんまの塩焼き缶をまぶし、ノリをちぎって振りまき、タバスコをかけ、卵の黄身を乗せてできあがり。
 
 石原都知事は任期途中での辞任について、「東京のためにも国政でやることで都民も納得してくれると思う」と述べた。後継には、「猪瀬さんで十分。あれだけ優秀な副知事は見たことがない」と語った。
 
 石原氏は、環境庁長官(1976年)、運輸大臣(1982年)を歴任。都知事としては99年に就任し、現在4期目。歯に衣着せぬ発言が物議を醸したが、その発言力に魅力を感じる向きもある。
 かつて、「料理は愛情」というCMのキャッチフレーズが流行った。それは、ここをこうしたら美味しくなるだろうとか、この味付けにすれば喜んでもらえる、という想像力であり、創造力が重要なのだ。
 
 政治も似たような部分がある。キャッチフレーズだけで民衆を惹きつけるのは簡単だが、某与党は政権交代を果たしたものの、単に首相が3人も交代しているだけである。与党に限らず、野党もこれといって頼りない。現在日本が抱える問題、それは東日本大震災の復興、経済、雇用、福祉、教育、などのあらゆる分野にて、政治の力が発揮されているとは体感できない。
 
 石原氏は高齢であるが、これを老害と揶揄する声が聞こえる。確かにそうかもしれないが、かといって、現在の”若い”政治家が頼れるかというと疑問だ。クリーンなイメージを先行するあまり、草食系の政治家が多い気がする。
 
 石原氏は会見の最後で「なんで俺がやらなくちゃいけないんだ、若いやつ、しっかりしろよ」と言って笑った。老害だと思うのならば、石原氏に向かって石を投げて、大きな波紋を作れる若手の活躍に期待したい。
 
 年齢だけでは判断できない。老いも若きも、国民が”おいしい”と思えるような、想像力を発揮してこの国の難局に迎え撃っていただきたい。その剣を抜くのは、将来誰になることなのだろう。
 
 和風ナポリタンは美味しかったです。やはり、自分のこととなると、一生懸命味付けを考えるものです。
 
  
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★ 石原都知事が辞職表明 新党結成、衆院選立候補の意向(朝日新聞・12/10/25)
★ 橋下さんとは連合になるかも 石原知事会見要旨(読売新聞・12/10/25)
★ 石原新党、広がり未知数 「第三極」結集も競合(時事通信・12/10/25)
 
 

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お手紙交換

 若い時に一人暮らしをしていたころの水道光熱費を調べていた。水道光熱費は今とさほど変わらないが、むかし無くて今あるものはネット・携帯電話関連の支出である。
 
 時々古い友人と話すことがある。若い頃に携帯やネットがあったら楽しかったな、と。女子の家に電話するのもお父さんが出るととても緊張することになり、「お、お、お世話になってます、Nonoと申します・・・」と気合いを入れて言ったものである。
 
 しかし携帯が無くても楽しかったのでそれでよいのだ。携帯やネットの有無にかかわらず、楽しい思い出がなかった、今も楽しくないという方が問題である。こんな便利な道具があるのに、人間関係がうまく築けないというのは問題である。
 
 14年ほど前、メールの送受信にお金がかかっていたころ、一通のメールの文が長いことに驚いた。かつては友人間のメールもそれだけ気合いを入れて送り、受信が本当に楽しみだった。そう考えると、ネット代が安くなったのは良いとはいえ、丁寧なメールを送信することがいい加減になってきた。
 
 昔もらった手紙の類も取ってある。その人の筆圧や文字の大きさ、これを書いて投函するまでに相当の時間がかかっていることが想像できるから、手紙というのは本当に貴重品だ。古くから存在するこの手紙というのは今でも重要なインフラになっている。
 
 その”親書”のやりとりを巡って、日本と韓国がぎくしゃくしている。信書は手紙を意味するが、親書というのは特に個人間の重要なやりとりに使われるものである。特に外交上重要な役割を示すものであり、メールと違って記録として残せるものである。その大事な物を”受け取り拒否”するというのは真摯な対応ではない。
 
 メールやファックスと違って、相手のことを考えて書き上げた物であると言うことを再認識すべきである。その記録物が、いつか両国の未来発展の礎となることを願う。記録すると記憶になる。記憶の積み重ねは忘れないことになり、両国の発展に必ず寄与する。
  
 
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尖閣諸島を「買い取る」石原都知事が米国で講演 所有者と合意

 訪米中の石原慎太郎・東京都知事は、ワシントンで講演をし、沖縄県の尖閣諸島のうち、3つの島を都が買い取ることで地権者と基本合意をしたことを明らかにした。知事は「東京が買うことにいたしました。東京が尖閣諸島を守ります。日本の政府がいやがるかどうか。どこの国がいやがろうと、日本人が日本の国土を守るために島を取得するのは、何か文句がありますか」と述べた。
 
 都で買い取るとしているのは、魚釣島、北小島、南小島。都知事は「今の政府の姿勢じゃ危ない」とし、「(現在の地権者とは)基本的に合意している」と述べている。また都税を使うことについては「東京がやることは『国のため』が大原則なんじゃないの」と答えた。知事は講演の後に記者団に対して「面白い話だろ」と笑顔を見せた。
 
 現在、都が購入しようとしている尖閣諸島の3島は、民間人の男性=さいたま市大宮区=が所有し、国が借り上げて賃料を支払っている。年間賃料は魚釣島は約2110万円、北小島が約150万円、南小島が約188万円。この所有者が高齢などの理由で、今後の所有に不安があることを知った都知事が都による買い上げの話を進めていた。男性と都知事は40年来の付き合いであるという。男性の代理人である弁護士は購入時期について「今後の展開次第」と話す。
 
 都知事の発言を受けて藤村官房長官は、国による購入も検討することもあり得る、という考えを示しており、都知事の発言で個人所有の島が公有地になる可能性が出てきた。
 
 グーグルマップで住所入力による表示はされなかったが、尖閣諸島の島々には「石垣市登野城」という住所がつけられている。石垣市の他の島々も大変美しく羨ましい限りである。石垣島の北に位置する尖閣諸島が国境の離島という位置づけだけなのが悲しい。早く人々の往来のできる自由な島になって欲しい。
 
 誤解があるようだが、都が買い取ることで土地の所有者が東京都になるだけであり、買い取り対象の島々が「東京都」になるわけではない。尖閣諸島の島々自体は沖縄県石垣市であり続ける。例えて言えば、東京都の保養所などの施設が都外に点在するが、それと同じ都有地になるというだけである。
 
 
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★ 「東京都が尖閣諸島を買う」石原知事、米シンポで表明(朝日新聞・12/4/17)
★ 尖閣4島の国有化あり得る 藤村官房長官(読売新聞・12/4/17)
 
 

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通訳案内士悲鳴、外国人1万人無料招待が幻に 財務省が予算認めず

 東京電力福島第一原発事故の影響はさまざまなところに波及している。昨年12月5日、通訳案内士(通訳ガイド)の資格を持つ15人が、約2700万円の賠償を東京電力に求めた。日本政府観光局によると、昨年1月〜10月に来日した外国人客は509万人で、昨年比30.5%減少。国の審査会は中間指針で「5月末までのキャンセルによる減収分」が賠償されるとしたが、案内士側は「5月以降もキャンセルされた旅行は多く、限定するのは不適切」と主張する。
 
 フランス語通訳案内士の男性(57)は、11月までにツアーなどの仕事が107日分もキャンセルになった。別のアルバイトも始めた。「日本の安全神話が崩れ、『放射能に汚染された国』に成り下がってしまった。通訳ガイドの存在は風前の灯火だ」と語る。
 
 通訳案内士は国家資格で、日本国内の歴史や地理、産業などの知識を持ち、外国語としては、英語、仏語、スペイン語、中国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語、タイ語となっている。2011年4月1日現在で15.371人が都道府県に登録している。
 
 そうした専門性が求められることで、ほかの通訳や翻訳とは知識を表に出す方向性が若干異なる。新しい文化や流行にも精通する必要があり、日々知識の習得は欠かせない。こうしたことから外国人観光客があっての仕事であり、今回の事故風評被害は死活問題になっている。
 
 観光庁が「外国人1万人無料招待」を企画したが、2012年度予算で却下された。観光庁は「1万人が国内に滞在する経済効果は13.1億円、経済波及効果は31億円」としたが、財務省は「本当に外国人客が増えるのか疑問」「予算のばらまきになる」として予算を認めなかった。アメリカのウォールストリートジャーナル日本語版は「よだれが出そうな提案に想像をふくらませた人の多さ、そして、10月の発表以降ジャパン・リアル・タイムに対して毎週追加情報を求める声が寄せられていることから察するに、かなりの数の潜在観光客が落胆した」と伝えた。
 
 外国人観光客が来なければ成り立たない通訳案内士という仕事。この仕事にかかわらず、観光業に打撃となっている現状を打破しなければ、国内の人的産業が萎縮することになりかねない。日本が世界から注目を浴びているのは文化の側面だけではない。日本人そのものが賞賛された311の事故後のことを忘れたくない。人という財産の持ち腐れとなってしまってはいけない。
 
 
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★ 通訳案内士、東電に賠償求め仲介申し立て 事故で収入源(朝日新聞・11/12/05
★ 外国人1万人無料招待、幻に 官公庁企画、予算通らず(朝日新聞・12/1/6)
★ 外国人1万人の無料招待、予算認められず(WSJ日本語版・11/12/28)
★ 日本政府観光局 通訳案内士試験概要
 
 

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