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拡大教科書が不足

 新学期が始まると学校で受け取る新しい教科書は楽しみなものだ。最近の教科書はイラストや図表がふんだんに使われているようで羨ましい限りだ。ところで、視力の弱い弱視の児童・生徒のための「拡大教科書」が不足しているという。
 
 拡大教科書というのは、通常の文字などを拡大して製本されているものであるが、その大半はボランティアが手作業で行われているのが実情だ。通常の教科書を参考にして、パソコンやコピー機を使い、イラストなどは切り貼りしてレイアウトを適宜変更しながら作り、1冊(1教科)を作るのに約2ヶ月を要する。そのため、国内全ての学校に配布されている教科書を対象にするのは事実上困難である。
 
 大手教科書出版社も拡大教科書の製作を責務と感じており、一部の教科書は対応しているが全てではない。それはコスト面で難しい部分があり、さらには著作物を改編するとなると、著作権者への了承等を得る必要も生じるからだ。
 
 特別支援学校の高校生が「ここに拡大教科書がなかったら、どこにあるんだという感じですね」と笑っていたが、高校の教科書は特に深刻で、小中学校よりも内容が複雑になり情報量も増える。通常であれば文字も小さくなる。手作業ゆえに1字でも間違えてしまえば大変なことになる。
 
 こうした状況に対して文部科学省は「障害のある児童および生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」(教科書バリアフリー法)を制定、今年度から適用されることになっているが、完全な制度とはなっていない。現場の声を拾い上げて、ボランティアや出版社に対して積極的な支援をすることが望まれる。
 
  
☆ 目の見える人間は、見えるという幸福を知らずにいる(ジッド)
 
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★ 小学校・中学校・高等学校(拡大教科書等) (文部科学省ホームページ)
★ 拡大教科書の概要(全国拡大教材製作協議会)
★ 拡大教科書について(筑波大学付属視覚特別支援学校)
★ 坂戸拡大写本の会 
 
 

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自分が好き?嫌い?都が小学生に「自尊教育」導入

 「あなたは自分のことが好きですか?」
 
 東京都教育委員会が公立の小中学生、都立高校生と対象に「自尊感情」について調査、中高生の5〜6割が「自分」を好意的にとらえていないことが分かった。このため都教育委員会は「自分の存在価値を積極的に肯定できる子どもを育てる」とし、4月から小学校で試験的に「自尊教育」を実施する。
 調査結果によると、中学生では「自分のことが好きだ」との問いに対して、「そう思わない」「どちらかというとそう思わない」と否定的に回答した割合が、中1が57%、中2が61%、中3が52%に上った。
 
 財団法人「日本青少年研究所」の平成14年の国際調査でも、「私は他の人々に劣らず価値のある人間である」という問いに「よく当てはまる」と回答した中学生が、アメリカ51.8%、中国49.3%、そして日本は8.8%だった。同研究所の千石保理事長は「謙虚さ、控えめを良しとする日本の文化がまだ根強いのが一因。子どもが成績を他人と比較して、『自分はダメだ』となる傾向も見られる。これは日本だけの特徴で、諸外国に比べて自己評価が低い。もっと自分に自信を持たせるような教育を勧める必要がある」とコメントした。
 
 これまでの日本の教室というと、生徒が一斉に先生のほうを見て授業を受ける。前に座った生徒は発言するときに後ろにいる同級生の視線が気になり、「間違えたら恥ずかしい」という感情を持つこともあるだろう。これに対して効果的な授業法の1つは、席をクラス全員の顔が見えるように、机を丸く並べて座らせる事が挙げられる。特に、正解を求めるのではなく、個人の意見をどんどん取り入れる方式だ。皆の顔が見えていれば、自然に発言することに躊躇がなくなる。発言する機会が多くなれば、仮に間違った考えでも自分に自信が持てるものである。
  
 子どもに限らず大人でも、「いつ」「どこで」「だれが」「なにを」「なぜ」「どのように」という事を言える者が多いとは限らない。特に日本人はトラブルを恐れて、外国人を含めたミーティングでも積極的な意見を述べないままでいることが多いようだ。
 
 言いたいことを言えずに黙っていると後悔する。そしてそれは「自分が嫌いになる」ことに拍車をかける。自分が正しいと思って行動すれば悔いはない。悔いのない言動には正々堂々と意見を述べることができるはずだ。
 
 もし私が「自分のことを好きか」と問われれば迷わず「YES」と答えるだろう。なぜなら、ご飯はおいしいし、友達といると楽しいし、飼っている犬はかわいいし、草木に目をやれば美しいと思うからである。自分を好きになって初めて、他人を好きになることになるであろうし、社会が好きになるであろうし、海の向こうの国のことも好きになるはずである。生まれ変わっても、もう一度この自分になりたい。
 
 
☆ 愛されたいなら、自分から愛し、そして愛される人になりなさい(ベンジャミン・フランクリン)
 
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★ 自分嫌いをなくそう!都が小学生に「自尊教育」導入へ(産経新聞・09/3/11)
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わいせつ男性教師に実刑3年4月判決 東京家裁(2009.3.9)

 教え子だった女子生徒とわいせつ行為をしたとして、児童福祉法違反に問われていた、東京都台東区立中学校の元教諭の男性被告(52)に対して、東京家庭裁判所は9日、懲役3年4ヶ月(求刑:懲役6年)の実刑判決を言い渡した。内田暁裁判官は「中学校教諭の立場に乗じて、自らの感情に流されるままに児童と極めて不適切な関係にのめり込んだ。行為は常習的で、教諭としての自覚や倫理観はもはや欠落していたというほかない」と非難した。
 
 同被告は07年3月、架空の行事を装って生徒と行った栃木県内の旅行先のホテルや中学校内でわいせつ行為をした。今年の1月は旅行でのわいせつ行為などを撮影したとして、東京地裁で児童買春・ポルノ禁止法違反の罪で懲役1年8ヶ月の実刑判決をうけて控訴している。
 
 一方、沖縄県警は9日、那覇市内に住む私立中学校教諭の男(38)を児童福祉法違反(淫行)の容疑で逮捕した。勤務する学校の副担任であるクラスの3年女子生徒(15)を車でホテルに連れて行き、わいせつな行為をさせた疑い。「ホテルには行ったが、勉強を教えただけ」という稚拙な供述をしている。事件のあった日はいずれも学校は休みで、携帯電話のメールで「勉強を教える」を生徒を誘い出した。生徒がその後、両親に同容疑者との関係を打ち明け、両親が県警に相談した。
 
 最近この種の事件で出てくるモノというと「携帯電話のメール」である。私が中学生だったころは先生と校外で会うなんていうことはまずありえないことで、全く記憶にない。先生から家に電話がかかってくることすら稀なことであった。先生というのは学校に行かなくては会うことのできない存在。それが携帯の普及で、先生と生徒の1対1のコミュニケーションが容易になった。
 
 学校では言いづらい悩みの相談もできるという点では有効なモノかもしれない。しかし、本来上下関係であり、師弟関係であり、人生の先輩後輩であるはずの先生と生徒の関係が継続的なメールのために、そうした身分序列が崩壊することもある。あたかも友人同士のような錯覚に陥ったときに、魔の手は忍び寄ってくることであろう。
 
 こうした事件で被害者になる子どもたちの受ける傷というのは深い。若いうちの切り傷は皮膚の再生能力が早いから治癒も早い。しかし心の傷というのは身体全体に受けて、見えなくて深い傷であり続ける。それが加害者になり得ないであろう先生からのものであればなおさらである。メールでのやりとりで、一線を越えない線引きをしなくてはならないのが先生の役目である。
 
 子どもが大人を信用しなくなり、その忌まわしい事件を思い出させることがあるとしたら、刑事罰以上の償いをしなくてはならないことを、こうした先生たちは考えたことがあるのだろうか。
 
 
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★ 校内で教え子にわいせつ行為 元中学教諭に実刑判決(朝日新聞・09/3/9)
★ 「勉強を教える」と生徒をホテルへ、38歳中学教諭を逮捕(読売新聞・09/3/9)
 
 

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金八先生は必要か・2

 きっと3回目があるだろうと思っていた。北海道で2人の女性教諭が男子生徒と関係を持ち懲戒処分となった。そして今度は三重県で、24歳の女性教諭が中学2年の男子生徒と性的関係を持ち懲戒免職となった。
 
 三重県教育委員会によると、教諭は男子生徒から学校生活について相談などを受けていた。今年の1月ごろから頻繁にメールをするようになって交際を始めた。今夏に2回、教諭のアパートなどで性的関係を持った。県青少年育成条例違反の疑いもあることから、県教委は三重県警に相談している。教諭は「いけないことと分かっていたが好意を持ってしまった。生徒と保護者に申し訳ない」としている。
 
 大阪府の橋本知事が、公立学校での携帯持ち込みを禁止する方針を固めていることに対し、賛否の声が上がっている。「子供の登下校中に事件に巻き込まれたら不安」などという声もある一方で、生徒からも「辞書代わりに使っている生徒もいる。必要ないと思う」という声もある。授業中にメールをする行為は「テレビを見ながら授業を受けているようなものだ」という声もある。
 
 そして教師が生徒と不適切な関係を持つのに携帯電話が暗躍している。相談事があるのなら、決まった時間に決まった校内の場所ですればよいことだ。メールがあることにより、場当たり的な空間が保たれるだけで、時間管理能力や対人能力が廃れる可能性すらある。無くて済んでいた物であるし、あんな高価なものを持ち込んでいることが不思議なことだ。
 
 ”メールで熱心に指導”している先生がいる一方で、自身の処理能力を超えてしまい心の病に倒れる先生が増えている。特に40代後半から50代のベテラン教員が多い。全教員のおよそ3%ほどが病気になり休職しているか服薬しながら教壇になっている状態であるという。
 
 以前ここで「金八先生は必要か」と書いた。実際にはあり得ない先生だが、考えが変わった。金八先生は必要である。それは生徒のためではなく、ふしだらな教師に喝を入れ、斃(たお)れそうな先生に活を入れて寄り添うためである。それにしても不祥事を起こす先生は、どうして先生であろうとしないのだろう。
 
 
☆ 最も良い教師とは、子供と共に笑う教師である。最も良くない教師とは、子供を笑う教師である。(A・S・ニール)
  
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★ 公立校教員:ベテランの挫折増加 孤立深める(毎日新聞・08/12/25)
★ 中2男子と性的関係、24歳女性教諭を懲戒免職・・三重(読売新聞・08/12/26)
★ 橋本知事の携帯持ち込み禁止 河村官房長官、鳩山総務相が賛意表明(産経新聞・08/12/5)
★ 教え子と性的関係 大津(本ブログ・07/5/25)
★ 金八先生は必要か (本ブログ・07/11/3)
★ 懲りない先生たち(本ブログ・08/7/31)
 
 

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早大、セクハラ相談データ流出

 大学に在学中、知人女性が「しつこいジジイ(先生)がいるので、セクハラ防止委員会に訴えようと思う」と怒り心頭だった。その後の経過を聞いていないが、他の女性も「教授にセクハラされた。あいつの名前は一生忘れない」と怒っていた。思いのほか身近にセクハラ問題が蔓延しているものだと感じた。
 そんな中、早稲田大学(東京都新宿区)は、学内で受け付けた、パワハラやセクハラ相談に関する実名入りの相談リスト719件分がインターネット上に流出したと発表した。相談担当者である嘱託職員が今年7月、データ処理を依頼した知人のパソコンからファイル交換ソフトを通じて流出した。
 
 流出したのは99年4月から07年5月に受け付けた嫌がらせ(ハラスメント)に関する相談や情報の提供だ。相談した学生や、訴えられた教授らの肩書、実名などが記載されている。早大によれば、データを持ち出すことは学内の規律違反であるという。嘱託職員は「学内でデータ整理をすると、人に見られてしまうかもしれないので自宅に持ち帰った」などと話しているという。 
 
 個人情報の漏洩が後を絶たない。情報処理に関する意識が今ひとつ浸透していない部分がある。まず、情報を受信した場所から、PCなりディスクなりUSBメモリなどで物理的に移動させれば、紛失・盗難という恐れがある。自宅に持ち帰れば、会社などの組織で構築されているはずのセキュリティーから外れることにより、ウイルス感染などの危険性もある。
 
 一番よくないのは、外に持ち出してしまうことだ。もうこの時点で流出の可能性がはるかに大きくなっていると認識しなくてはならない。どうしたらPCなどの大きいものを紛失させることができるのか、小心者の私には理解を超えるが、ウイルス対策、スパイウエア対策などは十分に採らなくてはならない。そうした危機意識のないことが情報流出の第一歩になり得ることを忘れてはならない。
 
 それにしても719件分の流出である。真偽のほどは分からないにしても、それだけの数のハラスメントが1つの学校組織に存在しているかもしれないことが残念なことではある。
 
 
☆ なぜ成功しない人がいるかというと、それは考える努力をしないからだ。(エジソン)
  
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★ セクハラ相談リスト:早大嘱託職員から719件分流出(毎日新聞・08/12/2)
★ 早大でセクハラ相談リストがネット流出(読売新聞・08/12/1)
 
 

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大学に大麻汚染 壊れる大学生の規範意識

 2001年当時、早大文学部キャンパスでは、校舎内の至る所に灰皿があり、屋外はもちろん、灰皿のあるところであればどこでも喫煙ができた。翌02年には校舎内の一部が喫煙所となった。03年になると校舎では灰皿は消えて屋外の喫煙所のみ喫煙が可能になった。生協にあったタバコの自販機も姿を消した。
 
 その後も非喫煙者からの意見を考慮し、人がよく通る動線上から喫煙所は消え、喫煙スペースは数えられるだけになった。本部のある早稲田キャンパスなど、他のキャンパスも恐らく同様であろう。
 
 喫煙者からすれば喫煙スペースが減ったとはいえ、構内で一服できることはありがたい。外に出ればそこは公道。大学のある新宿区では、公道での喫煙を区の条例で禁止している。歩きタバコをしている人に区の委託職員が注意している光景を見たことがある。
 
 こうした状況も嫌煙権が幸福追求権の1つとして考えられるようになったからであり、02年に施行された健康増進法もそれを後押しすることになった。時代の流れである。飲食店で分煙されているところがあるが、煙や臭いを100%遮断することができない以上、愛煙家が肩身の狭い思いをするのは当然だ。
 
 ところが昨今、大麻に手を出した大学生が多数逮捕された。逮捕された学生の中には、「オランダについての講義で大麻に興味を持った」と供述する者もいた。オランダでは、一定量の個人所持に限って合法とすることで、それより害の強いドラッグの使用者が減ったという。 
 
 日本で大麻が違法とされているのは、記憶力や理解力、集中力の低下を引き起こし、精神疾患を引き起こす恐れがあるとされているからだ。以前、大麻を経験したことのある男性に話を聞いたことがある。彼曰く、「運転中に信号の色が何色か分からなくなった。これはまずいと思い、車を停めてしばらく休んだ。あれ以降、やめた」とのことだった。
 
 大麻はタバコやアルコールに比べて依存度も害も少ないという意見がある。ヨーロッパでは日本ほど厳しくない国もあり研究もされている。そうした既成事実にに則った意見かもしれない。
 
 大学生が大麻で捕まることがなぜ問題か。法を犯すという意識が1つ崩れれば、規範意識の崩壊が容易に生じやすい。薬物で脳に異常を来すことよりも、正常な脳をもってして、誤ったルールを良しとする思考になるのが恐い。そうしたことに憂慮し、率先して社会正義のために立ち上がるのが本来の大学生たる姿であるはずである。
 
 
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★ 大学生の大麻摘発、03年度以降10校で43人…読売調査(読売新聞・08/11/9)
 
 

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全盲の先生の生きた授業

 ICレコーダーに吹き込まれた生徒の感想は「目が見えないのに黒板に字が書けてすごい」「象の鳴き声の読み方が情感がこもっていてすごかった」「先生が努力しているから私も負けずにやりたい」などであった。
 
 埼玉県長瀞(ながとろ)町立長瀞中学校に勤務する全盲の国語教師、新井淑則さん(46)。網膜剥離で右目を失明、その後に左目も悪化した。リハビリを重ねて今年の春に普通中学校に復職した。前述の生徒の感想は夏休みに新井さんに届いた声の便りである。
 
 俗に目の見えない人は聴覚が鋭くなるという。わずかな音を拾って自分の周辺にあるものを認知する。アメリカに全盲で舌を鳴らして歩く人がいた。この人は舌を鳴らした音の反響で近くに何があるのかを察知するのだ。壁がある、建物がある、そして挙げ句の果てにはパスケットボールを見事”シュート”して見せた。
 
 せっかく目が見えて何ら不自由のない生活を送っているのに、人の心が見えないために、見ようとしないために、要らぬトラブルを起こしてしまう自分が情けない。
 
 新井さんは、生徒たちの表情が見えなくてもどかしさを感じているのだという。でも生徒たちの明るい声は、新井さんだけに聞こえる生きた声なのかもしれない。
  
 
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★ 全盲の先生「授業すごい」、生徒に通じた生きる力(読売新聞・08/8/15)
 
 

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わいせつ事件に走る懲りない先生たち

 ネットで先生の起こしたわいせつ事件を探すのがとても簡単になった。これは検索エンジンの機能が向上したことを意味していない。それだけこの類の事件が多いのである。
 
 「2人きりの卒業旅行」を計画し、女子生徒を誘って旅先で乱暴した都内中学校の被告(52)の公判が東京家庭裁判所で開かれた。児童福祉法違反に問われた被告人側の弁は「生徒に誘われたので無罪」との主張だった。
 
 検察の冒頭陳述によれば、被害者女子生徒の担任となったのが平成18年4月。受験の相談にのるうちに交際を迫ったという。そして昨年の3月に栃木県那須町のホテルに連れ込みわいせつな行為をした。また、中学校の教室でも同様の行為に及んだ。
 
 児童福祉法では、児童(18歳未満)に淫行させる行為をしてはならない、とある。これは「児童と淫行をする行為」も含まれる。従って、たとえ生徒が誘ったとしてもほぼ自動的に罪となる。
 
 法廷戦術なのだろうが「生徒に誘われた」などと主張するとは何とも往生際が悪い。誘われたのならば、教師という立場を考えて断ればよかっただけのことである。52歳のベテラン教師が築き上げたはずの教育者としての倫理観は聞こえてこない。こういう先生というのは、後に転職した時に「何故教師を辞めたのか」と聞かれて何と答えるつもりだろう。
 
 90年代に真田広之主演の「高校教師」というドラマがあった。先生と生徒の恋愛、そして生徒をレイプする先生、当時は衝撃的な内容であった。しかし「ドラマだから」という冷静な目で見ていた。このドラマを検証すべく、当時のTBSのワイドショー「モーニングeye」で”実際の女子校はどうなのか”を取材していた。
 
 レポートによれば、「実際に先生と生徒が恋愛関係になる例もあるようだ。ドラマの中の世界だけではない」とした。すると、司会の山本文郎アナ(当時)の隣に座っていた渡辺真理アナ(当時)がレポーターに詰め寄った。「私は女子校出身ですが、そんな先生はいませんでした。みんな素晴らしい先生でした」といったが、取材した男性レポーターは「でも実際に話としてあるので・・」というと、「女子校がそういうイメージで見られるのは・・」と涙ぐんだことがあった。
 
 渡辺さんが食ってかかったのは、学校時代の思い出がいい先生たちによって作られたに違いないからだ。未熟な生徒たちは学校で先生しか頼れないが、そこにつけこんだ性犯罪は許すことができない。生徒は先生から学ぼうとしているが、先生もその生徒たちから学ぶことは多いはずである。渡辺真理さんのように先生を擁護する卒業生がいたら、それはきっと教師冥利に尽きるに違いない。
 
 
☆ 謙虚は一つの装飾である。ところが人はこの装飾をしないで外を出歩く(Franz Grillparzer)
 
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★ 「生徒から誘われた」と無罪を主張 わいせつ教諭初公判(産経新聞・08/7/9)
★ 「奥さんも子供もいるでしょ」で我に返り 生徒にキスで懲戒免職(産経新聞・08/7/16) 
 

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