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「違法捜査だった」服役中の道警元警部が証言 =”S”を使った冤罪=(2009.8.1)

 97年にロシア人船員が銃刀法違反で逮捕された事件を巡り、元北海道警警部(55)や道警幹部らが、捜査書類の偽造や偽証、おとり捜査を隠蔽していたとされる事件があったが、服役した元船員のロシア人男性(39)が「違法なおとり捜査で損害を受けた」として、国と道に2310万円の損害賠償を求めた訴訟に関係して証人尋問が行われた。
 
 覚せい剤取締法違反で服役中の元警部に対する尋問は、千葉刑務所の出張法廷で行われた。非公開で実施され、中山幾次郎裁判長、原告、被告双方の弁護団が立ち会った。
 
 原告側の弁護士らによると、元警部(当時は警部補)は道警銃器対策課(現:銃器薬物対策課)に勤務していた当時、この事件に関与したパキスタン人男性ら”S”(=スパイ・捜査協力者)に、飲食などの接待を通じて「誰かに拳銃を持って来させろと指示していた」と証言。事件について「(拳銃を)持ってくる気のない人に持ってこさせた。違法だった」と述べた。
 
 以前に偽証したことについては「その方針を固めたのは自分より上の人間だった」と組織内の関与を認める発言をした。
 
 訴状によると、ロシア人男性は97年11月、パキスタン人男性から「拳銃と中古車を交換してやる」と持ちかけられ、小樽港で拳銃を渡そうとしたところ、道警銃器対策課員に現行犯逮捕された。男性は「違法なおとり捜査」と無罪を主張、しかし元警部が偽証したことから懲役2年の実刑判決を受けた。
 
 その後、偽証が発覚し、道警は元警部と元警視、警部補ら計4人を虚偽公文書作成・同行使容疑で書類送検したが、札幌地検は不起訴処分とした。05年にロシア人男性が損害賠償請求を起こした。男性側弁護士は「現場にいた元警部から違法捜査の証言を得ることができた。最大の収穫」と語った。
 道警の組織的関与が濃厚になってきているが、関与については一貫して否定している。道警は「係争中なのでコメントできない」としている。2002年7月、道警が元警部を覚せい剤取締法違反で逮捕。のちに銃刀法違反などで再逮捕。元警部に事件を指示した元上司の警視が自殺している。
 
 おとり捜査には、捜査当局が犯罪そのものを引き起こす意図で行う「犯罪誘発型」と、あらかじめ設定された機会を利用するに過ぎない「機会提供型」がある。一般に前者は違法(米国などでは合法)、後者は適法とされる。
 
 銃器・薬物の捜査は難しい。捜査員だけでの摘発もあるだろうが、”S”=捜査協力者の関係は欠かせない。闇の組織に近い彼らが情報を「タレこんで」くるから、捜査体制も整えることができる。「おとり捜査」やそれに近いことも行われている可能性も高い。すなわち、捜査員が犯罪に加担する危険性もはらんでいるのだ。
 
 いずれにせよ、犯罪者でもないロシア人男性には正面を向いて道警は話さなければならない。元身内が証言している以上、違法捜査ではないと否定するのであれば、立証責任があるのは道警のほうだけである。
 
 
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★ 拳銃おとり捜査:北海道警察の元警部「違法捜査」と証言(毎日新聞・09/7/31)
 
 

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