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日本マクドナルドに残業代支払い命令 「店長は管理職ではない」

 都内のファーストフード店で実際にあったこと。不規則勤務でバイトがいなければ穴埋めをして働くのは店長であった。忙しい日が続いていたが、ある日「具合が悪い」と言って制服姿のまま帰宅、翌日出勤してこないのを不審に思った社員が自宅まで行ってみると、制服を着たまま冷たくなっていた。
 
 エリアマネージャーは店長がいないことを不思議がったが、社員達は口を閉ざしたまま。社員を問い詰めると亡くなったことを白状した。なぜこの会社が社員達にかん口令を敷いたのかは疑問だ。人ひとりが死んでいるのに事実を闇に葬った。
 
 ファーストフード店の社員、とりわけ長ともなると、実際の営業現場を任される。バイトが足りなければ休日など皆無の状態もある。雇われている身でもあり、なかなか反旗をひるがえすわけにもいかない。
 
 埼玉県内のマクドナルドの直営店店長が、管理職とみなされて残業代を払わないのは違法だとして本社を訴えた裁判が東京地裁であった。裁判官は「店長の権限は店舗内に限られており、経営者と一体的な立場で事業を行う管理職とは言えない」とし、755万円ほどを支払うように日本マクドナルドに命じた。
 
 訴えた店長は会見で「こういう判決がもっと早く出ていれば、過労死した仲間を救えた」と言葉を詰まらせた。風邪や寝不足で意識がもうろうとしている状態で、食の安全は保証されない。接客で大切な笑顔も作れない。しかし日本マクドナルド本部は「スマイル0円」を打ち出し、タダで笑顔を店長に強要していたのだ。
 
 
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★ マック店長の管理職扱いは違法、残業代など支払い命令(読売新聞・08/1/28)
 
 

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写真 わいせつか否か

 
 芸術本のコーナーにモデルとしての裸が載っている写真集がある。男性も女性も載っていた。アダルトコーナーに置かれている本とは違いわいせつな本とは感じなかったし自然に見ることが出来た。絵を描くときに難しいのは曲線だと美術の先生に言われたこともある。究極の曲線美は女性の裸体であり、普段服で隠されているがために描きたくなる部分なのかもしれない。
 
 男性器の写った写真集を巡り、輸入を禁止するか否かの訴訟上告審弁論が最高裁であった。出版社側は「当時既に国内で芸術的書籍として販売されており禁止は違法」とし、国側は「同じ写真が載った別の写真集を最高裁は『わいせつ書籍』と判断している」とした。
 
 性器の表現が芸術か否かという判断は難しい。ただ、アダルトコーナーの本は性交場面など、性的刺激をあおるものがほとんどであるが、芸術書籍にはそれを感じさせないものがある。一つの指標として考えられるのはその表現方法だろう。アダルト本のそれは女性が足を開き、または表情を作り見るものを興奮させる目的があることが分かる。カメラへの目線やカメラ側の目線がいやらしい。
 
 芸術書籍はとても”興奮できない”のである。表情はカメラを向いておらず、身体全体が被写体となり自然であり質素なものである。女性の胸が色々な形があって面白ければ、男性器も同じである。
 
 ヴィーナス誕生や小便小僧を見て誰もわいせつだとは思わない。芸術における新しい開拓はなかなか判断されにくいものである。
  
 
☆ 芸術家は人がその作品を見て、その作家を忘れる時にのみ真に賞賛される。(レッシング)
 
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★ 写真集:わいせつか芸術か 最高裁で弁論(毎日新聞・08/1/22)
★ 裸祭りポスター:JR東が「待った」…女性が不快感(毎日新聞・08/1/8)
 

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福岡飲酒事故、懲役7年6ヶ月

 子供3人とクルマを運転していた父親、そして母親の5人を乗せたは突然追突され車ごと海に放り出された。夜間であったこともあり、水没していくクルマの中で子供達を助けるのは極めて困難であった。暗闇に沈む子供達をどうすることもできなかった。
 
 2006年8月に起きた元福岡市職員の男性(23)の起こした飲酒による3児死亡事故に対する判決が福岡地裁であった。判決は業務上過失致死傷罪と道交法違反(ひき逃げなど)の併合罪を適用、最高刑となる懲役7年6月だった。注目されていた危険運転致死傷罪は退けられた。
 
 危険運転致死傷罪の成立は、被告が酩酊状態を認識している必要がある。裁判長は、被告が狭い路地をも事故を起こさず走り抜け、事故現場にさしかかったときに、100キロのスピードで12秒間脇見運転したことも「異常なこととは言えない」とした。片側一車線の現場で12秒も脇見運転すること自体が異常だと思うが、同罪の構成要因とはしなかった。飲酒の証拠を隠滅すべく1リットルの水を一気飲みしたこと、現場に40分後に戻ったことも「業務上過失」の範疇ととらえた。
 
 被害者の夫妻、とりわけ自分で逃げ出すことすらできなかった幼い子供達にとって、恐怖の一瞬は忘れることもできないだろう。そして何の落ち度もない被害者にとってこの判決は妥当だったのか。冷たい海に投げ出された子供達にとって、この判決はさらに冷たかったに違いない。
 
 形式的に「事故」となっているが、酒を飲んだ時点で未必の故意、「事件」にはならないのが不思議である。
 
 
☆ 愚者が賢者から学ぶより多くのことを、賢者は愚者から学ぶ。(Marcus Porcius Cato)
 
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★ 危険運転退け懲役7年6月 「脇見の前方不注視」原因 福岡3児死亡事故(産経新聞・08/1/8)
★ 「過失」の判断、やりきれなさ残す 福岡3児死亡判決(朝日新聞・08/1/8)
★ 福岡・車転落3児死亡:地裁判決 両親の願い届かず 被告、終始うつむき(毎日新聞・08/1/8)
★ 福岡の3児死亡飲酒運転、元市職員に懲役7年6月(読売新聞・08/1/8)
 

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ドンキ放火事件 119番対応が法廷へ さいたま市提訴される

 
 さいたま市の「ドン・キホーテ浦和花月店」で起きた放火事件で、その時になくなったアルバイト従業員女性の遺族が、消防の対応に問題があったとして、さいたま市消防局を管轄するさいたま市を訴えた。
 
 テレビでやりとりを聞いた。女性は冷静な口調で応じているが、背後では火災報知器が鳴り響いており切迫した状況が分かる。消防局の司令課の男性は「どの辺から煙がでてんの?」といった具合に危機感が感じられない。女性を安全に誘導すべきでなかったかというのが遺族側の言い分である。
 
 「救急ですか?火事ですか?」。以前、東京消防庁に119番したときに最初に聞かれたことである。こうしたところに通報するにはちょっとした勇気が要るものだ。だから受ける側は親身になって欲しいと考える。助けて欲しいのであるわけだから。
 
さいたま市消防局と女性とのやりとりは以下の通り。(朝日新聞より引用)
小石さん(以下、小):もしもし。もしもし。
指令課(以下、指):火事ですか。救急ですか。
小:えーと。火事なんですけど。
指:ドン・キホーテで火事?
小:はい。そうです。
指:火事なのね。何が燃えてるの?
小:えー、何が燃えてるんだろう。何が燃えてるのか、ちょっと分かんないんですけど。
指:建物なの?
小:はい。
指:火が出てんの?
小:火が出てる。ここからはちょっと見えないですけど、煙がすごいです。
指:どこで? ドン・キホーテの中?
小:ドン・キホーテの中で。
指:はい。何階建て?
小:はい。
指:何階建て?
小:私の?
指:何階建て? ドン・キホーテは?
小:えっ。ごめんなさい。聞こえないんですけど。
指:ドン・キホーテは何階建てなの?
小:あっ。えーと2階建てで上が駐車場です。
指:上、駐車場?
小:はい。
指:はい。で、1階2階建てなのね?
小:そうです。で、1階から火が出てます。
指:1階から火が出てんの。
小:はい。
指:今出しますからね。お宅さんの名前は?
小:はい。
指:お宅さんのお名前は?
小:あっ。私、小石って言います。
指:小石さんね。
小:はい。
指:電話番号は○○○○○○○(店の番号)でいいの?
小:はい。
指:はい。今行きますからね。
小:はい。お願いします。
指:1階のどの辺から煙が出てんの?
小:はい?
指:1階のどの辺から煙が出てんの?
小:ちょっと分かんないです。すいません。私出ます。
指:もしもし。もしもし。
(通話時間1分49秒)
 
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★ ドンキ放火の119番対応、法廷へ 遺族が提訴(朝日新聞・07/12/17)
 
 

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死刑執行までの期間 法改正は必要?

 死刑執行に携わる刑務官は複数人いる。執行間際には死刑囚が暴れることも多いという。それを押さえながら頭に袋をかぶせ、首に縄をかける。するとほどなく、死刑囚が立っている床が開き吊り下がる仕組みになっている。
 
 床を開ける”執行ボタン”を押す刑務官は数人。誰が押したか分からないようになっているという。この”執行手当”は1回につき1人3万円だそうで、多くの刑務官はその日のうちに飲んで使ってしまうのだとか。
 
 鳩山邦夫法相は、死刑判決確定から執行命令までの期間が6ヶ月以内となっていることに、「半年という規定が実態に合わずあまりに短かすぎるなら、若干伸ばすという方法もあるかもしれない」と、法改正の可能性を述べた。
 
 少々おかしいと思う。平成に入ってから死刑は「法相の個人的思想」などで激減した。裁判所が判決で死刑を出しているのである。それを粛々と死刑執行署に署名しないというのは、法の最高責任者の怠慢だ。判決から執行命令までの期間が6ヶ月となっているのは、冤罪などが判明したときの最後の救出手段が残されているからだ。それだけ法相の死刑執行署名というのは重みがある。
 
 個人の思想など介入してはならない。精査された判決を、法の最高責任者が個人的な理由で死刑を先延ばしにしてはならないのだ。死刑囚は最期の時まで通常の日常を塀の中で過ごす。風呂にも入り、日記をつけ、執行前には朝食もとる。人間の尊厳を大切にするからこそ、当たり前の日常を送らせる。法相が執行命令に署名しないというのは、そういった人間の尊厳を軽視してはいないだろうか。100人近い死刑囚が塀の中でその時を待っている。
 
 
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★ 死刑執行までの期間 法改正も 鳩山法相(産経新聞・07/10/24)
 
 

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子供の声、”騒音”と苦情増加(2007.10.23)

 
 日本語には「ダラダラ」「キラキラ」「ワンワン」などといった擬音語・擬態語が多く存在する。これらを修辞技法でオノマトペと呼ぶ。英語にはtwincle(キラキラ)beep(ピーという音)など、せいぜい300ほどだ。日本語のオノマトペで面白いところは、自分で勝手に作ることができてしまい、ある程度話し相手に通じることもあるという点にある。
 
 騒音のオノマトペはなんであろう。ガタンガタン、ガサガサ、ドタバタなどだろうか。読売新聞が調査したところ、政令市などの自治体で子供の声が騒音苦情として寄せられていることが明らかとなった。「野球部のかけ声やボールを打つ音がうるさい」「児童館の子供の声が響いてうるさい」「校庭での球技がうるさい」「体育の先生は小さい声で指導を」などとなっている。
 
 本来、学校や公園はある程度の子供の声がするもので、地域がそれを容認する部分があったはずだ。東京・西東京市の公園に設置されていた噴水で遊ぶ子供の声がうるさいから噴水を止めて欲しい、と訴訟になったことは記憶に新しい。原告の女性は病気にかかったことで、騒音による不眠や不整脈の症状に悩まされた。ただこの女性も公園に隣接するところに30年前から住んでおり、それまでは子供の声に寛容だったに違いない。病気になったことがお気の毒であった。
 
 私は現在女子校のグランドの隣に住んでいる。生徒の甲高い声は正直うるさいが、朝練タイムはその辺りを徹底していて私語は一切無く、ボールの音がひたすら聞こえるだけだ。西東京市の例は別問題だが、子供たち特有のワイワイキャーキャーといったオノマトペが聞こえなくなったら、町に活気がなくなる寂しさはあると思うがいかがだろうか。
 
 
☆ 外から聞こえてくる何千の声も、あなたを脇道へそらせるだけである。 ただあなたの内部から聞こえてくる良心のかすかな声だけが、あなたの信頼すべき案内者となり得るのだ。 (ジョージ・マロリー) 
 
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★ 子供の声「騒音」の時代、自治体への苦情増加(読売新聞・07/10/22)
★ 記者の目:西東京の公園騒音差し止め仮処分決定=神澤龍二(毎日新聞・07/10/16)
 
 
 

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振り付けの権利

 元ピンクレディーの2人が、女性誌に掲載された昔のステージ上の写真をめぐり、「パブリシティー権の侵害だ」として、出版社に損害賠償請求を起こした。振り付けも有名人の肖像権同様、経済的利益を生み出すパブリシティー権があるというのがピンクレディー側の主張だ。
 
 これに対し出版者側は「振り付けの著作権は振付師に帰属し、歌手の権利ではない」などと主張し、真っ向から対立している。
 
 紙に採譜できる音楽や、映像商品は著作物であることは理解できる。これを個人的利用を逸脱して使えば著作権違反だ。振り付けそのものには著作権が無いものだと思っていた。というのも、身体を使った表現をどう記録して、独創的なものと判断するか疑問であったからだ。
 
 例えば、バレエで”つま先立ち”というのを見たことがあるが、そこに著作権の網をかければ高いところに手を伸ばしてものを取る行為も著作権侵害になるのではないか、と考えたからだ。
 
 98年11月21日付読売新聞朝刊によれば、振付家であるモーリス・ペジャール氏が無断で氏のバレエ作品を上演した団体に著作権侵害を訴え、東京地裁でそれが認められている。判断は難しかったようだが、ビデオテープなどをもとに氏の権利を認めた。
 
 話は戻ってパブリシティー権だ。振り付けが肖像権などと同様、付随する経済利益を生み出すものなのかどうか。確かにピンクレディーの振り付けは一世を風靡し、今でも人気がある。独創的で今でもピンクレディの振り付けが”ダイエットにいい”などと商品化されていることを考えると、パブリシティー権を認められるかもしれない。初の司法判断が興味深い。
 
 
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★ 「振りつけにパブリシティー権ある」 ピンクレディーが提訴(産経新聞・07/10/8)
 
 

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色彩の暴力? 楳図かずおさん宅

 東京・武蔵野市の人口密度は12,916人/キロ平方メートルで全国3位である。住民1人当たりの個人市民税額ランキングは全国の市で2位、全国の自治体として珍しく、町内会や自治会がない。無いといえば、景観条例もない。
 
 武蔵野市に住居を構える、漫画家の楳図かずおさんの建築中の住宅について、周辺住民から抗議の声が上がっている。家の塗装を赤と白のしま模様にするということから問題となった。
 
 閑静な住宅地であるゆえ「色彩の暴力だ」という声がある一方で、「街のシンボルとなっていい」という容認する声もある。反対派住民は東京地裁に建築差し止めの仮処分を申し立てている。
 
 景観条例があれば、それに従って判断されることになるが、この場合は公序良俗に反するかが焦点となる。
 
 一般に赤は落ち着かない心理状態を作用させる。活気を出したいときの店内内装などは赤が使われる。心理的に落ち着く色は緑や茶色だ。だが、家の塗装に決まりなど存在しない。これは住民同士話し合った上で和解決着を図るのが妥当だろう。
 
 とりあえず紅白しま模様にしてみてはどうだろうか。一定の期間を経て再度話し合いの場を設ける。そこでやはり「景観利益」を求める声が多いのなら、塗り直せばいい。ご近所さん同士の話である。白黒はっきりさせるだけでなく、中間色の考え方も必要だ。
 
 
☆ 他人はあなたに反対なのではなく、自分に賛成なだけです(ジーン・ファウラー)
 
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★ 赤白外壁、公序良俗に反する? 楳図さん住宅問題(産経新聞・7/8/20)
 

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