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牟田悌三さん逝く 「ケンちゃん」シリーズ 父親役

 ドラマ「ケンちゃん」シリーズで父親役を演じるなど活躍していた、俳優の牟田悌三さんが8日午後11時33分、東京都目黒区内の病院で亡くなった。80歳だった。長男の夏彦さん(47)によれば、自宅風呂場で倒れているのを妻のさち子さん(78)らが発見、病院に搬送されたが死亡が確認されたという。5人の子供を持つ父親でもあり、今月4日には5人の子供のうち4人が集まり楽しそうに過ごしていたという。
 
 「ケンちゃん」シリーズでは、71年から79年まで温厚で優しい父親役を演じた。また「3年B組金八先生」第1シリーズでは、杉田かおるが演じた中学生の厳格な父親役なども演じた。俳優業以外ではボランティア活動にも積極的であり、子供電話相談「チャイルドライン」の普及に参加、世田谷ボランティア協会名誉理事長なども歴任して講演活動にも尽力した。いじめ問題には心を痛め、「大人の責任で解決する問題」と新聞のインタビューで語っていた。
 「ケンちゃん」シリーズで「ケンイチ」を演じていた、宮脇健(旧芸名:宮脇康之)はテレビのインタビューに応じていた。「牟田さんと呼んだことがないんですよね。お父さん、なんですよ」と言うと、めがねを外して目頭を押さえた。「当時の思い出がいろいろこみ上げてきて・・・」。
 
 名脇役だと言われた牟田さん。「人生の長い1クールをお疲れ様でした」と、お迎えに来たのは、同じく80歳にして亡くなったお釈迦さまなのかもしれない。
 
 
☆ 人生は一冊の書物に似ている。馬鹿者たちはそれはパラパラとめくっているが、賢い人間はそれを念入りに読む。なぜなら、彼はただ一度しかそれを読むことが出来ないのを知っているから。(ジョン・パウル)
 
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★ 牟田悌三さん死去、直前に夫婦で海外旅行(日刊スポーツ・09/1/10)
★ ドラマの名脇役、牟田悌三さん死亡 自宅で倒れ(産経新聞・09/1/9)
 
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久しぶりに見たSPEED

 
 大晦日のNHK紅白歌合戦を見た。水谷豊の緊張ぶりも面白かったが、久しぶりのSPEED(スピード)もよかった。9年ぶりの復活となったが、それでもまだ今井絵理子は25歳だし、他のメンバーもまだ若い。みんな綺麗になって大人の女性の貫禄を感じた。それになんと言っても全員そろっても違和感がない。メンバー最年長の仁絵の笑顔は大人の笑顔だったし、上原多香子はあどけなかった笑顔が魅惑の雰囲気を感じさせるものになっていたし、島袋寛子はいちばん幼い顔だったが、色気すら感じた。
 
 島袋は高音パートを歌う。紅白では「White Love」を歌ったが、歌詞で「天使がくれた出会いは・・」の部分とそれ以降の部分、かつての島袋だったら「若さと勢い」で歌っていたような感じすらあった。つまりちょっと苦しいのではないかと思っていたが、今回は高音パートに余裕を感じた。声に厚みが出ていたのに驚いた。表情に余裕があったのだ。
 
 SPEEDが再結成するきっかけになったのは、日本テレビの「24時間テレビ」。番組の企画でかつてあったことのある難病を抱えた女性に再会するSPEEDのメンバー。このときのプロデューサーの提案で復活することになったのだ。このときに今井絵理子の息子、礼夢(らいむ)くん(4)が耳が全く聞こえない障害を持っていることが明らかになった。
 
 琉球新報の記事の中で、今井が「障害は一つの個性だ」というくだりがあった。これまで健常者と障害者と区別している社会があったが、個性だと言われると区別していた自分が情けなく思う。そもそも障害者を定義するよりも、健常者を定義することの方が難しいかもしれない。他人の迷惑を考えずに行動する障害、うそをつく障害、法律を破る障害、冷たい言動で相手を傷つける障害、障害者だと区別する障害。果たして健常者がいたとしたら、どんな人なのだろう。
 「White Love」の中で「愛してる」という箇所があり、今井は手話でそれを示した。紅白を見ていたかもしれない礼夢くんに絵里子ママはどう映っただろう。手話をしない他の親子と違って、これからますます顔を向き合わせる時間が多いに違いない。絵里子ママと礼夢くんを羨ましいと思うことが一つある。それは、手話を知らない人の前で堂々とヒソヒソ話ができることだ。 
 
  
☆ 音楽という言葉は知っていました。 生まれて初めて聴いて…… 涙が止まりませんでした (障害を持った人たちのためのコンサート 『夢いっぱいの特等席』に参加した人の手紙 )
 
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★ 難聴の息子と向き合う 歌手・今井絵理子さん(琉球新報・09/1/1)
★ SPEED、完全復活(本ブログ・08/8/20)
 
 

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今年だまされた日本人

 本ブログをよく読んでいただいている1人に言われたことがある。「どうして音楽プロデューサーのことを書かないの?絶対書くと思ったのに」。自分でもそう思っていたが、今ひとつ書く気になれなかった。
 
 事件の概要は、兵庫県内の個人投資家(48)に音楽著作権の譲渡を持ちかけた著名な音楽プロデューサーの容疑者が5億円をだまし取った疑いだ。音楽著作権は通常は音楽出版社に譲渡され、使用された楽曲に応じて作詞家・作曲家などに印税が入る仕組みになっている。個人レベルで著作権管理をするのは作業が煩雑なため、このようなケースが大半を占める。シンガーソングライターや本件容疑者のように音楽活動をしながら著作権管理することは困難だ。
 
 時代の寵児と言われた容疑者の逮捕は確かに驚いた。しかし被害者には申し訳ないが、同じ詐欺事件でも振り込め詐欺などでだまされた年配者の被害と比べると、どうも別次元世界の話であるかのようで、今ひとつピンとこなかった。
 
 それに加え、不安定な雇用情勢で多くの派遣労働者が住む家を失い、その日を暮らしていくのが大変である状況が深刻化する中、不安を多く抱えている人たちの事を考えると、弁済される可能性の高い本事件の被害者にあまり共感することはなかったのだ。申し訳ないが。
 
 今年は人がたくさん騙された。上記の事件のみならず、食品偽装は次々発覚し、それは日本人の主食である米にも及んだ。オリンピックの開会式の映像はウソ、政権は2年連続で投げ出された。騙す方が悪いのか、騙される方が悪いのか。
 
 だまされないコツがあるとしたら、いつも自分が惨めでいることである。惨めだから騙されようがない。惨めだから他人をだます余裕もない。但し、人間としての誇りのかけらを常に握りしめていることである。これを無くしたとき、人は堕ちる。
 
 
☆ 靴が一足もなくて惨めな気持ちだった。しかしそれも、足を失った男を見るまでだった。(ハロルド・アボット)
  
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★ 小室容疑者を逮捕 著作権譲渡で5億詐欺(産経新聞・08/11/4)
 
 

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飯島愛さん、死亡 イヴの日に発見される

 24日午後3時半ごろ、東京都渋谷区内の自宅マンションで元タレントの飯島愛さん(36)が死亡しているのを芸能事務所の関係者が発見して119番通報した。目立った外傷はなく、うつぶせの状態で見つかった。警視庁渋谷署で死因を調べている。
 
 飯島さんは昨年3月に芸能界を引退、ブログなどでその後の心境を語るなどしていた。今月6日には、栃木県内で行われたエイズ啓発キャンペーンに参加、エイズ感染者の増加について危機を訴えていた。
 飯島さんのブログは5日で交信が途絶えたままになっている。
 「Tバックの女王」として人気を集めた飯島さんだが、過去の映画の出演歴などは封印し、その後はバラエティ番組を中心に活躍していた。
 
 今が一番女性として華のあるとき。クリスマスイヴに聞く悲報としては、あまりにふさわしくない女性である。
 
 
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★ 元タレントの飯島愛さん?都内マンションで死体発見(読売新聞・08/12/24)
★ 元タレントの飯島愛さんが死亡(産経新聞・08/12/24)
 
 
 

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特命係の亀ちゃん、相棒を卒業

 東京・新宿にある国立感染症研究所は、インフルエンザの流行が始まったとし、予防接種などの対策を呼びかけた。今月1日〜7日までの全国の患者数が7707人に達し、「こまめな手洗いが予防の基本だ」としている。流行としては昨季に次ぐ早さだという。
 
 テレビ朝日系ドラマ「相棒」では、「国立微生物研究所」の研究員の男が未知のウイルスを持ち出し、その際に同僚を殺害、特命係の2人を含む警視庁は男の身柄を確保する。ところが、男が持ち出したウイルス保管場所で爆発が起こり、特殊部隊が来るまで待機していた鑑識課員ら警察官数名が汚染された部屋に缶詰となる。
 
 間もなく同庁化学防護隊が到着、感染された警察官を病院で隔離する。隔離されている米沢鑑識課員から部屋の状況を携帯電話を通じて知った杉下警部。病院近くで待機していた亀山に、隔離病室内に入るよう指示を出す。「これは君に大変なリスクを背負わす事になる」。亀山は言う、「右京さん、これが右京さんとの最後の事件になるかもしれません」。
 杉下・亀山のコンビは事件発生時、知的で冷静な杉下が的確な推理・判断をして事件を解決に導いた。それには右腕となっている亀山が必要だった。杉下が言うセリフで「真実に近づく」というのがある。複雑な事件であれば、冴えた頭の持ち主である杉下だけではたどり着けない。
 人は1人で正義を貫こうとするときに倒れる事がある。それを防ぐために必要なのはもう1人以上の存在である。亀山は1人だが、杉下にとっては1人以上の存在であった。相棒と呼ばれ、互いをそう認知するには熟成された時間と信頼関係が必要なのである。そして2人が是が非でも曲げない信念は「正義」であった。
 
 正義を語ることは簡単なことである。難しいのはそれを実行する事だ。正義は人を選ばない。誰でも正義を貫き通せるのだ。残されている事は、不正に対してひたすら立ち向かって行くだけだ。考えている暇がないのが本当の正義である。
 
 後半のシーンで印象的だったのは、二人が最初に出会った場所である「特命係」の小部屋。いつもは薄暗い印象しかないのに、それは実に美しい場面であった。
 
 
☆ 世の中には二通りの男の子がいる。ひとつは、天文学者になりたい者。もうひとつは、宇宙飛行士が好きな者だ(『ジュラシックパークIII』)
 
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★ 防衛「庁」が「省」へ昇格へ(本ブログ・06/12/7)
★ 「相棒」の亀山巡査部長、来週で”卒業”?(本ブログ・08/12/11)
★ 亀山巡査部長「相棒」卒業(本ブログ・08/9/8)
 
★ 「相棒」亀山薫、最後の事件は殉職?転勤?それとも・・(産経新聞・08/12/17)
★ インフルエンザ:流行開始・・昨季に次ぐ早さ 感染研が発表(毎日新聞・08/12/17)
★ 国立感染症研究所ホームページ(ドラマとは関係ありません。インフルエンザの情報などはこちらからどうぞ)
 
 

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「相棒」の亀山巡査部長、来週で”卒業”なのか?

 テレビ朝日系列の人気ドラマ「相棒Season7」の12月10日放送分を見た。今回の話はバイオテロだ。微生物研究所に勤務する研究員が、自分で精製したウイルスを研究所から持ち出す。警視庁では捜査一課員と特命係の2人が逃走した研究員の男性を捜す。
 
 そういえば新宿区戸山には「国立感染症研究所」がある。その名の通り、ウイルスやそれに対する予防の研究をしている。かつて、この施設が建設されることに反対の声もあった。住宅や学校が密集しているところに、危険な病原体を扱う建物があっては危険だというものだ。
 
 病原体は厳重に管理されており、流出の危険はもちろんない。しかし不安なことは、大地震が起きたときに保管している病原体が外に漏れないだろうかという点である。
 
 話は「相棒」に戻る。逃げている研究員は「日本人は危機管理がなさ過ぎる」などと持論を展開、杉下警部と亀山巡査部長が居場所を特定し、過去にあった”機転”を利かせ研究員を捕まえた。
 
 護送される直前に犯人は杉下警部を見てニヤリと笑った。杉下はそれが気になっていた。護送されるバスの中で犯人が「もうそろそろかな」と言って笑った。伊丹刑事が「何がだよ!」と問い詰めると、犯人が逮捕された場所に保管されていたウイルス各種が、警察官や鑑識課員のいる前で爆発するのである。そこで話は「つづく」となったが、予告編で気になる展開が一部垣間見えた。
 
 「これが右京さんとの最後の仕事になるかもしれません」などと、緊迫したやりとりが一部流れた。今回の「相棒」で亀山薫巡査部長(寺脇康文)が”卒業”することが決まっている。どういう形でシリーズから姿を消すかが分からないところだ。前にも書いたが、刑事ドラマで刑事がいなくなってしまうパターンとしては、殉職、異動、退職などがある。どういう展開になるのか、来週が気になる。
 
  
☆ 勇気は感染します。勇気ある人が毅然とした態度を取れば、他の人も姿勢を正すのです。(ビリー・グラハム)
 
★ 亀山巡査部長「相棒」卒業 (本ブログ・08/9/8)
★ 国立感染症研究所ホームページ(当然ながら、「相棒」の話とは全く関係がありません)
  
 

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消えていく記憶 認知症の南田洋子さん

 
 「アルバイト?学生さん?うちの息子の時代はね、安保安保、革命だーって、ずいぶん心配させられましたよ。ありがとう。元気でね」。
 
 南田洋子が最後に演じた役の最後のセリフである。奇しくも認知症の女性の役であった。
 2004年に夫婦で出演した旅番組で、未放映になった部分がある。南田と長門の会話がかみ合わず、突然南田が怒り出したのだ。この頃から病気が進行していたと考えられる。
 
南田  「あなたはどう思う?」
長門 「何かの活字で洋子が俺にやり返したと書いてあったと?」
 
「そうなの?」とスタッフに確認する長門。スタッフは「活字はそこは見てなかったです」
長門 (スタッフに)「そうでしょ?」
南田が長門の記憶にないことを言い出したのだ。
南田 「もういいわ。私をそういうウソつきにするんだったら、これから一切口きかない」
呆然とする長門。
 
 3年前に北海道のロケで「セリフが言えないから、カメラの死角に台本を置いていい?」という南田洋子に対して「だめだ。そんなのは役者じゃない!」と長門裕之は叱った。記憶力の衰えでセリフを覚えることが出来なくなっていた。そしてその後突然、「セリフを覚えられないから、役者をやめたい」と南田は言った。
 その後に芸能界から姿を消した南田洋子。認知症が発覚してから長門裕之の献身的な介護が始まった。症状は確実に進んでいる。「アカイヨ、ヨウコ、アッチニイクノ」がトイレに行きたいという合図だ。トイレでなくとも、不安になると、「アカイヨ」ということがあるという。
 
 トイレに連れて行く。「うるさいなぁ」「うるさいのはよく分かってる。お前機嫌がいいのか悪いのか分からないな」。毎日血圧を測る長門も自身の健康が気になるが、「今は絶対に死ねない。洋子のことは俺にしか分からないから」。南田を寝かせるときには「愛してるよ」という。「洋子もだよ」と南田も返す。
 
 仕事に行く長門を玄関まで送る南田。長門が立って片足を上げて靴を履いていると、うしろから体を支える南田。「行ってくるよ」というと「行ってらっしゃい」といって笑顔で見送っていた。開いた玄関ドアから入ってきた空気に「今日はちょっと涼しいわ」と外の空気を感じていた。ここだけ見ると、夫婦のごく普通の日常を見ている気がする。何かの拍子に、女優・南田洋子に戻れるような、そんな気もする。
 
 それまで南田が外出を拒否していたこともあり、専門医に診せていなかったが、VTRに収録した南田を都内の病院で医師に見せた。結果は「アルツハイマー性認知症の疑いがある」ということであった。その中で、「奥様ができることは、本人にやらせてください。なんでもやってしまうと、病態が悪くなる」とのアドバイスもあった。 
 
 人は支え合って生きていると言うことがある。南田に支えられてきた長門が今度は支える役なのかもしれない。人生という舞台で二人の共演はこれからも続いていくことだろう。そこには決められたセリフではなく、アドリブで体当たりする難しい役どころが待っている。俳優としても人間としても大御所のお二人なら、難役でもこなせるに違いない。
 
 小さいころからテレビでごく当たり前のように見ていたかたが、老いてしまい、記憶障害になる。生きていくと言うことは、そうした現実を受け止めなくてはならない辛いこともある。
 
 長門さん、ご自身もご自愛下さい。南田さんと楽しい人生が続きますようお祈りいたします。
 
 
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☆ 大切なのはどれだけ相手を愛するかではなく、相手にとって自分は何かを知ることだ 。(ローレンス・カスダン )
 
★ 南田洋子の認知症「介護は恩返し」長門裕之(本ブログ・08/10/4)
★ ドキュメント 消えゆく妻の記憶…長門・南田の日常 「今の洋子を残したい」(産経新聞・08/10/30)
 
 

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高橋”Qちゃん”尚子 引退

  
 高橋尚子選手の愛称である「Qちゃん」とは、リクルート陸上部の新入部員歓迎会で、「オバケのQ太郎」を歌った事によるものらしい。音楽が好きなのか、シドニー五輪での練習の時は携帯プレーヤーでHitomiの「LOVE2000」を聴いてノリノリの状態でいた。
 
 そのシドニーでは見事金メダルを獲得し、「(小出)監督は?」と周りをキョロキョロ見回した。その直後のインタビューでは「すごく楽しい42キロでした」と笑顔で答えた。疲れているはずなのに、どうして笑顔でいられるのか驚いた。
 その後は師弟関係であった小出監督とのコンビを解消し、”独立”して新たな一歩を踏み出したが、成績は思うように振るわなかった。アテネや北京の選考からも外された。年齢的に限界ではないか、という声も囁かれていた折り、28日に引退の記者会見があった。
 「プロとしての走りが出来なくなった」というQちゃんは、引退の時期について悩んでいたという。結成した「チームQ」では、Qちゃんから去っていくメンバーもおり、「少ないメンバーをまとめられないなんて半人前。世の中の社長さんはすごい」とした。
 
 社長というのは往々にして孤独な身分である。Qちゃんは「マラソン選手は1人で走れるわけではありません。多くの人が支えてくださってマラソンは成り立っています」と話したが、やはりマラソンは孤独だと思う。本番では多くの観客が沿道で応援してくれる。しかし舞台裏の練習は地味であり過酷であり、そして沿道に声援はないのだ。それでも笑顔を振りまいていたQちゃんは凄いと思う。記録だけではなく、人々の記憶にも残る人というのは素晴らしいと思う。
 
 優勝すれば、面識のない観客でも拍手してくれるのは当然だ。しかし観客は辛く悲しい時を励ましてはくれない。引退会見が終わったときに報道陣から拍手を受けて、Qちゃんは初めて涙を見せた。辛かったことを吐露し、それに対して拍手がわき起こったことに感極まったのだろう。
 
 Qちゃんの父である良明さんは「長い間、とても良く頑張った。いずれはこういう日が来ると思っていた。しかし、尚子の人生は半分もたっていません。時間に例えるとまだ午前11時くらい。これからのことはじっくり考え、そしてゆっくりと人生を歩んでいって欲しい」と語った。
 
 まだ人生の午前11時なら、お昼ご飯が待っています。Qちゃん、これからの人生をお腹いっぱいにしてくださいね。
  
 
 
 
★ 【Qちゃん引退】高橋会見(1)「プロとしての走りができなくなかった」(産経新聞・08/10/28)
★ 高橋尚子引退:Qちゃんスマイル、最後の最後で涙(毎日新聞・08/10/28)
★ 高橋尚子さん、現役引退を表明…「完全燃焼」と(読売新聞・08/10/28)
★ 「完全燃焼し、さわやか」 Qちゃん、涙こらえきれず(朝日新聞・08/10/28)
 
 

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