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前奏のない曲、イントロの短い歌

 前奏(イントロ)がない曲、または短い曲というのが多数存在する。番組収録などの場合はよいが、生放送の場合はタイミングを取るのが難しいだろう。そういう場合はドラムスティックを使ってカウント、またはキーを鳴らしてそのカウントを分かりにくくする、さらには簡単な前奏を演奏するなどと工夫が見られるのが興味深い。昔の楽曲ばかりで恐縮だが並べた。
 
1. ピンクレディー「ウォンテッド(指名手配)」
 
 前奏なしの曲。彼らの時代には生放送での歌の披露が多く、その多くは前述のようなタイミングをバンドやオーケストラが作って出だしを助けた。生放送だと時間の都合で全編歌うことができずに「ショートバージョン」になることも多かった。ピンクレディーの二人の曲は歌のみではなく振り付けも大きな魅力となっていただけに、短い編成の時は間違いのないようにしなくてはならず苦労があったに違いない。
 
2. シャネルズ 「ランナウェイ」など
 
 ドゥワップの曲は考えてみると前奏がないものなのかもしれない。「ランナウェイ」「街角トワイライト」「ハリケーン」などは鈴木雅之のカウントで始まる。
 
3. 田原俊彦「悲しみTOOヤング」
 
 前奏は4拍。しかし歌う準備ができてないとタイミングに追いつくのが大変になる。「歌の準備をどうぞ」と言われない状況だとなかなか難しいことであろう。
 
4. 近藤真彦「情熱☆熱風☽せれなーで」
 
 前奏のない曲。この曲も生放送泣かせの曲であったろう。カウントなどがあれば入りやすいが、いきなり始まるパターンしか記憶にない。
 
5. 松田聖子「渚のバルコニー」「瞳はダイアモンド」
 
 いずれも前奏は4拍。「渚のバルコニー」は大抵、歌の準備ができていることが多く、また立ち位置(バミリ)の近くにいて曲紹介をされることが多かった。「瞳はダイアモンド」の場合はスタンバイができた状態で歌うことが多かった気がする。
 
6. シュガー「ウェディング・ベル」
 
 前奏なしの曲。実際の歌番組でもちゃんと歌から始まることが多かったが、バックバンドのカウントを使ったこともあるようだ。コーラスの大変美しい曲であり、元カレに対する強烈な詞が面白かった。この曲が披露されるときの多くが「2番はカット」であった。
 
7. チェッカーズ「涙のリクエスト」
 
 前奏なしの曲。こういう曲の場合、生放送であるとメンバーではなくセットの一部、例えば花などのアップを映し、その間に曲が始まるというカメラ構成も多くある。
 
8. サザンオールスターズ「TSUNAMI」
 
 前奏なしの曲。この曲の場合はドラムスティックでのカウント(ワン・ツー・スリー・フォー)で始まることが多いようだ。間奏の部分を前奏に置き換えて編集されたものもある。サザンのようなバントの場合は出だしだけでなく、次の曲とのつなぎの部分のアレンジも楽しめる。
 
9. DREAMS COME TRUE「あなたにサラダ」
 
 前奏なしの前菜の曲。それにしてもサラダが言葉になるとなんとも健康的で幸せな時間の到来を予期させるのは何故であろう。
 
10. 【番外編】伊藤つかさ「少女人形」
 
 この曲は前奏が10小節あったが、時間的制約からかイントロが極端に短く編集された例である。さらに、伊藤つかさの場合、”存在そのものが編集された” 稀有な例であるという点だ。
 
 14歳で歌手デビューした彼女であったが、当時の歌番組が20時以降の生放送が多く、労働基準法の「20時以降の15歳未満は就業禁止」に抵触するという考え方から、歌番組では彼女の歌っている場面のVTR出演という形で対応した。ただ、同法では例外的に「学業などに抵触せず有害でないもの」、「芸能などの子役」などは認めていたことから、彼女は本来出演できたはずであった。後に伊藤つかさ本人がこの件について語っている部分がウィキペディアにあるので興味のある方は参照されたい。
 
 同じような例としては、工藤夕貴の「野性時代」がある。当時20時開始であった日本テレビ系列の歌番組「トップテン」に出演することができず、歌唱部分はVTRで流し、客席に「お客さんとして」着席していた本人に話を聞くという離れ業が披露された。SPEEDの4人組も19時台に歌ってその後は客席から座って”出演”ということがあった。
 
 前奏のアレンジだけではなく、生放送番組であると時間的な問題で曲そのものが大きく変更されることが多くあった。そのたびに間違わないように歌わなければならないし、AKB48などの振り付けが多い歌ではプロとはいえ間違いが許されない緊張感があるだろう。
 
 しかしその一方で、生放送でお客さんが目の前にいて、ステージ上で生のオーケストラのかたたちがいる環境において、歌うことができるというのは歌手冥利に尽きることであろう。
 

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