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伊勢丹吉祥寺店が閉店、38年の歴史に幕 東京・武蔵野(2010/3/14)

 年配の女性の姿が目立った。東京・武蔵野市にある伊勢丹吉祥寺店が38年の歴史に幕を閉じた。景気の低迷、競合店との競争に勝つことはできなかった。伊勢丹というブランドをもってしても時代の波にのまれてしまった。
 
 午後6時半ごろ、店舗入り口付近には大勢のお客さんが集まり、最後の瞬間を見届けようとしていた。蛍の光がBGMとして流れ、吉田栄一店長が挨拶をした。「長きにわたり、誠にありがとうございました。ウイ・ラブ・吉祥寺です」などと述べたあとには、集まっていたお客さんから大きな拍手がわき上がった。
 
 吉祥寺は「住みたい街」として、毎年1位というランク付けがされている。この時期になると雑誌「Hanako」では吉祥寺特集も組まれる。
 
 吉祥寺のある武蔵野市は東京23区の東部に隣接する市の1つである。新宿や渋谷に電車一本でいける利便性、逆に吉祥寺にも行ける便利さである。交通アクセスはバスにもいえる。その点も吉祥寺が住みたい街として支持された理由の1つである。
 
 しかし昨今の業績悪化は伊勢丹だけではない。現在ヨドバシカメラがあったところには、三越・大塚家具があった。その前は近鉄百貨店だったが、いずれも撤退。一昨年にはラオックス、デニーズも撤退した。吉祥寺の西側である東急百貨店裏側も空きテナントが目立っている状態だ。
 
 吉祥寺は長い間、丸井やパルコ、ロフトなどの出店で常に若者の心を捉えてきた。東急百貨店や伊勢丹などのブランド店は主婦層に支持された。大きな店のみならず、小さい店舗も吉祥寺の和洋折衷文化を後押ししている。駅前にもかかわらず、開発されることなく戦後の闇市の風情を残したハーモニカ横町のような場所もある。
 
 現在JR吉祥寺駅ビルテナントの「LONLON」が改装中で、「吉祥寺アトレ」に変わる。吉祥寺の顔が大きく変わることになるが、その中核的存在ともいえる伊勢丹の閉店は、昨今の小売業界の片鱗を見た気がする。しかし、こうした老舗の撤退が次々と起こって終わるのだろうか。
 
 景気が回復したとき、きっと伊勢丹のようなブランドを追い求める風潮が復活する。客はそちらに流れる。3ケタ円のジーパンよりも、5ケタ円のジーパンが必ず売れる。そんな景気回復した活気ある吉祥寺を早く見てみたい。
 
 こうして、伊勢丹吉祥寺店は吉祥寺を卒業した。卒業に際しては、目を赤くした女性客が多かったのが印象的だった。
 
 
☆ トロフィーを抱えたとき。それが全てが終わったとき。(Billie Jean King)
 
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★ 伊勢丹吉祥寺店:閉店 38年余の歴史に幕 東京(毎日新聞・10/3/14)
★ 伊勢丹吉祥寺店の後継テナントに三菱商事都市開発 FFは継続営業(吉祥寺経済新聞・09/11/11)
 
 

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