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うつ病などの精神疾患、血液で判断 大阪市大大学院

 まえにネットで産経新聞のある記事を読んでいた。その記事は2、3ページに分かれていたが、見ていると「あれ?」「あらら?」「あらららら?」とどんどん削除されていった。
 
 その記事というのは、秋田や札幌で架空の会社を作り、社員がうつ病になったとして傷病手当金を不正に受給していたという記事であった。「マニュアル」が存在し、そのとおりに医師に接すれば診断書も作成されるので、社会保険事務所に申請すればよい、というものであった。この事件で男女10人以上が詐欺容疑で警察に逮捕されている。
 
 産経新聞にはプロの医師の話も出ており「詐病だと見抜くことは難しい」と書いてあった。それゆえに模倣犯がでることを恐れて削除したものだと思った。
 
 うつ病を始めとする精神疾患はその見極めが難しい。内科や外科のように客観的に病気やけがだと判断できない。全ては患者への問診に依存することになる。患者によっては病気であるために、正しい症状を伝えられないこともあり、適切なクスリの処方がなされない場合も多い。また逆に何でもどんどん処方してしまう医師も少なからず存在する。上記のような詐欺事件が起きるのも、そうした問診に頼るシステムに乗じた悪質な例だが、こうした疾患に対して血液検査で病気を判定する技術が確立された。
 
 大阪市立大学大学院医学研究科の関山敦生・客員准教授(43=心身医学、分子病態学)が兵庫医科大と共同で、うつ病や統合失調症などの疾患を判定する血液中の分子を発見した。問診や行動観察が主流だったこれまでの診察で、客観的な数値指標を取り入れることが可能となった。また疾患の判定のみならず、ストレスの強度や回復程度も分かるという。
 

 関山准教授によると、ストレスや感染などを受けて、生成し分泌されるたんぱく質「サイトカイン」の血中濃度データの差異を積み上げて分析。データをパターン化することで、心身の変調やうつ病、統合失調症などを判定できることが分かった。うつ病や統合失調症について3000人近くのデータから疾患の判定式を作成。別の400人の診断に用いた結果、うつ病の正診率は95%、統合失調症は96%に達した。
 
 精神疾患の判定だけではなく、健常者に対するストレスの強度、疲労からの回復スピードも数値化した。80人の男女を対象に、計算作業で精神的ストレス、エアロバイクなどで身体的ストレスを加える実験を実施。いずれのストレスを受けたか100%判別することに成功し、ストレスの強度を数値で評価できる方法もつくり出したという。

 
 自分が病気じゃないか、そう不安に思う人は多い。しかし単なる疲れなのか「未病」なのか分かりにくいのがストレス性疾患である。この血液検査が確立されれば冒頭のような詐欺事件はなくなり、何よりも正確な病気の診断がなされるという意味で期待は大きい。
 
 
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