演じる人、演じない人
テレビプロデューサーのデーブ・スペクター氏が日本の役者を酷評していた。何でも「いかにもわたし演技していますって感じで大げさすぎる」などということである。あまりドラマや映画に詳しくないが、確かに大げさな演技だなあと感じることもある。その一方何となく見たドラマに見入ってしまうことがある。それは俳優さんの力強い演技力であり、自然な演技がそうさせる。日本語圏と外国語圏の発声の違い、動作の違い、表情の違いもあり、十把一絡げに比較はできない部分もあるだろう。
演技と話がずれるが、人を見ていると自然な表情と不自然な表情の違いを知ることができる。例えば、街中で友人を見かけたことがないだろうか。
これまで外出先で偶然見かけた友人というのはとっても不細工な顔をしている。仏頂面をしている。つまり、人との会話もなく一人でいる時の人間というのは非常に”リラックス”した顔をしている。暑ければだるそうな顔をしているし目つきも悪い。仕事が終わったあとで家路を急いでいる人たちもいつもの友人とは違う”不審者”である。
かつて量販店で勤務していた時、万引き犯を目撃したことがある。何となく見ていた男と目が合った時にピンときた。表情が全く”リラックス”しておらず、”私は客としてここにいますよ”という演技をしていた。ずーっとその男をマークしていたところ、商品を手にとったあとにすぐ私に背中を向けてしまい、肝心な瞬間をおさえることができずにみすみす逃がしてしまった。
男が持っていたバッグに手にした商品を入れたのを確認したのは、直後の防犯カメラ映像を確認した時であった。こういうこともあるので、不自然な表情をしている人が来た時には注意してみておくとよい。
家にいても親を演じたり妻を演じたり夫を演じることがある。外に出れば、上司を演じ、先輩を演じ、とにかく社会の一員を演じることになる。演技をすることは社会規則にのっとった生活を送る上で非常に大切だ。
むかし劇団に所属していた。その中でアクションの授業があった。私を含めた数人が講師の男性を円になって取り囲み、一人ずつ殴りかかる設定である。
二つの握り拳を自分の顔の前に作って円になり、「ヨーイ!」と声がかかった直後のことである。講師の男性が私のところに凄いけんまくで詰め寄り胸ぐらをつかんで「この野郎!」と怒鳴った。思わず震えたその直後にその講師が、「っとまあこんな感じで表情を作ってね」と言うと、周りの仲間が一斉に笑い出した。苦笑いした私も次の「ヨーイ!」には、真剣に表情を作ったのである。
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