軽井沢の事故
長野県軽井沢というと避暑地として有名である。以前は東京から軽井沢に向かうためには、関越自動車道を使って藤岡ICで降り、国道18号を通って軽井沢に向かう方法しかなかった。群馬県安中市・長野県軽井沢町の県境には碓氷峠があり、曲がりくねったカーブの多い場所で季節によっては渋滞していた。スピードの出し過ぎのためか、山の斜面に乗り上げて動かなくなっていた車や事故車も目撃したことがある。
1月15日、東京から長野県内に向かっていたスキーツアーのバスが、この峠道でガードレールを突き破り転落する事故が起きた。乗員乗客合わせて41人のうち、男性運転手2人と乗客12人の合わせて14人が亡くなった。長野県警軽井沢署では、急ハンドルを切ったことによる事故として捜査をしている。
2012年のゴールデンウィークには、群馬県の藤岡IC付近でツアーバスが運転手の居眠りにより衝突し、7人が亡くなる事故が起きている。この事故では関連会社による無点呼や、運行指示書の無作成などの法令違反が多数見つかっており、関連業界による法令遵守が改めて徹底されたはずであった。
バス業界は規制緩和による新規参入が相次ぎ、「格安バスツアー」が多く企画されることとなった。その一方で、一線で働く運転手の労働環境の悪化や整備不良、そして一部の事業所による法令無視の管理体制が露呈することとなった。
今回の軽井沢の事故でも、運転手に対する健康診断や点呼がなされていなかったことが発覚しており、予定されていたルートではない道を走行していたことが明らかになっている。なぜ、違う経路を使ったのか解明されることになるだろう。
どれだけ立派な法令が整備されていても、悲しい。それは、法を運用する側に問題意識や危機意識がなければ、明文化された規則というのは無力であるからだ。
亡くなった12人の乗客は全員大学生である。突然、何の落ち度もない12人の若者の未来が、いのちと共に奪われてしまったこと、それが何よりも一番悲しいことである。
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