軽減税率は悪者か
タレントの高田万由子さんの話が興味深い。夫である葉加瀬太郎さんの仕事の都合でイギリスに在住。日本の消費税に当たる付加価値税(VAT or value added tax)は20%。しかし生活に不可欠な食料品などは課税されないという。
ミネラルウォーターやジュースは課税。そのため「水は水道で飲める。ジュースが欲しいなら税率0%のオレンジを搾ればいい。イギリスは紅茶文化なので非課税。紅茶と一緒に添えるクッキーやミルクも0%という考えで分かりやすい。例えば日本も緑茶や和菓子も0%にし、ケーキは課税とすればいい」と言う。イギリスの低所得者は、買う品さえ選べばVATを支払わなくても生活ができるという。こうした制度にはイギリスの文化が根付いている。
「バスや電車ではモヒカン刈りの若者でも、お年寄りにさっと席を譲る。そんな文化がVATに反映している気がする」と語る。「知識に課税しない」という姿勢の英国では、新聞や書籍などへのVATは0%という。
一方で実現には困難もある。どこからどこまでを線引きするか難しいのだ。対象品目により、生肉は0%だが、加工すると課税、さらに納入業者の設備投資は課税となった場合、取引先同士で調整をするのが難しくなる。さらに低所得者対策といっても、結局は高所得者も得をすることになるので税収が大幅に落ち込むというわけだ。線引きには政治的な介入も懸念されるという声もある。
消費税は10%に増税される。財源確保は重要であるが、軽減税率は面倒だからやらないのではなく、今から少しずつでも議論を重ねて公平性の確保に近づける努力は惜しんで欲しくない。たばこや発泡酒に課税などは積極的にするのだから、段階を踏んで品目を調整してもよいのではないか。
増税と合わせて考えるべきは、国民の福祉が豊かになるには収入と健康であるということだ。包括的な国家戦略無くして財源を潤せることは難しい。税金にどんな価値を見いだせるのか、その道筋を示さなければ国民は納得しないであろう。
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★ 高田万由子さんに聞く軽減税率制度のある暮らし(産経新聞・14/4/8)
★ 消費税軽減税率 関係団体の聞き取り開始(NHKニュース・14/7/8)