言葉のリサイクル

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ゴミで埋まった首都圏の名所

 
 昭和の世界にタイプスリップした。波打ち際の砂浜が1万4千個の空き缶で埋まった。首都圏の観光地八カ所で小学生らが調査を行った結果である。
 
 子供たちは言う。「大人はなぜ僕らの町を汚すの?」
 
 調査は神奈川・湘南海岸、千葉・御宿海岸等で行った。空き缶のみならず、「プルリング」も多数落ちているし、ガラス片や木材などを集めると一万個以上のゴミの数になってしまう。
 
 子供たちが近くの観光客に「空き缶はどこに捨てるのですか?」と尋ねると、「ゴミ箱です」と答えるのだが、実際に追跡してみると半分近くの人がポイ捨てしていた。たばこの吸い殻もひどいものである。 
 
 6時間かけて回収して愕然である。回収していたらそのすぐ後に新たにゴミが捨てられていくのである。
 
 しかし、そんな汗だくになっていた子供たちに言いたかった。
 
 平成の今は、外国人から「きれいな国、ニッポン」と言われていること。
 
 たばこも分煙、禁煙が進んでいること。
 
 飲料缶の「プルリング」は「プルトップ」に変わったこと。
 
 リサイクルという考え方が活発になっていること。
 
 そして、君たちが大人になってくれたおかげで、今のきれいな日本があること。
 
 
 でも、彼らに直接言うのはやめた。余計なことを言えば未来が変わってしまう。「大人はだらしない!」とふて腐れて怒っている子供たちを見て、静かに微笑むだけであった。
 
 
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※創作参考「ゴミで埋まった観光地」(朝日新聞東京版・昭和51年1月24日朝刊21面) 
 
 

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