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雪をかき分けたひとたち【大雪被害】

   
 
 桝添要一・東京都知事というのは不思議な人である。自衛隊に対して、都内西多摩郡奥多摩町と檜原村への災害派遣を要請しておきながら、自身はソチ五輪に向けて出発した。孤立している人たちがいるのに少しは現場に足を運ぼうとは思わなかったのだろうか。
 
 東京都のホームページから「知事の部屋」を見ると、「都政の役割の第一は、都民の皆様の生命と財産を守ることです」とあり、「自然豊かな多摩・島しょの発展、(中略)東京の魅力を磨き上げてまいります」と記されている。冒頭に「全身全霊をもって都政の舵取りに」と言っておきながら、ソチに向けて舵を切った。すぐに帰国してもよかったはず。
 
 山梨県は17日午前、「災害対策本部」を設置したが専門家からは「丸二日経ってからでは遅すぎる」との声がある。これに先立ち山梨県警察本部は15日、異例の「豪雪対策警備本部」を立ち上げている。何が異例かと言えば、豪雪地帯ではない山梨県での同本部の立ち上げが異例なのだ。
 
 ネットの情報を収集していると「首長の対応の遅さ」が際立っているが、実際に現場では多くの人たちが人命救助に携わっていた。都や県、あるいは国が災害対策本部をいかに早く設けるかも大事であるが、地元の消防、警察、そして自治体職員のかたたちが率先して動いていた。
 
 救援要請の119番、110番で救急隊員や警察官らが現場に急行しようとすれば、大雪の惨状はすぐに分かる。15日には甲府市内で雪崩に巻き込まれた2人を緊急搬送するために横浜市消防局のヘリが出動している。つまり、首長が動かなくても人命救助に力点は置かれていた。ただ、県全体が事態を把握するためには災害本部の立ち上げは急務であった。現場では県全域の状況を把握することに困難を極めたに違いない。
 
 ところで、首都圏を襲った大雪をもたらせた南岸低気圧は東北、そして北海道に進み、通行止めや孤立集落が出てきている。首都圏だけが大変なわけではないのに論点が偏っているような気がする。
  
 さらに論点がずれているのは、首相が「てんぷら会食」していた事が批判されている点。麻生太郎副総理が首相時代に、「毎日ホテルのバーで飲酒して葉巻を吸っているのでは庶民の暮らしが分かるはずがない」などと批判を浴びた。首相がどこで何をしようと、有事の際は適宜適切な指示が出されれば足りるわけであり批判する意味が分からない。自治体の要請で自衛隊も動いており、批判をする人は首相が除雪車でも運転すれば気が済むのだろうか。
 
 NHKが山梨の惨状をニュースで取り上げないことにも批判が出た。しかしNHK甲府放送局は適宜放送をしていた。もっとも、通行止め箇所が多く、自治体ですら情報収集がままならない状態で、報道陣が体制を整えた取材ができたかというと疑問である。「報道してくれない」と嘆く人は報道してもらうことで何が満足なのだろう。
 
 自治体の対応に話を戻す。山梨県に限って言えば、昨年世界遺産に登録された富士山を抱えている。富士山が噴火した時の防災対策は率先してなされるべきである。そして防災の観点で言えば、県内の平均的な降雪量である40センチを超えた時点での初動対応ができていれば、凍死で亡くなるかたは救えたはずである。救えたはずの命。
 
 現場では、救急隊員、消防隊員、警察官、自治体職員、鉄道会社の社員、高速道路の作業員、自衛隊員、地元の方たちによるトイレの開放、炊き出しなどに尽力された多くの人たちがいる。高潔なこの行いは、金メダル級の、実にありふれた行動である。それを忘れることがあってはならない。
  
 
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