90代と60代母娘の孤立死 200メートル先で再び起こった悲劇 東京・立川

 一瞬、耳を疑った。「普通に残念な事案だったと認識しております」ーーーーーー
 
 「普通に」という言葉の意味は何であろうか。前に書いたが、「普通においしい」と言えば、可もなく不可もないという無表情な評価である。「普通に0時まで起きている」と言えば、「いつものように、当たり前のように」というような意味だ。「ふつーに」と発音も楽なことがあってなぜかこの不思議な言葉が使われている。
 
 東京・立川市羽衣町の都営アパートで7日、90代の母親と60代の娘が死亡しているのが見つかった。警視庁立川署によると外傷等はなく事件性はない。司法解剖の結果、娘は病死の可能性があり、母親は餓死した可能性がある。母親は認知症を患っており、娘が病死したあと連鎖的に死亡したと思われる。
 
 立川市と母娘が住んでいた都営アパートを管理する東京都住宅供給公社(JKK)は記者会見をした。市は公社から「住民と連絡が取れない」と連絡を受けたが5日間放置した。立川市高齢福祉課の課長は「公社が(室内に)踏み込むかどうか判断すると思っていた」。
 
 公社の対応
1. 2月20日ごろ:女性宅から自治会費の支払いが無く不審に思った住民が自治会に連絡
2. 2月29日ごろ:自治会が公社に連絡
3. 3月1日   :公社が水道メーターや郵便受けを確認
4. 3月2日   :公社が立川市と親族に連絡。安否確認できず。
5. 3月6日   :公社が再訪問するが状況に変化無く「緊急性はないと判断」。公社では「入室判断には親族の了解が必要で、難しいケースだった」。
 
 立川市の対応
1. 3月2日   :公社から連絡を受けて同日民生委員に連絡。同委員から「安否確認できない」と報告。
2. 3月7日   :立川署に連絡。遺体発見。
 
 高齢福祉課長は、市と公社の間に緊急時の入室に関する取り決めがなかったとし、「公社への遠慮があった。見守り体制を見直したい」。
 
 冒頭の「普通に残念な事案だった」というのは公社の女性担当者が記者会見で発言した言葉だ。2人が亡くなっているのに、この「無表情な評価」は何というものの言い方なのか。高齢福祉課長の「公社が判断すると思っていた」という発言も驚く。仕事をするうえで、他の誰かがやると思った、という考え方が信じられない。
 
 2月にはこの現場から200メートルほど離れた同町内で、母親と男児が死亡しているのが見つかっている。立川市は再発防止策を検討していた矢先の出来事であった。
 
 公務員やそれに準ずる組織だからと言って、頭ごなしに批判するのは好きではない。しかし先月孤立死があったのにもかかわらず、市の担当者は公社から安否確認ができないと連絡があったときに、先月の孤立死を連想することはできなかったか。
 
 プライバシーや個人情報保護法をいうことがあるが、その言葉を持ち出すことが免罪符になると考えていないだろうか。プライバシーや個人情報を守ることは大切だが、それらが人命を上回るわけがない。守るべきは人の命であるのに、マニュアルがなければ目の前で倒れる人に対して上司の判断を仰がなければ救助をしないのだろうか。どうしてこんなに冷たいのか。
 
 高齢化が進行している現在では、こうした悲劇は起こりうる。孤立して亡くなったかたたちが行政に支援を求めないのは、市の対応を期待せずに絶望してしまったからではないだろうか。
 
 自治会長の男性は、「(行政側の)ゴーサインが出れば、自治会のほうも(立ち入りの)措置ができますが」と述べた後、「住民のかたを守りきれなかった。くやしいです。申し訳ないです。申し訳ないです本当に」と泣いて頭を下げた。
  
 
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★ 立川孤立死:母娘、死後1ヵ月経過 市「住宅公社に遠慮」(毎日新聞・12/3/8)
★ 立川孤立死:異変通報受けた市、5日間放置(毎日新聞・12/3/8)
★ 認知症の母と介護する娘か 市の対応遅れも 東京・立川市の孤立死(産経新聞・12/3/8)
★ 立川市〜心のかよう緑豊かな健康都市〜
★ 賃貸ならJKK東京【東京都住宅供給公社】
 
 

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