言葉のリサイクル

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「3年B組金八先生ファイナル『最後の贈る言葉』4時間スペシャル」さよなら金八先生 さよなら3年B組

 金八先生シリーズを見てきて印象的なシーンがいくつかある。
 
 昭和55年の第2シリーズで不良少年の加藤優(直江喜一)が桜中学に転校してくる。
 松浦悟(沖田浩之)が加藤にケンカをふっかけるが、加藤が大暴れして教室から出て行く。その後、暴走族のたまり場であるスナックへ金八が足を運ぶ。そこでは加藤がかつて在籍していた荒谷二中のOB2人がにらみをきかせる。
 
 金八に襲いかかろうとするOB1人と加藤。金八は、「腕をへし折られても仕方ないと思ってるが、ただ黙って折られたら丈夫に産んでくれたおふくろに悪いから」。
 
 「教育を受けさせる義務は国、自治体、親にあって、加藤優、お前には教育を受ける権利がある。お前は教育を受ける権利者なんだ」。
 
 「いけないことはいけないんだ!」
 
 「加藤、自分の名前の字の意味知ってるか?優勝の『優』で『まさる』。それを優しいとも読むんだよ。いい名前だな」
 
 校長室にて校長、教頭、そして金八の3人が加藤について話し合うシーンがある。金八は「腐ったミカンの方程式」を引用する。
 
 「加藤はミカンじゃないんです!人間辛い目にあって、あっちこっちぶつけてたら、そりゃ風通し悪くなって腐ってきますよ!」「はっきり言って、(加藤を受け入れることに)僕も自信はありません。お願いです、最後までやらせてください!」と涙ながらに訴える。
 
 第4シリーズでは卒業を控えた3Bが、1人の生徒を登校されるために荒々しい方法を使う。パジャマ姿で咳き込む生徒を連れてくるが、「風邪をこじらせたらどうする!」という金八に男子生徒が「その時は俺が責任をとる」というと、金八は「ばかもん!」と怒鳴る。生徒たちは、その風邪をひいた生徒をどうしても登校させたい理由があったのだ。やり方は間違っているが、人を思いやる気持ちを持った生徒を金八が作り上げた瞬間でもあった。
 
 第6シリーズでは金八と正反対の教育方針である千田校長(木場勝己)との確執が見所の1つであった。最終回で金八が千田校長に「あなたは通信簿の『5』を作ってください。私は人間を作ります」と握手を求めたが、千田校長は「勝負がついたら握手をしましょう」と断る。
 
 教育委員会への異動が決まった金八。桜中学の校門を出たところで、同僚の教職員が金八を迎えた。金八が遠くに視線を移すと、千田校長が立っていた。金八がゆっくりと歩み寄る。桜が静かに舞っていたが、金八のロケで桜が開花したのは初めてのことであり、とてもきれいなシーンとなった。
 
 
 そしてファイナル、最後の金八先生が放送された。
 
 「金ぱっつぁんを泣かせるようなことをしたら、俺たちがただじゃおかないから」
 「俺たち?」
 「3年B組だ」
 
 坂本金八(武田鉄矢)は定年を迎え、長い教師生活にピリオドを打つことになる。暴力をふるい手を焼いている男子生徒に寄り添おうとする金八。金八は体の不調を感じながら男子生徒の心を開こうとする。
 
 金八の教え子である旧3年B組の卒業生たちがその生徒に対して、金八がどれだけ偉大な先生であるかを語りかける。
 
 そんな中、娘である坂本乙女(星野真里)が結婚式を挙げる。披露宴では多くの教え子の中から1人だけ招待している。岩沼幸一郎(片桐貴代司)である。在校中の幸一郎は小柄なかわいい男の子であったが、「金八スペシャル2」で登場した彼は変わってしまっていた。
 
 赤ちゃんだった乙女は重篤な状況で病院に運ばれた。緊急輸血が必要だったが、乙女の血液型はABのRHマイナス型という極めて少ない血液。そのため、昭和55年度(パート2)卒業生がこの血液型探しに奔走する。そんな状況を知って同じ血液型の幸一郎が名乗り出た。「ありがとう幸一郎」と喜ぶ金八。しかし採血のためにシャツをめくった腕からは入れ墨が見えた。
 
 それを見た金八は「バカ野郎」と幸一郎を殴り、「お前の血、乙女の体に入れるわけにはいかない」と怒り、幸一郎は走って病院を後にする。幸一郎は高校で教師から目をつけられており、荒れてしまっていたのだった。幸一郎はその後、旧3Bが探し出し採血することとなる。この幸一郎の採血で乙女は一命を取り留めた。
 
 
 「金八先生を困らせたら、みんなが承知しないぞ」
 「みんな?」
 「3Bだ」
 
 昭和55年度の卒業生であり、かつては番長であった加藤優は新潟県内で建築業を営んでいた。とある場所で劇的な再会を果たした金八と加藤であった。加藤は言った。「俺は金八先生の背中を見て育ったんだ」と。
 
 ファイナルでは加藤とのやりとりに時間が割かれている。金八シリーズで加藤優の存在は大きく、それだけにファイナルでは絶対的に必要な存在であった。ファンは加藤の久しぶりの登場を楽しむことができただろう。
 
 今回のファイナルを見て一番感動したのが前述の乙女の披露宴におけるシーンだ。幸一郎は言葉を発することをほとんどしなかったが、新婦の乙女を見て、幸作の姿を見て、そして金八のことを見て、幸一郎の優しく微笑む表情にグッと来た。幸一郎は乙女を助け、「幸作」の「幸」の字は幸一郎からもらっている事がスペシャル2で明らかになっている。そういう意味で、加藤優に次ぐ重要人物とも言える。
 
 かつて本ブログでは「金八先生は必要か」と書いたことが2度ある。1度目は否定的だが、2度目は肯定した。今回も肯定しようと思う。金八のような先生は実在することはないであろう。現実と理想は違う。しかし、そんな理想像を持ち、教師を夢見ることができたら素晴らしいことである。刑事ドラマを見て警察官になった人もいることである。
 
 未来を夢見てはいけない、と誰かが言ったが、未来はぜひ夢見るべきである。その実現のために今現在を作っていくために我々は生きている。金八が直面した大きな問題はすべて先送りにできない問題だ。それは子どもたちの問題は待ってくれないからである。先生は経験値を上げていくだろうが、生徒たちは一度しか3年生を経験できない。だから真剣勝負が望まれる。
 
 
 
 最後に、金八先生に聞きたい一言がある。
 
 
 
 
 
 
 

”桜中学は、楽しかったですか?”

 
 
 
 
 
 
 
 
★ 金八先生は必要か(本ブログ・07/11/3)
★ 金八先生は必要か・2(本ブログ・08/12/26)
★ 寂しい「3年B組金八先生」最終回 3月のスペシャルで32年の歴史に幕(本ブログ・11/2/6)
 
★ 3年B組金八先生ファイナル 「最後の贈る言葉」4時間SP(TBSテレビ)
 

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